1. USDe（USDE）とは
USDe（よく “USDE” と表記されることもあります）は、Ethena（エセナ） が発行する合成ドル（シンセティック・ドル）型のステーブルコインです。
このトークンは、イーサリアムなどのブロックチェーン上に構築されており、分散型金融（DeFi）において法定通貨（米ドル）へのペグ（連動）を維持しつつ、利回りを提供する仕組みを持っています。
具体的には、Ethena プロトコルは担保資産（例えばビットコインやイーサリアムなど）を用い、それらをデルタ・ヘッジされたデリバティブポジションに変換し、ネットワークから得られる収益を USDe 保有者に還元する構造を取っています。
この仕組みによって、USDe は単なる「価格安定型通貨（ステーブルコイン）」ではなく、利回りを伴う “利回り付きステーブルコイン” としての性格を持ちます。
2. USDe（USDE）の歴史価格：最低値と最高値
USDe の価格は、ペグ（1ドル付近）を狙うステーブルコインであるため劇的な上下動は相対的に小さいものの、過去には多少の乖離が見られた記録があります。
- CoinGecko のデータによれば、過去最高値（ATH）は 1.03 USD 程度。
- CoinGecko ではまた、過去最低値（ATL）は 0.9295 USD が記録されたことがあるとされています。
- Bybit の情報では、USDe の過去最高値は 1.032 USD。
- CoinMarketCap による日本円換算データでは、過去最高値は約 ¥158.46、過去最安値は約 ¥149.63。
これらの数字を見ると、USDe は基本的に 1 ドル付近で安定を目指す設計でありながらも、一時的にペグが外れる動きがあったことが確認できます。
3. Trust Wallet による USDe の保管・使用方法
Trust Wallet（トラストウォレット）は、ユーザー自身が秘密鍵を管理する非カストディアル型ウォレットとして、USDe のような ERC-20 トークンを扱うのに適しています。
3.1 Trust Wallet に USDe を追加（トークン登録）
- Trust Wallet アプリを起動します。
- ホーム画面などから「トークンを追加」（Add Tokens）を選択します。
- USDe がリストにない場合は、「カスタムトークンを追加」（Custom Token）を選択します。
- ネットワークを Ethereum（ERC-20） に設定します。
- USDe のコントラクトアドレスを正確に入力します。CoinMarketCap など信頼性の高い情報源からアドレスをコピーしてください。
- トークンシンボルに「USDE」（あるいは「USDe」）、小数点以下桁数（通常 18）を入力してトークンを追加します。
- 登録が成功すれば、Trust Wallet の残高画面に USDe が表示されるようになります。
3.2 USDe の受け取り（入金）
- Trust Wallet で「受取」（Receive）をタップします。
- 登録した USDe トークンを選択します。
- 表示されたアドレスまたは QR コードを送金元（取引所や他ウォレット）に伝えて入金を依頼します。
- トランザクションがブロックチェーン上で承認されると、数分以内（またはネットワーク状況によって数十分）に残高に反映されます。
3.3 USDe の送信（出金）
- Trust Wallet で「送信」（Send）をタップします。
- トークン一覧から USDe を選びます。
- 送信先アドレスを入力、または QR コードをスキャンしてアドレスを指定します。
- 送金額を入力します。
- ガス代（手数料）を確認します。ERC-20 トークンの場合、ETH（イーサ）がガス代として必要となるので、ウォレットに十分な ETH を保有しておきます。
- 内容を確認し、「送信」を承認します。トランザクションが実行されます。
3.4 セキュリティの注意点
- リカバリーフレーズの保管：Trust Wallet のリカバリーフレーズ（シードフレーズ）は最も重要な情報です。紛失や第三者への漏洩を避けるため、安全な場所にオフラインで保管してください。
- アドレス・ネットワークの確認：送金先アドレスを誤ったり、誤ったネットワークを選ぶと資産が失われる可能性があります。送金前には二重に確認を行ってください。
- ガス代の確認：Ethereum ネットワークの混雑状況によりガス代が高騰することがあります。送金前に手数料をチェックし、余裕を持って ETH を確保してください。
