USDC とは何か
USD Coin（USDC）は、フィンテック企業 Circle によって運営されているステーブルコインです。USDC はアメリカドル（USD）に連動することを目的として設計されており、1 USDC ≒ 1 USD の価値を保つように発行体が準備資産 (ドル預金や安全資産) を保持しています。Coincheck でも USDC の基本的な特徴や「ドル担保型ステーブルコイン」としての安定性が紹介されています。
USDC は最初に Ethereum の ERC‑20 規格で発行されましたが、その後はさまざまなチェーン (Polygon、Solana、Base など) に展開されており、マルチチェーンで利用できる資産です。
USDC の価格履歴 — 過去最安値・最高値
USDC はステーブルコインであるため、一般的な暗号資産ほど価格の変動が大きくはありません。しかし、歴史的にはわずかな乖離 (ペグの崩れ) が記録されたことがあります。
MetaMask による情報では、USDC の過去最高 (All‑Time High) は 約 1.17 USD、最安値 (All‑Time Low) は 約 0.88 USD と示されています。
また、TokenAlphabet の履歴データでも ATH を 1.17 USD、ATL を 0.8776 USD と報告しています。
このような乖離は非常に限定的で、一時的な市場の動揺や流動性の急減など特別な状況下で発生したものです。
特に 2023年3月には、Silicon Valley Bank (SVB) の破綻に伴い USDC がペグを一時的に離れて 0.87 USD 程度まで下落したという報告があり、市場が安定性リスクを再認識した例があります。
現在は再びほぼ 1 ドルを維持しており、一般的には安全性の高いステーブルコインとして扱われています。
Trust Wallet による USDC の保管・管理方法
Trust Wallet はモバイル向けのマルチチェーンウォレットで、ERC‑20 トークンや他のチェーンのトークン (USDC を含む) をネイティブにサポートしています。
最初に Trust Wallet をインストールし、ウォレットを新規作成または既存ウォレットを復元します。その後、「コインを追加 (Add Token)」または「トークンを検索」機能を使って USDC をリストから選択します。もし表示されない場合は、カスタムトークンとして USDC のコントラクトアドレスを手動で入力して追加できます。コントラクトアドレスは、Circle や公式ブロックチェーンエクスプローラで確認することが重要です。
USDC を受け取るには、Trust Wallet 上で USDC を選び、受信用アドレスをコピーします。そのアドレスを取引所や他のウォレットの送金先として登録すれば、USDC を入金可能になります。
資産を安全に保管するためには、秘密鍵またはリカバリーフレーズ (シードフレーズ) を確実に保存しておく必要があります。スマートフォンを紛失した場合でも、リカバリーフレーズがあればウォレットの復元が可能ですので、オフラインで安全に保管することが重要です。
Trust Wallet から USDC を送金する方法
Trust Wallet に保管している USDC は、他のウォレットや取引所へ簡単に送金できます。まずアプリを開き、USDC トークンを選択して「送金 (Send)」をタップします。送金先アドレス (USDC を受け取るウォレット側が対応するネットワーク) を入力し、送金量を指定します。
次に、ガス代 (送金手数料) を確認します。USDC が配置されたネットワーク (例：Ethereum ERC‑20) によって、ガス代が必要となります。送金を確定するとトランザクションが発行され、トランザクションハッシュ (TXID) を取得できます。その TXID を使って Etherscan や他のブロックチェーンエクスプローラで実行状況を確認できます。
ただし、送金時に注意すべき点もあります。ネットワークを誤って選ぶと送金が失敗したり、資産が失われたりするリスクがありますので、送金先のネットワークが USDC に対応しているかを事前に確認することが重要です。
Coincheck（コインチェック）における USDC の取り扱い
Coincheck は日本国内の大手暗号資産取引所で、多数の暗号資産を扱っています。現時点で Coincheck の取り扱い銘柄は 35種類とされています。
Coincheck 自身の解説によれば、USDC は Circle が発行する法定通貨担保型ステーブルコインとして紹介されており、その特徴やメリットが記事で説明されています。
また、Circle と Coincheck は提携関係を持っており、Coincheck が USDC を日本市場に展開する姿勢を示している報告もあります。
ただし、Coincheck の現時点 (情報公開時点) での取扱通貨リストには USDC の明記が見当たらないという指摘もあります (35銘柄の中に USDC が含まれていない) 。
そのため、Coincheck での USDC の入出金や売買が可能かは、最新の公式情報 (Coincheck のウェブサイトやサポート) を確認する必要があります。
Trust Wallet と Coincheck の長所と短所
Trust Wallet の長所
Trust Wallet はセルフカストディ型ウォレットであり、ユーザーが秘密鍵を自ら管理できる点が大きなメリットです。これにより、取引所に預けたままにするリスク (取引所のハッキングなど) を低減できます。
また、マルチチェーン対応により、USDC をはじめ Ethereum、Solana などさまざまなチェーンの資産を一元管理できる利便性があります。
さらに、Trust Wallet にはステーキング機能 (対応チェーン) があり、資産を保有するだけで報酬を得る選択肢もあります。
セキュリティ面では、アプリ自身がパスコード保護や Biometric ロック (指紋認証など) に対応しているため、不正アクセスリスクを抑えられます。
Trust Wallet の短所
一方で、送金時にガス代が必要なチェーン (ERC‑20 など) では手数料が高くなる可能性があります。
また、ネットワークを誤って選択したり送金アドレスを間違ったりすると、資産を失うリスクがあります。
さらに、ウォレットの操作ミス (シードフレーズのバックアップを忘れるなど) が資産回復不可能な状況を招くこともあります。
Coincheck の長所
Coincheck は日本語対応かつ日本国内の金融規制に準拠して運営されており、信頼性が高い取引所の一つです。
日本円での入金・出金がスムーズで、暗号資産初心者にも使いやすいインターフェースを提供しています。
また、セキュリティや顧客サポート体制が日本国内の法律・規制を遵守しており、安心感があります。
Coincheck の短所
取り扱い通貨に制限がある点がデメリットです。USDC のようなステーブルコインがリストに明記されていない可能性があるため、利用できないケースがあります。
また、取引所に資産を預けたままだと、その取引所のセキュリティリスク (ハッキング、経営破綻など) にさらされます。
さらに、高度な DeFi 活用 (ステーキング、スワップ、ガバナンス) には対応が限定的であり、Coincheck 単体では柔軟な DeFi 運用が難しいことがあります。
総合まとめと運用戦略の提案
USDC は安定性の高いステーブルコインであり、ドルと一対一で連動を目指す設計のため、価格変動リスクは非常に小さいです。そのため、資産の一部を「ステーブルクオリティ資産」として保有したい場合に適しています。
Trust Wallet を使って USDC を保管・送金する場合、秘密鍵管理の自由度やセキュリティ、マルチチェーン対応というメリットを活かすことができます。一方で送金時のガス代やネットワーク選択ミスなどのリスクには注意が必要です。
Coincheck を通じて USDC を扱いたい場合は、まず Coincheck の最新の取扱通貨リストや公式発表を確認する必要があります。もし USDC が正式に取扱われていれば、日本国内でのステーブルコイン運用がより簡便になりますが、現時点では対応不明点があるため慎重な確認が求められます。
【推奨戦略】
- USDC を長期保有や決済用途に使う → Trust Wallet によるセルフカストディで保管
- USDC を取引や換金に使いたい → Coincheck や他の取引所への対応状況を確認しつつ併用
- 送金時は少額でテスト → アドレス・ネットワークを確認し送金ミスを回避
- リカバリーフレーズはオフラインで物理的に安全な場所に保管
