TRX（Tron）とは
TRX (Tron) は、Tron Foundation によって開発されたブロックチェーンプラットフォームのネイティブコインです。TRX は、分散型アプリケーション (DApps) の実行、スマートコントラクトの利用だけでなく、トロンネットワーク上でのコンテンツ配信、報酬支払い、ガス (手数料) 支払いなど多様な用途に使われます。Coincheck の解説によれば、Tron は高スループット (高速な処理能力) やガバナンス機構を備えており、将来的な採用拡大の可能性が注目されています。
トロンは DPoS (Delegated Proof of Stake) を採用しており、ノード (スーパーレプレゼンタティブなど) を通じてトランザクションを検証します。供給量は無制限ですが、定期的なバーン (焼却) によってインフレ抑制を実施しているとの報告があります。
Trust Wallet による TRX の保管・管理方法
Trust Wallet はモバイル向けセルフカストディ型ウォレットで、TRX をネイティブにサポートしています。Trust Wallet の Tron ウォレット機能を使えば、TRX の保管、送金、購入などをスマートフォン内で完結できます。
まず Trust Wallet をインストールし、新規ウォレットを作成または既存ウォレットを復元します。次に通貨一覧画面で「TRX (Tron)」を探し、ウォレットに追加します。これにより、TRX の受信用アドレスが生成されます。
TRX を受け取りたい場合は、Trust Wallet 上の受取アドレスをコピーし、送金元 (取引所など) に正しく登録してください。送金ネットワークを必ず Tron ネットワーク (ネイティブ TRX) に設定する必要があります。誤ったネットワーク (たとえば BEP-20 や他チェーン) を選ぶと資産が届かない可能性があります。
また、TRX を送金するためには手数料 (ガス代) が必要です。Tron ネットワークでは、送金時に最低残高 (リザーブ) が要求される場合もあるため、ウォレットに TRX をある程度残しておくことが重要です。特に、アカウントが非アクティブになるリスクを避けるため、最低 0.1 TRX 程度の残高を維持すべきとの報告があります。
秘密鍵またはシード (リカバリーフレーズ) の管理も不可欠です。これらを安全にオフラインで保管しておけば、デバイス紛失やアプリ削除時でもウォレットを復元できます。
Trust Wallet から TRX を送金する方法
Trust Wallet に保管している TRX を他のウォレットや取引所に送金するには、以下の手順が基本となります。
- Trust Wallet アプリを開き、TRX を選択します。
- 「送金 (Send)」をタップし、送金先の Tron アドレスを入力します。
- 送金量を指定し、必要なガス代 (送金手数料) を確認します。
- 内容を最終確認してから送金を実行。
- 送金後、トランザクション ID (TXID) が発行されますので、Tron スキャンなどブロックチェーンエクスプローラでステータスを確認できます。
送金時の注意点として、ウォレット残高をゼロに近づけすぎると最小残高未満になり、アカウントが非アクティブ化するリスクがあります。また、誤送信防止のためにアドレスをコピペし、慎重に確認する習慣を持つことが望ましいです。
TRX の価格履歴 — 過去最安値と最高値
TRX の価格は大きく変動してきました。CoinGecko のデータによれば、TRX の 過去最低価格 (All‑Time Low) は約 0.001804 USD という非常に低い水準を記録しています。
一方、過去最高価格 (All‑Time High) は約 0.4313 USD とされており、この値は近年 (2024年) に達したピークを示しています。
また、CoinLore の履歴データによれば、TRX の最低値は $0.00154（2017年）、最高値は $0.3688 (2024年) との報告もあります。
このような変動は、Tron の長期成長性やネットワーク需要、ステーク・ガバナンスなど多様な要因が影響してきたことを反映しています。
Coincheck における TRX の取り扱い状況
Coincheck は日本国内の大手暗号資産取引所ですが、その取扱銘柄一覧 (2025年時点) を確認すると、TRX (Tron) は公式の通貨リストには含まれていないと見られます。Coincheck が公表している 取り扱い通貨数は 35 種類ですが、TRX の名前はその中に記載がなく、明確なサポートが確認できない状況です。
