はじめに
暗号資産（仮想通貨）の世界には、単なる決済手段や投資対象を超えた、コミュニティ主導型のミームコインが数多く存在します。そのなかでも TOSHI（通称 Toshi／TOSHI）は、Base（Coinbase の Layer-2）上で展開されるキャットテーマのミームコインとして注目を集めています。TOSHI を安全に管理・運用するには、適切なウォレットが不可欠です。一方で、日本国内の主要取引所である bitFlyer（ビットフライヤー） において TOSHI の取り扱いがあるのかも重要な観点となります。本稿では、Trust Wallet を利用した TOSHI の保管・送金方法、TOSHI の価格履歴、bitFlyer の概要と TOSHI への対応状況、さらに Trust Wallet と bitFlyer の優劣を比較して論じます。
TOSHI（トシ）とは
TOSHI は Base ブロックチェーン（Coinbase の Layer-2 ネットワーク）上で発行されたミームコインであり、そのトークン名は Brian Armstrong（Coinbase CEO）の猫の名、およびビットコイン創設者「サトシ・ナカモト（Satoshi Nakamoto）」にちなんで命名されているというコミュニティの語りがあります。
このトークンは強いコミュニティ駆動型であり、将来的には MEOW DAO のようなガバナンス構造を目指すとの意見も Reddit などで散見されます。 また、TOSHI 所有者には NFT（「NFTOSHI」）の発行やツール（ToshiTools）を通じたエンゲージメントが提供されており、ミーム＋コミュニティ文化を持続させる仕組みが構築されつつあります。
発行総数は非常に大きく、CoinGecko のデータによれば 4206.9 億 TOSHI が最大供給量（Max Supply）とされています。
TOSHI の価格履歴：過去最低値と最高値
TOSHI の価格変動はミームコインらしい激しいものです。CoinGecko のデータによれば、TOSHI の過去最高値（All-Time High）は 約 0.002260 USD（2025年1月26日付近） であると報告されています。
一方、過去最低値（All-Time Low）は 約 0.000071896 USD（2023年10月9日付近） と記録されており、非常に低い水準からスタートしていたことが分かります。
また CoinLore のデータでは、2024年9月に最低値 0.0000780 USD、2025年1月に最高値 0.00146 USD を記録したという情報もあります。
LBank の履歴データでも、2025年中のトレンドとして価格が数十万分の一ドルのレンジを推移していた様子が確認できます。
このような価格履歴からわかるのは、TOSHI は非常に高リスク・高リターンのトークンであり、保有・運用にあたっては慎重な判断が必要という点です。
Trust Wallet による TOSHI の保管・送金
TOSHI を安全に保管し、必要に応じて送金するためには Trust Wallet（トラスト・ウォレット） のようなノンカストディアルウォレットを使うことが非常に有効です。
Trust Wallet の導入と準備
まず、スマートフォン（iOS または Android）に Trust Wallet アプリをインストールします。初めて起動する際には「新しいウォレットを作成」または「既存ウォレットを復元」を選択できます。「新しいウォレットを作成」を選ぶと、アプリは シードフレーズ（リカバリーフレーズ） を提示します。このシードフレーズは非常に重要な情報であり、第三者に知られてはいけません。紙に書いてオフラインで保管するなど、安全な方法でバックアップしてください。
TOSHI トークンの追加（カスタムトークン設定）
Trust Wallet を使用する際、TOSHI がプリセットで表示されていない場合があります。その場合は、カスタムトークンを追加する必要があります。具体的には以下の手順：
- Wallet（ウォレット）画面で「トークンを追加（Add Token）」を選択。
- カスタムトークンのオプションを選びます。
- TOSHI のコントラクトアドレスを入力（Base ネットワークまたは Ethereum 互換チェーンなど、正しいアドレスを使用）。
- トークンシンボルを「TOSHI」、小数点以下の桁数（デシマル）を正しく入力。
