はじめに：RLUSD とは
RLUSD（Ripple USD／リップルUSD）は、リップル（Ripple）社が発行する米ドルペッグ型（1 RLUSD ≒ 1 USD）のステーブルコインです。リップル社が展開するブロックチェーン技術を活用した決済・金融インフラの中核を担うことを目指しており、法定通貨と暗号資産をつなぐ架け橋として機能します。
RLUSD は NYDFS（ニューヨーク州金融サービス局）による信託会社ライセンスを得ており、発行体が米ドル預金や米国短期債、現金同等物によって裏付け資産を保有しているとされています。
また、ブロックチェーンとしては XRP Ledger（XRPL） および Ethereum（ERC-20） 上で発行されており、それぞれのチェーンで利用用途や特性が異なります。
リリースは 2024年12月17日で、リップル社はこのステーブルコインを企業・機関向け用途、国際送金、資金管理、DeFi 決済などに活用したいとしています。
RLUSD の価格歴史：最低値と最高値
ステーブルコインである RLUSD は、理論上は 1 USD にペッグ（価値固定）されている通貨です。したがって、ボラティリティは非常に低く、暗号資産のような激しい価格変動は通常見られません。
実際、公開情報や報道を見ても、RLUSD が過去に大幅に乖離した価格（例：0.5 USD や 1.5 USD など）を記録したという明確な「歴史的最高値／最安値」に関するデータは確認されていません。これはステーブルコインとしての設計目的（法定通貨への連動性）の証でもあります。
RLUSD の発行総量や時価総額に関する報道はあります。たとえば、2025年4月には時価総額が 3億ドル を突破したとの報告があります。
このことから、価格がペッグ水準を大きく外れるような大幅な変動は少ないものの、発行量や市場での流通量は比較的急速に拡大していると言えます。
Trust Wallet による RLUSD の保管と送受信
Trust Wallet の XRP Ledger（XRPL）トークン対応
Trust Wallet は 2025年2月に XRPL トークンのサポート を発表しました。これにより、ユーザーは XRP Ledger 上で発行された IOU 形式のトークン（XRP とは別）を Trust Wallet で扱えるようになりました。
リリースにより、ユーザーは Trust Wallet を通じて RLUSD などの XRPL ベーストークンを受け取ったり送信したりできるようになっています。
Trust Wallet での RLUSD の追加・有効化
- Trust Wallet アプリを最新バージョンに更新します。
- アセット管理画面（「Manage Crypto（仮想通貨の管理）」）を開き、ネットワークを「XRP（XRPL）」に切り替えます。
- リスト内に RLUSD があればトークンを「Enable（有効化）」します。
- この際、XRPL における Trust Line（信頼線） の設定が行われます。Trust Line を設定することで、そのアドレスで RLUSD の所有を受け入れる許可を与えることになります。
- Trust Line を開設するには、XRPL 上で少量の XRP が “準備リザーブ” として必要です。
- 有効化後、「受け取る（Receive）」をタップし、RLUSD のアドレスをコピー／QRコードを使って送金元に伝えます。
RLUSD の送金（送信）
RLUSD を送信する際は以下のような流れになります。
- Trust Wallet で RLUSD トークンを選択し、「Send（送信）」をタップ。
- 宛先アドレスおよび送付量を入力。
- 必要に応じて Destination Tag（宛先タグ） を設定します（特定の発行者や取引所が要求する場合があります）。
- 内容を確認し、トランザクションを承認。
- 送信には XRPL の送金手数料がかかりますが、XRPL は非常に低コストかつ高速（数秒）でトランザクションが完了します。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と RLUSD
bitFlyer の基本情報
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本の大手暗号資産取引所で、ビットコインをはじめ多くの主要暗号資産を取り扱っています。日本国内で高い信頼性を持つ取引所であり、法定通貨（日本円）での入出金や取引が可能です。
