仮想通貨ウォレットの中でも知名度が高く、多くのユーザーに利用されている Trust Wallet。このウォレットには、独自のユーティリティ／ガバナンストークンとして TWT（Trust Wallet Token） が存在します。TWT を保有することで取引手数料の割引やアプリ内特典、さらにガバナンスへの参加などが可能になるため、信頼性の高い自己管理ウォレットを活用するユーザーにとって魅力的な資産です。
しかし、TWT をどうやってウォレット内で管理するか、送受信する際の注意点、そして取引所での売買との兼ね合いなどを知らないと、思わぬトラブルや機会損失につながる可能性があります。特に日本国内で信頼性のある暗号資産取引所の bitFlyer（ビットフライヤー） を併用する際には、TWT の取り扱い有無や運用戦略を明確に理解しておく必要があります。
本稿では、Trust Wallet による TWT の使用方法から保管・送金、TWT の価格変動の歴史、bitFlyer の立ち位置と TWT との関係、最後に両者を比較しながら最適な運用戦略について詳しく述べます。
TWT（Trust Wallet Token）とは
TWT は、Trust Wallet のエコシステム内で使われる ユーティリティかつガバナンストークン です。公式情報によれば、TWT は BNB Smart Chain（BEP-20）、BNB Beacon Chain（BEP-2）および Solana（SPL）で発行されており、多様なチェーンで利用が可能です。
TWT を保有することで、ユーザーは次のようなメリットを享受できます：
- ガバナンス参加：TWT 保有者は Trust Wallet の将来的な方向性や機能追加に関する投票に参加できます。
- アプリ内特典：TWT を使って、Trust Wallet アプリ内で取引手数料の割引や、Swap／DEX ユーティリティの優遇を受けることができます。
- 開発支援：Trust Wallet のオープンソース開発に参加する開発者は、pull request (コードの提案) を TWT で支払う仕組みがあります。
- FlexGas（ガス代支払い）：Trust Wallet は FlexGas という機能を導入しており、TWT（および USDT / USDC）でガス代を支払えるようになっています。
このように、TWT は単なるトークン保有の対象ではなく、Trust Wallet のユーザー体験と連動した実用性を持つ資産です。
TWT の価格履歴：過去最低価格と最高価格
TWT の価格変動もまた顕著です。CoinMarketCap のデータによれば、TWT の総供給量は約 999.86 百万枚 (約 9.9986 億枚)。
現在 (執筆時点) の TWT 価格は CoinMarketCap 上で日本円換算で 約 ¥177.38 となっています。
過去価格を見ると、TWT の 過去最高値 (ATH) は CoinMarketCap によれば ¥417.34 付近でした。
一方、過去最低値 (ATL) としては非常に低い水準も記録されており、CoinMarketCap では ¥0.9947 という記録があります。
また、XT.com のデータでも TWT の最安値が US$0.00277641 と報じられており、非常にボラティリティの高い資産であることがわかります。
これらのデータから、TWT は長期的な価格変動の中で大きなレンジを持つ通貨であり、投資・保有するにあたってリスクとリターンの両方が存在することが明らかです。
Trust Wallet による TWT の使用・保管・送金
以下では、Trust Wallet を使って TWT を安全に保管し、必要に応じて送受信する方法と注意点を解説します。
Trust Wallet への TWT の追加
Trust Wallet に TWT を登録するには、まずウォレット内で「トークンを追加 (＋)」を選択し、TWT を検索して追加します。もしリストに見つからない場合は、カスタムトークンとして TWT の情報 (コントラクトアドレス、デシマル、小数桁など) を手入力する必要があります。正しい情報を入力しないと残高が正しく表示されなかったり、誤ってネットワークを指定して送受信時に失敗する可能性があります。
また、TWT は複数のチェーン (BEP-20, BEP-2, Solana) に存在するため、利用するチェーンを間違えると送金ミスのリスクが高まる点にも注意が必要です。公式の購入ガイドにも、Trust Wallet のアプリ内で TWT を選び購入すれば自動的にウォレットに保管されると記載されています。
TWT の受け取り (入金)
TWT を受け取るには、Trust Wallet アプリで TWT を選択 → 「受け取る (Receive)」 → 受け取り用アドレスをコピー → 送金元 (他のウォレットや取引所) にアドレスを伝えて送金します。送金前には、アドレスが正しいか、使用しているチェーン (BSC など) が正しいかを慎重に確認することが重要です。
TWT の送信 (出金)
TWT を送信するには、「送信 (Send)」をタップ → 宛先アドレス、送付量を入力 → ネットワーク手数料 (ガス代) を確認 → 内容を最終確認 → 承認 → 送信実行、という流れです。トランザクションが成功すれば TXID (トランザクションID) が発行され、ブロックチェーンエクスプローラで確認できます。
ガス代を TWT で支払う (FlexGas)
Trust Wallet の FlexGas 機能を利用すれば、TWT をガス (手数料) の支払いに使うことができます。これは Ethereum や BNB Chain で利用でき、トランザクション時に “Network fee” を選ぶ画面で TWT を選択可能です。
この仕組みにより、ETH や BNB をわざわざ用意しなくてもトークン送信がしやすくなり、利便性が大きく向上します。
セキュリティおよび運用リスク
Trust Wallet における TWT 運用では、以下のリスク管理が重要です：
- シードフレーズ管理：Trust Wallet を作成した際に表示されるシードフレーズは、紙や金属などオフライン媒体に厳重に保存し、決して他人と共有してはいけません。
- アドレスの確認：送金時には、コピー＆ペーストだけでなく目視でアドレスの最初と最後をしっかり確認し、誤送信を防ぎます。