- 正しく入力されれば、Trust Wallet の資産一覧で TOSHI が表示されるようになります。
ここで注意すべきは、ネットワーク（チェーン）を間違えると資産を失う可能性があることです。複数のチェーン（Base、BSC など）に同一トークン名があるケースもあるため、必ず正しいコントラクトアドレスを確認してください。 Reddit 等でも、ウォレットアドレスを誤解して混乱が起きているという報告があります。
TOSHI の受け取り（入金）方法
Trust Wallet に TOSHI を受け取るには、Trust Wallet アプリ内で TOSHI を選び、「受け取る（Receive）」をタップします。表示されるアドレスをコピーし、送金元（取引所や別ウォレット）にそのアドレスを指定します。送金前にアドレスが正しいか、ネットワークが正しいかを慎重に確認することが不可欠です。誤ったアドレスやネットワークへの送金は資産の喪失につながるリスクがあります。
TOSHI の送信（出金）手順
送信は、Trust Wallet で TOSHI を選択し、「送信（Send）」をタップするところから始まります。送付先アドレス、送る数量、およびガス（手数料）を指定します。Base ネットワークや対応チェーンを使用する場合、ガス構成（速さや金額）を調整できるケースがあります。入力内容（アドレス、数量、手数料など）を最終確認し、送金を実行します。送金後、トランザクション識別子（TXID）が発行されるので、メモしておくと後で追跡できます。
セキュリティ管理とリスク対策
Trust Wallet を利用する上では、次の点に十分注意を払う必要があります。まず、シードフレーズの管理は絶対に怠らないこと。オフライン媒体に保管し、第三者には決して共有しないこと。次に、送金時にはアドレスをコピペだけでなく目視でも確認する習慣を持つこと。さらに、ネットワーク（チェーン）の選択を誤ると資産を取り戻せないリスクがあるため、TOSHI が動いているチェーンを予め確認することが重要です。また、Trust Wallet アプリを常に最新バージョンに保つことで、セキュリティ面での脆弱性を低減できます。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と TOSHI 取り扱い状況
ここでは、日本を代表する暗号資産取引所 bitFlyer（ビットフライヤー） の概要と、TOSHI との関係について整理します。
bitFlyer の基本情報と信頼性
bitFlyer は日本国内で非常に著名な暗号資産交換業者であり、金融庁への登録も済んだ正規交換所です。 創業以来、堅牢なセキュリティを掲げており、顧客資産の大部分はコールドウォレットで管理されているほか、多重署名（マルチシグ）や暗号鍵の暗号化等の防御策も講じられています。
サービス面では、販売所（ユーザー対取引所形式）、かんたん取引所、そして高度なユーザー向けには bitFlyer Lightning（取引所形式）を提供しています。
bitFlyer の取り扱い通貨（アルトコイン）
bitFlyer が公式に公表している仮想通貨一覧によると、ビットコイン（BTC）、イーサリアム（ETH）、ライトコイン（LTC）、ビットコインキャッシュ（BCH）、モナコイン（MONA）、XRP、BAT、ETC などが含まれており、合計で数十種類を取り扱っています。
ただし、TOSHI（トシ） はこの公式リストには含まれていません。
つまり、現時点（少なくとも公表情報上）では bitFlyer において TOSHI を売買・入出金するサービスが提供されていない可能性が極めて高いと判断されます。
bitFlyer の強みと注意点
bitFlyer の長所として、強固なセキュリティ体制、日本円での入出金対応、高い信頼性があります。さらに、1円から取引可能という少額投資への敷居の低さも評価されており、初心者にとって始めやすいプラットフォームです。
一方で、取り扱い通貨が限られている点はアルトコインを幅広く運用したいユーザーにとって制約となります。また、取引所形式（Lightning）や販売所形式を使い分ける必要があり、手数料やスプレッド（売買差額）を慎重に見定める必要があります。さらに、TOSHI のような新興ミームトークンを扱っていないため、そうしたトークンを運用する場合には bitFlyer は選択肢になりにくいという重大な課題があります。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：TOSHI を軸にした長所・短所分析
