はじめに：FTT（FTX トークン）とは
FTT は、かつて存在した大手暗号資産取引所 FTX のネイティブトークンです。FTX は取引所運営のために FTT を発行し、これを保有することで取引手数料の割引や清算保険基金への一部参加、OTC スプレッドの優遇、担保としての利用など多様なユースケースがありました。
FTT は ERC-20 トークンとしてイーサリアムネットワーク上に存在するほか、Solana など他チェーンのラップ版も流通していたという報告もあります（例：Sollet や Wormhole 経由）。 > 他チェーン版の FTT は、ERC-20 版と区別を要するため、ウォレット管理時には送受金ネットワークを正確に確認する必要があります。
なお、FTX の経営破綻に伴って FTT の価値には大きな影響があり、流通やユースケースにも制限が出てきています。
FTT の価格変動履歴（歴史的最安値・最高値）
FTT の過去価格は非常に激しく変動しました。主な履歴は次の通りです。
- CoinGecko のデータによれば、FTT の 過去最高値（ATH） は 84.18 USD（2021 年 9 月）です。
- また、同じ CoinGecko では 過去最安値（ATL） が 0.5366 USD（2025 年 10 月付近）と報告されています。
- XT.com によると、FTT の 史上最安値 は 0.536571 USD、最大供給量は約 352,170,015 トークン、循環供給量が約 328,895,103 トークンとされています。
- Phemex のリアルタイム価格では、FTT は 0.653427 USD 程度で推移しており、これを基に時価総額などを示しています。
- また、FTT の価格に関する将来予測やリスク分析に関しても、Gate などの分析記事があり、市場動向やマクロ経済の影響を考慮した長期予測が報じられています。
これらのデータから、FTT はピーク時の非常に高い価格から大幅に下落し、かつてのユースケースや市場信頼性が揺らいだ結果として、現在はかなり低めの価格帯で推移していることがわかります。
Trust Wallet による FTT の保管および送金方法
FTT を Trust Wallet で管理するための基本的な手順と注意点を以下にまとめます。
まず、スマートフォンに Trust Wallet をインストールし、新しいウォレットを作成します。復元のための シードフレーズ（復元フレーズ） が表示されるので、オフラインで安全な場所に記録して保管してください。これはウォレット紛失やアプリ再インストール時の復元に必須です。
次に、Trust Wallet で FTT トークンを追加します。アプリの「トークンを追加」機能を開き、FTT を検索します。もしリストに見つからない場合は、「カスタムトークンを追加」を選んでコントラクトアドレスを入力する必要があります。使用するネットワーク（例：ERC-20 版か、Solana 版か）に応じて正しいコントラクトアドレスを取得することが重要です。
FTT を受け取る（入金）際には、Trust Wallet 内で FTT を選び、「受け取る（Receive）」をタップします。表示されたアドレスをコピーし、送金元（取引所や他のウォレット）へそのアドレスを指定して送金します。送金時には、ネットワーク（ERC-20 か SOL か等）を誤らないよう十分に注意してください。
送金（出金）を行うには、Trust Wallet で FTT を選択し、「送る（Send）」をタップします。宛先アドレス、送金量、ガス代（手数料）を入力し、最終確認をして実行します。ERC-20 版 FTT を送金する場合はイーサリアムのガス代が必要となるため、ウォレットに十分な ETH があることを事前に確認してください。特にガス価格が高騰している時期には、コストが無視できない場合があります。
送金の安全性を高めるためには、一度に大量を送るのではなく、小額での「テスト送金」をまず行う習慣をつけるのが有効です。これにより、アドレスの誤入力やネットワークミスによる資産損失を防ぐことができます。
セキュリティ対策として、Trust Wallet アプリには PIN コードや生体認証（指紋・顔認証など）を設定することが推奨されます。シードフレーズは厳重に保管し、定期的にバックアップを取り、ウォレット復元が確実にできるかどうかを確認しておくと安心です。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と FTT に関する現状