加えて、Coincheck の「つみたて (定期購入)」サービスにおける TRX の一覧にも含まれていないようです。
これらの点から、Coincheck を利用して TRX を購入・保有・出金することは現時点で制限がある可能性があります。TRX の運用を検討する際には、Coincheck 以外の取引所を利用するか、サポート状況の変化を定期的に確認することが重要になります。
Trust Wallet と Coincheck の長所・短所
Trust Wallet の長所
Trust Wallet はセルフカストディ型であり、ユーザー自身が秘密鍵を管理できる点が大きな強みです。これにより、資産を自己管理する自由とセキュリティを両立できます。
マルチチェーン対応 (Tron ほか多数チェーン) で、TRX と他の暗号資産を一つのアプリで管理できる利便性があります。
Trust Wallet には購入 (Buy)、スワップ (Swap)、送金 (Send)、受け取り (Receive) などの機能が備わっており、日常的な暗号資産運用がスマホひとつで完結します。
シードフレーズ (リカバリーフレーズ) を自分で管理できるため、ウォレットの完全復元が可能です。
Trust Wallet の短所
TRX を送金する際に最低残高が必要で、残高をギリギリまで使ってしまうとアカウントが非アクティブになるリスクがあります。
送金時に相手アドレスやネットワークを誤ると資産が失われる可能性があるため、慎重な操作が求められます。
秘密鍵・シードフレーズの管理を怠ると、ウォレット復元が不可能になり得るため、バックアップの手間が発生します。
Coincheck の長所
Coincheck は日本国内向けサービスとして非常に使いやすく、日本円による入金・出金が容易です。
取引所としての信頼性が高く、国内規制 (金融庁) に準拠して運営されているため、法的な安心感がある。
日本語サポートやユーザーインターフェースが初心者にも優しい設計となっており、簡単に暗号資産取引を始めやすい。
Coincheck の短所
TRX (Tron) の取扱が確認されていない可能性があるため、TRX を扱いたいユーザーには制限がある。
取引所に資産を預ける形になるため、ハッキングや取引所倒産といったリスクを一定以上負う。
定期購入や貸暗号資産など多様な運用サービスはあるものの、トロン特有のステークやガス最適化などウォレット内運用には対応しきれない面がある。
運用戦略と注意点の提案
TRX を保有・運用するにあたっては、自身の目的 (長期ホールド、送金、DeFi 活用など) を明確にすることが重要です。
送金用途 (例えば DApps への参加や別ウォレットへの移転など) では、Trust Wallet を利用してセルフカストディで保管・送金するのが効果的です。送金時にはネットワークとアドレス (特に Tron ネットワークを選ぶ) を慎重に確認し、まずは少額でテスト送金を行うことをおすすめします。
長期保有を目的とする場合は、TRX を Trust Wallet に保持し、定期的なバーン (供給削減) やネットワーク成長を見据えてホールド戦略を採ることが有効です。供給が減少傾向にあるという報告もあり、これが将来的な価値維持に寄与する可能性があります。
一方、もし日本円での購入や換金を希望するなら、Coincheck や他の国内・海外取引所を併用する方法が考えられます。ただし、Coincheck で TRX の取り扱いがない現状では、TRX 対応の取引所を利用する必要があるため、取引所選びは重要です。
送金や運用に際しては、秘密鍵・リカバリーフレーズを確実に管理し、バックアップを複数 (オフライン、物理媒体など) に作成してください。また、ネットワーク手数料 (ガス) に備えて、ウォレット内に十分な TRX を残すことも忘れないようにすると安全性が向上します。
結論
Trust Wallet を利用すれば、TRX (Tron) を安全に保管・送金でき、自分で秘密鍵を管理する自由とセキュリティを得られます。マルチチェーン対応とスマホで完結する利便性も大きな魅力です。
TRX の価格は過去に非常に低い水準から数倍、十数倍に成長した歴史があり、将来的な発展性も十分に見込まれます。一方で、最低残高や資産管理の手間など注意点があるため、運用には慎重さが求められます。
Coincheck では TRX の取り扱いが明確ではなく、現時点での取引には制限がある可能性があります。このため、TRX を運用・取引するには、Trust Wallet を核に据えつつ、TRX をサポートする他の取引所も併用する戦略が現実的でしょう。
目的とリスク許容度を明確にした上で、Trust Wallet と取引所を賢く使い分けることが、TRX の運用を成功させる鍵となります。