TOSHI を運用・保有する際に、Trust Wallet と bitFlyer を比較すると、以下のような優劣が浮かび上がります。
Trust Wallet の優位性
Trust Wallet はノンカストディアル型であり、ユーザー自身が秘密鍵（シードフレーズ）を管理します。そのため、自分の資産を完全にコントロールでき、取引所破綻やハッキングなどのリスクを軽減できます。特に TOSHI のようなミームコインを所有・長期保有する場合、自己管理型ウォレットの自由度は大きな強みです。
また、Trust Wallet ではカスタムトークンの追加が可能であるため、TOSHI のようなコントラクトトークンを簡単に登録できます。さらにモバイルアプリでの操作性が高く、送受金が直感的で使いやすい点もメリットです。プライバシー性という観点でも、個人情報入力が不要なウォレットの方が好まれるケースがあります。
ただし、デメリットもあります。自己責任での管理になるため、シードフレーズの漏洩や紛失は致命的です。送金操作におけるミス（アドレス誤入力、チェーンの誤選択など）は資産を失うリスクがあります。また、ガス（トランザクション手数料）が高騰している場合は送金コストがネックになることがあります。
bitFlyer の優位性
bitFlyer は日本国内での高い信頼性を誇る取引所であり、多くのユーザーにとって使いやすいプラットフォームです。日本円での入出金がスムーズにできる点、価格の透明性、そしてセキュリティ体制が整っている点は強みです。
加えて、bitFlyer Lightning などを通じて国内の取引所としての利便性が高く、特にビットコインや主要アルトコインを頻繁に取引したいユーザーには適しています。また、少額から取引可能という特徴も初心者層には魅力的です。
しかし、TOSHI を扱っていないという点は見逃せない制約です。たとえ bitFlyer が信頼できる取引所であっても、TOSHI の運用・保有を目的とするユーザーにとっては、実際の取引や資産管理において役割を果たせない場面があります。また、取引所に資産を預けるという性質上、カウンターパーティリスク（取引所の運営・破綻リスク）があります。
運用戦略と提言
TOSHI を運用・保有する際には、以下のような戦略が実用的です。
最初に、Trust Wallet などの自己管理型ウォレットで TOSHI を保持し、資産を自分の手元でコントロールする運用がベースとなるべきです。特に中長期保有を視野に入れるならば、ウォレットでの管理が最良の選択肢となるでしょう。
送金や流動性が必要な場合には、TOSHI を取り扱っている対応取引所（例：Coinbase、Base 対応取引所など）への送金を行い、取引を実施します。ただし、その際はガス代や送金手数料をあらかじめ見積もり、タイミングを工夫してコストを抑えることが重要です。
また、TOSHI のコミュニティや開発状況、プロジェクトロードマップを定期的に確認することも大切です。ミームコインはトークン自体の技術基盤やユーティリティよりも、コミュニティの関与や話題性に左右されやすいため、投資判断には慎重さが求められます。
最後に、ウォレット運用時にはセキュリティ対策を徹底してください。シードフレーズの厳重な保管、詐欺リンクや不審な airdrop への注意、送金前の二重チェックなどを常に実行する習慣をつけることが重要です。実際、TOSHI コミュニティ内でも「ウォレット接続詐欺」への警戒が繰り返し呼びかけられているとの報告があります。
結論
TOSHI（トシ）は Base ブロックチェーン上のミームコインとして、強力なコミュニティと独自文化を持つ存在です。その価格履歴を見ると大きな変動があり、高リスク・高リターンの投資対象であると言えます。
Trust Wallet を用いれば TOSHI を自己管理型で安全に保管し、必要なときに送金も可能です。一方、bitFlyer は国内で非常に信頼性が高い取引所ですが、現時点では TOSHI の取扱が確認されていないため、TOSHI を運用する際の主要なプラットフォームとしては適していない可能性が高いです。
そのため、TOSHI を保有・運用するには、Trust Wallet を中心に据えた戦略が基本になるべきです。同時に、取引所での活用を考える場合は、TOSHI をサポートする取引所の選定、送金コストやセキュリティリスク、コミュニティ動向などを総合的に勘案することが望ましいでしょう。
