はじめに：Radicle（RAD）とは
Radicle（RAD）は、オープンソースの分散型ソフトウェア開発ネットワークを構築するためのプロトコルです。Git のピアツーピア技術をベースに、集中型のリポジトリ（例：GitHub）に依存せず、開発者がコードを相互に共有・管理できる仕組みを提供します。RAD トークンはこのネットワークのガバナンストークンとして機能し、参加者がプロトコルのガバナンスに関与したり、経済的な報酬を得たりできるよう設計されています。
Radicle はまた、Ethereum スマートコントラクトとの統合も行っており、分散型コラボレーション環境とブロックチェーンを融合させたエコシステムを目指している点が特徴です。
RAD の価格変動履歴（過去最安値・最高値）
RAD の価格は、プロジェクトの初期から大きく変動してきました。以下は主要な履歴ポイントです。
- CoinLore のデータによると、RAD の 過去最高値（ATH） は 25.30 USD（2021年4月頃）と報告されています。
- 同じデータソースでは、過去最安値（ATL） が 0.3389 USD（2025年11月）と記録されています。
- 一方、別の情報サイト Cryptonary では ATH：27.61 USD、最安値：0.611 USD という記録があるとしています。
- 日本円に換算したデータとしては、CoinMarketCap の RAD ページより、ある時点での RAD の 過去最高値が約 ¥4,032.92、過去最安値が約 ¥83.27 と報告されています。
- また、取引所 XT.com によれば、RAD の史上最高値は US$27.61、史上最低値は US$0.36052 との情報もあります。
これらの価格推移は、Radicle の初期関心やプロジェクトの発展、そして市場全体のサイクルに強く影響されてきたことを示しています。
Trust Wallet による RAD の保存および送信方法
Trust Wallet はモバイル向けの非カストディアルウォレットで、ERC-20 トークン（およびそれに準ずる規格のトークン）をサポートしており、RAD も信頼性を持って管理することが可能です。
まず、Trust Wallet をスマートフォンにインストールし、ウォレットを作成します。その際に表示される シードフレーズ（復元フレーズ） は、オフラインで安全な場所に書き留めて保存してください。これは万が一スマホを紛失したり、アプリを再インストールする必要が生じた場合に、ウォレットを復元するための唯一の手段です。
次に、Trust Wallet に RAD トークンを追加します。アプリを開き、「トークンを追加」または「カスタムトークンを追加」の機能を使って、RAD のコントラクトアドレスを手入力する必要がある場合があります。RAD のコントラクトアドレスは Radicle の公式サイトや Etherscan などの信頼できる情報源から取得してください。
RAD を受け取る（入金）場合には、Trust Wallet で RAD トークンを選び、「受け取る（Receive）」をタップしてウォレットのアドレスを表示させます。表示されたアドレスをコピーして、取引所や他のウォレットから送金元に指定します。送金の際はアドレスとネットワークが正しいか必ず確認しましょう。
送金（出金）するには、RAD トークン画面で「送る（Send）」を選び、送金先アドレス、数量、ガス代を入力します。ERC-20 ベースのトークンである RAD は、トランザクション時にイーサリアムのガス代が必要となるため、送金前に十分な ETH（イーサ）をウォレットに保持しておくことが重要です。送金前には、少額を使ったテスト送金を行って安全性を確かめてから本送金を行うのが良いでしょう。
また、Trust Wallet のセキュリティ対策として、シードフレーズの厳重管理に加えて、アプリに PIN コードや生体認証（指紋認証・顔認証） を設定することを強く推奨します。これにより、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と RAD との関係
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本国内で非常にポピュラーな暗号資産取引所の一つです。2014年に設立され、本社は東京にあります。
ビットフライヤーでは、「販売所」「かんたん取引所」「bitFlyer Lightning」という取引形態を提供しており、初心者から上級者まで幅広いユーザーが利用可能です。
また、セキュリティ面についても高い評価を受けており、強固な資産管理体制やサポート体制が整っています。