RLUSD の bitFlyer での取扱状況
調査時点において、bitFlyer に RLUSD の取り扱いがあるという公表情報は確認されていません。主要な報道や bitFlyer の公開銘柄リストにも RLUSD の記載はないため、現状 bitFlyer における RLUSD の売買・預入／出金は限定的、または未対応である可能性が高いと言えます。
なお、RLUSD は主に以下の取引所で流通が確認されています：
- 米国大手取引所の Gemini に上場済み。
- 機関向け取引所 LMAX Digital にも RLUSD がリストされているという発表あり。
従って、日本国内ユーザーが RLUSD を取得・保有するには、現時点では bitFlyer 以外の取引所（海外または対応ウォレット経由）を利用する必要がある可能性があります。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：利点と課題
Trust Wallet の強み（利点）
- 自己管理型ウォレット：秘密鍵を自分で管理でき、資産を自分でコントロールできる。
- XRPL トークン対応：今回のアップデートにより、RLUSD のような XRPL 発行 IOU トークンを直接受け取って管理できるようになった。
- 低コスト高速送金：XRPL を使う RLUSD の送金は、非常に手数料が低く、トランザクションが速い。
- モバイル対応：スマートフォンで操作でき、どこからでもアクセスが可能。
Trust Wallet の課題・リスク
- 初期準備コスト：XRPL で Trust Line を開設するには XRP のリザーブが必要であり、ウォレット内にあらかじめ一定量の XRP を保持しておく必要がある。
- 送信ミスのリスク：送金先アドレスや Destination Tag（宛先タグ）を間違えると資産を失う可能性がある。
- モバイルのリスク：スマホ紛失・破損・セキュリティ侵害などは自己責任。
- ステーブルコイン特有リスク：発行体リスク（リザーブ資産の透明性、裏付け資産の質など）が完全にゼロとは言えない。
bitFlyer の強み（利点）
- 信頼性・規制遵守：日本国内で金融庁登録などを受けており、法規制への対応がしっかりしている。
- 法定通貨対応：日本円での入出金、取引が可能で、暗号資産を円で売買する際に便利。
- 取引インターフェース：初心者でも使いやすい UI／UX。販売所形式や取引所形式（Lightning など）が選べる。
- 資産流動性：主要コインは流動性が高いため、大きな額の売買でも比較的安定。
bitFlyer の課題・リスク
- 対応通貨の制限：全てのトークンが上場しているわけではなく、特に新規ステーブルコイン（例：RLUSD）などは未対応または流通が限定される可能性がある。
- 手数料コスト：販売所形式ではスプレッドが実質的なコストとなる場合がある。
- カストディリスク：取引所に資産を預ける形式になるため、自分で秘密鍵を管理するわけではない。
- 出金制限・手数料：出金時に通貨・額に応じて手数料がかかる、または出金限度があることがある。
総括と注意点
RLUSD は、リップル社が発行する信頼性の高い米ドルペッグ型ステーブルコインであり、XRPL と Ethereum の両チェーンで発行されている点が大きな特徴です。ステーブルコインとしての設計思想により、価格変動は非常に小さく、1 USD に極めて近い価値を保つことが目指されています。
Trust Wallet が XRPL トークンをサポートしたことで、ユーザーは RLUSD をモバイルウォレットで直接管理し、送受信できるようになりました。一方で、XRPL 特有の Trust Line やリザーブ要件などを理解しておく必要があります。
bitFlyer に関しては、信頼性・流動性・日本円との取引といった強みがありますが、現時点では RLUSD の取り扱いが確認されていないため、RLUSD を中心に運用したい場合には代替の取引所やウォレットを併用する戦略が現実的です。
最後に、ステーブルコインであってもリスクはゼロではありません。特に法定通貨との裏付け資産の管理状況や運営体制には注意を払いながら、自分の投資・利用目的に応じて Trust Wallet と取引所を使い分け、適切に運用することをおすすめします。