- アプリ更新：Trust Wallet アプリは常に最新バージョンにアップデートしておき、セキュリティパッチや新機能を取り込みます。
- 不審な接続先の回避：未知の DApp やフィッシングサイトへのウォレット接続は避け、公式 URL かを必ず確認します。
- 手数料の見積もり：ガス代 (特に BSC／ETH ネットワークを使う場合) は変動が激しいため、送金前にチェックする習慣を持つとよいでしょう。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
次に、bitFlyer の基本情報および TWT との関係、強みと制約について整理します。
bitFlyer の基本概要
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本国内を代表する暗号資産取引所の一つで、金融庁登録済みの正規交換業者です。日本円による入出金が可能で、販売所形式と取引所形式 (Lightning) の両方を提供しています。ユーザーの利便性を高めつつ、セキュリティにも力を入れており、顧客資産をコールドウォレットで管理する体制が整っています。
TWT の取り扱い状況
調査したところ (2025年時点)、bitFlyer が公式に TWT を取り扱っているという公開情報は確認できません。bitFlyer の取り扱い通貨リストや過去の上場アナウンスに TWT の名前は見当たらず、TWT を売買・保管するには bitFlyer 単独での対応は現時点では難しいと判断されます。
この点は、TWT を取得・運用したい日本国内のユーザーにとって大きな制限になります。TWT を主要な資産と位置づける場合、取引所で買った後は Trust Wallet など自己管理可能なウォレットに送って保管する戦略を取らざるを得ない可能性が高いです。
bitFlyer の強み・制約 (TWT を軸に)
強みとしては、法令順守体制の信頼性、日本円での資金入出金の利便性、安全性、高流動性などが挙げられます。特に初心者や日本国内居住者にとっては、信頼性が高く安心して資産を置ける取引所です。
制約としては、TWT の取り扱いが現状ないということがまず第一です。これにより、TWT を中心とした運用を bitFlyer のみで完結させるのは困難です。また、取引所に資産を預ける際にはハッキングや内部リスクといったカウンターパーティリスクも無視できません。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：TWT を軸にした長所・短所
TWT を保有・運用する観点から、Trust Wallet と bitFlyer の強み・制限を比較すると、それぞれ次のような特徴があります。
まず Trust Wallet は非カストディアル型ウォレットとして、ユーザー自身が秘密鍵を管理できるという最大の利点があります。これにより、TWT を安全に保管し、送受信や将来的なガバナンス参加、FlexGas 利用など柔軟に運用することが可能です。モバイルで直感的に操作でき、多くのトークンを一元管理できる点も非常に利便性が高いです。
一方、自己管理型には責任が伴います。アドレスの誤りや送受信ミス、ウォレット未更新による脆弱性などが資産リスクに直結するため、慎重な取り扱いが求められます。また、ガス支払いに TWT を使う場合 (FlexGas) でも、ガス代の見積もりやネットワーク選択には注意が必要です。
bitFlyer は日本国内ユーザーにとって非常に信頼性の高い取引所であり、法制度やセキュリティの面で安心感があります。円建てで資産を扱えること、取引インターフェースが整備されていることは大きな強みです。
しかし、TWT の取り扱いが現時点で確認されていない点は大きな制限であり、TWT 保有や運用を目的とする場合には bitFlyer 単独では不十分です。つまり、TWT を戦略的な資産として扱いたい場合は、自己管理型ウォレット (Trust Wallet) と取引所 (TWT を扱う他の海外取引所) の組み合わせが現実的なアプローチと言えます。
運用戦略および提言
TWT を本格的に運用・保有するには、次のような戦略が考えられます。
まず Trust Wallet を中核とした自己管理戦略 を採ることが基本です。TWT をウォレットに保持し、将来的にはガバナンスに参加、FlexGas を使ったガス支払い、そしてアプリ内特典を活用することで TWT のユーティリティを最大限に活かします。
次に、取引所併用戦略 を検討します。TWT を取り扱っている海外取引所 (Binance、Gate.io など) で購入し、その一部を Trust Wallet に送金して自己管理に移行することで、安全性と流動性を両立できます。
さらに、長期視点の保有＋参加型運用 を取り入れます。TWT 保有者としてガバナンス (投票) に参加し、Trust Wallet の将来的な機能やサポート対象のトークン追加に影響力を持つことができます。また、FlexGas を活用することで日常的なトークン送受信の際にガス支払いを合理化し、トークンの実用性を高められます。
最後に、セキュリティ対策の徹底 が不可欠です。シードフレーズをオフライン保管、ウォレットの常時アップデート、不審な DApp への接続制限、アドレス確認の徹底など、安全運用の基本を抑えるべきです。
結論
TWT（Trust Wallet Token）は、Trust Wallet のエコシステムを支えるユーティリティおよびガバナンストークンであり、信頼性の高い自己管理型ウォレットと非常に相性が良い資産です。TWT を保有することで、ガバナンス参加、アプリ内特典、手数料支払いなど多様なユースケースを享受できます。
Trust Wallet を活用すれば、TWT を自己管理下におき、安全に保持・送信・活用することが可能です。一方、bitFlyer は日本国内で信頼性のある取引所ですが、現時点では TWT の取り扱いが確認されておらず、TWT を中心とした運用には直接的な利便性は限定的です。
したがって、TWT を本格的に運用・長期保有するには、Trust Wallet を中心に据えつつ、TWT を扱う海外取引所との併用によるハイブリッド戦略 が最も現実的かつ効果的なアプローチと言えるでしょう。