しかし、bitFlyer の 取り扱い暗号資産一覧を見ると、RAD（Radicle）は含まれていません。
つまり、bitFlyer では現時点で RAD を売買したり、入出金したりすることはできない可能性が非常に高いです。
Trust Wallet と bitFlyer の優劣（RAD を扱う観点から）
これまで述べてきたことを踏まえ、RAD の運用を前提とした場合における Trust Wallet と bitFlyer のそれぞれの強み・弱みを整理します。
まず Trust Wallet の長所としては、ユーザー自身が 秘密鍵（シードフレーズ）を管理する非カストディアルウォレットであるため、資産を完全にコントロールできる点が挙げられます。また、ERC-20 トークンを広くサポートしており、RAD のようなトークンを保存・管理するのに適しています。モバイルから簡単に送金・受け取りができ、必要に応じてガス代を指定してトランザクションを実行できる柔軟性もあります。さらに、PIN や生体認証などのセキュリティ機能を設定でき、不正アクセス対策がしやすい点もメリットです。
一方、デメリットとしては、トランザクション時に ガス代 がかかること、ガス代が高騰したときのコストリスク、そして シードフレーズを失うとウォレットを復元できず資産喪失につながるリスクがあることが挙げられます。加えて、ウォレットとしての機能に特化しているため 取引（売買）機能は限定的で、RAD のようなトークンを売買するには外部の取引所（CEX や DEX）に依存する必要があります。
次に、bitFlyer の強みを挙げると、まず日本国内大手の取引所であることから 信頼性・セキュリティで優れており、日本円での入出金や、日本国内法令への準拠がしっかりしている点が非常に重要です。また、販売所形式を通じて 初心者でも簡単に仮想通貨の売買が可能で、小額から始められるのも利点です。さらに、bitFlyer Lightning などを活用することでプロ向けの取引も可能です。
しかし、RAD を目的とする場合、bitFlyer の大きな弱点は RAD を扱っていないことです。取り扱い通貨に制限があるため、RAD の購入・売却ができないという致命的な制約があります。また、取引所に資産を預ける性質上、ハッキングや運営リスクなどのカストディリスクも無視できません。加えて、出金や売買時の手数料やスプレッドも考慮する必要があります。
実践的な戦略とアドバイス：RAD を活用するには
RAD を運用する際の現実的な戦略を考えてみましょう。
RAD を 保有（長期保管） したい場合には、Trust Wallet のような非カストディアルウォレットを使うのが非常に理にかなっています。鍵を自分で管理でき、取引所リスクを避けつつ、必要なときにはいつでも送金できる自由があります。
RAD を 売買（取引） したい場合には、bitFlyer では扱いがないため、RAD のある取引所（例：Binance や MEXC など）を使う必要があります。実際、CoinLore の取引所リストには Binance や MEXC が含まれており、RAD/USDT などのペアで取引が可能です。
この場合、取引所で購入した RAD を Trust Wallet に送金して、そこから管理・運用するという形が現実的です。
送金や管理時の安全性を高めるためには、小額でのテスト送金を常に行うこと、送金先アドレスとネットワークを二重に確認すること、Trust Wallet のセキュリティ設定（PIN、生体認証）を有効にすることなどが重要です。
また RAD の将来性を見通すうえで、Radicle のプロジェクト自体（開発者向けコラボレーションツールとしての採用、有志参加のガバナンス、エコシステムの成長など）を引き続きウォッチすることも有効です。
結論
Radicle（RAD）は、分散型のソフトウェアコラボレーションというユニークなビジョンを持つプロジェクトであり、そのトークン RAD はガバナンスやエコシステムへの参加を可能にします。歴史的には価格の大きな変動を経験しており、投資や保有には慎重な見極めが必要です。
Trust Wallet を使えば、RAD を安全に自分で管理し、非カストディアルな形で保有・運用することが可能です。一方、bitFlyer など国内大手取引所では RAD の取り扱いがなく、RAD の売買には他の海外取引所を併用する必要があります。
RAD を持つ目的が「保有と長期参加」であれば Trust Wallet が適し、一方で「売買を目的とするならば、RAD を扱っている取引所を使い、その後 Trust Wallet に転送して運用する」戦略が現実的です。