- アプリのバージョン管理：Trust Wallet は定期的にアップデートが提供されます。セキュリティ強化やバグ修正のため、最新版を利用することが望ましいです。
4. USDe（USDE）と bitFlyer および他取引所との関係
4.1 bitFlyer での USDe 取扱い状況
現在調査したところ、bitFlyer において USDe（USDE）を取り扱っているという情報は確認できていません。bitFlyer の公式サイトや通貨一覧、および上場通貨の情報を見ても、USDe に関する記載は見当たりません。
日本国内の主要取引所として bitFlyer は非常に有力ですが、USDe のような合成ドル・ステーブルコインについては現在のところ対応が限定的であるようです。そのため、Trust Wallet から直接 bitFlyer に USDe を送金して売却・換金を行うのは、現時点では難しい可能性があります。
4.2 他の取引所での USDe 利用
USDe を取引または利用したい場合、bitFlyer 以外の取引所を検討する必要があります。
- Bitget：Bitget は USDe を Coin-M 無期限先物の証拠金資産として採用しています。
- Bybit：USDe のスポット価格を提供しており、取引ペアがある可能性があります。
- 分散型取引所（DEX）：ERC-20 対応の DEX（Uniswap など）で USDe を取り扱っているケースがあるかもしれません。これにより Trust Wallet から直接スワップを行うことも可能です（ただし流動性や手数料の確認が必要）。
5. USDe（USDE）を Trust Wallet で保有するメリットとリスク
5.1 メリット
- 価格安定性
USDe は合成ドルであり、1 USD 付近の価値を保つことを目的として設計されているため、暗号資産市場のボラティリティから一定の安定性を持ちます。 - 利回りの獲得可能性
Ethena プロトコルの仕組みによって、USDe 保有者は担保資産やデリバティブ戦略から得られる収益の分配を受けられる可能性があります。 - DeFi での活用
USDe を Trust Wallet に保管しておくことで、DeFi プロトコルへの預入、流動性提供、スワップなどの活動が容易になります。 - 自己管理型ウォレット
Trust Wallet を用いることで、USDe を自分の秘密鍵で完全に管理でき、取引所に預けるリスクを回避できます。
5.2 リスク
- ペグ崩れの可能性
過去に USDe はペグを外れて 0.9295 USD などの価格を記録したことがあるため、安定性を重視する場合でも完全なリスクゼロではありません。 - ガス代コスト
ERC-20 トークンであるため、送金やスワップにはガス代（ETH）が必要です。ネットワーク混雑時にはコストが高騰する可能性があります。 - 取扱取引所の制限
bitFlyer など国内主要取引所で未対応である場合、換金・出金の選択肢が限定されるリスクがあります。 - プロトコルリスク
Ethena のプロトコルが抱える技術的リスク、またはデリバティブ戦略が不利になる可能性があります。 - 規制リスク
ステーブルコインおよび合成資産に対する規制が強化されることで、利用や取引に制限がかかる可能性があります。
6. まとめおよび今後の展望
- USDe（USDE）は、Ethena によって設計された利回りを伴う合成ドル型ステーブルコインであり、DeFi エコシステムでの活用が期待されるトークンです。
- 過去の価格履歴では、過去最高値が約 1.03 USD、過去最低値が約 0.93 USD といった変動があり、理論上の「1 ドル peg」に対する揺れを経験しています。
- Trust Wallet を利用すれば、USDe を安全に自己管理し、必要に応じて他ウォレットや DEX へ送金・交換が可能ですが、送金時のガス代や送金先のアドレス・ネットワークには十分注意する必要があります。
- bitFlyer では現在 USDe の取扱いが確認されておらず、USDe を売買・出金するには主に他取引所（例：Bitget、Bybit、または DEX）を利用する必要があります。
- 将来的には Ethena プロトコルの成長や DeFi での採用拡大が進む可能性があり、それに伴って USDe の価値や実用性がより高まる可能性があります。一方で、ペグの変動やプロトコルリスク、規制リスクなどを十分に理解しながら運用判断を行うことが重要です。