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本を代表する暗号資産取引所の一つです。2014年に設立され、東京に本社を構えており、長年にわたってユーザーから信頼を受けています。
bitFlyer は、販売所形式の取引に加えて、プロ向けの板取引プラットフォームである「bitFlyer Lightning」を提供しており、初心者から上級者まで利用しやすい環境を備えています。
一方で、公開されている bitFlyer の取り扱い通貨リストには FTT（FTX トークン） の記載は確認できません。たとえば BitSen の比較情報などからも、FTT は bitFlyer の取り扱い銘柄には含まれていないことが指摘されています。
また、bitFlyer の公式資料やプレスリリースをチェックしても、FTT 上場に関する発表は見当たらず、現時点で FTT の売買や入出金を bitFlyer で完結させることは難しい状況です。
このような現状を踏まえると、FTT を取得または保有する目的がある場合には、bitFlyer だけでの運用は現実的ではなく、他の取引所（海外の中央集権型取引所や分散型取引所）を併用する必要があります。そして、取得後は Trust Wallet に転送して自己管理を行うスタイルが適切です。
Trust Wallet と bitFlyer の長所・短所（FTT の観点を含めて）
FTT を目的に資産を運用する際、Trust Wallet と bitFlyer にはそれぞれ強みと限界があります。これらを理解することで、自分にとって最適な使い方を構築できます。
まず Trust Wallet の長所は、非カストディアル型ウォレットであるため、ユーザー自身が秘密鍵を管理できる点にあります。これにより、取引所のリスク（ハッキング、運営問題など）を回避し、資産をより安全に保管できます。また、Trust Wallet は多数のトークンをサポートしており、ERC-20 や他チェーンの FTT を一括で管理可能です。モバイルアプリを通じて送受金が直感的に行え、PIN や生体認証によるセキュリティ強化も可能です。
ただし、Trust Wallet のデメリットとしては、トランザクションごとにガス代が発生する点が挙げられます。特に ERC-20 トークンの送金時にはガス価格の変動によってコストが大きくなる可能性があります。また、秘密鍵の管理がユーザーの責任となるため、シードフレーズを紛失するとウォレットを復元できず資産を失うリスクがあります。さらに、Trust Wallet 自体は売買機能を持たないため、FTT の取引には別の取引所（CEX または DEX）を使う必要があります。
一方で bitFlyer の利点は、日本国内での信頼性が高い点です。金融規制への対応、資金保護、ユーザーサポート体制などが整っており、特に暗号資産取引を始める初心者にとって安心できるプラットフォームです。日本円での入出金も扱いやすく、法定通貨とのやり取りがスムーズです。販売所形式であれば少額の取引も簡単に始められ、Lightning を使って高度な取引も可能です。
しかし FTT を目的とする場合、bitFlyer には 取り扱いがないという致命的な欠点があります。このため、bitFlyer 単体では FTT の売買や保管を完結させることはできません。さらに、取引所に資産を預ける形式には、ハッキングリスクや運営リスクがつきまといます。スプレッドや手数料を考慮すると、コスト面でも注意が必要です。
実践的な戦略とアドバイス：FTT を扱うには
FTT を運用・保有する際の現実的な戦略を以下のように考えることができます。
まず、FTT を 長期保有 したいのであれば、Trust Wallet など非カストディアルウォレットへの転送が適しています。これにより取引所リスクを低減し、自分で鍵をコントロールできます。特に取引所が不安定な状況にある場合、自分のウォレットで保管することはリスク管理戦略として有効です。
次に、FTT を 売買目的 で活用したい場合、bitFlyer では扱われていないため、FTT を取り扱っている他の取引所（海外 CEX や DEX）を利用する必要があります。取引所で購入した後に Trust Wallet に移して保管・運用するやり方が現実的です。
送金時には慎重な手順を踏みましょう。まずは少額でのテスト送金を行い、送金先アドレスやネットワークを確認する習慣をつけることが重要です。特に ERC-20 版と他チェーン版の FTT を扱う際は、チェーン間のミスが資産損失に直結するリスクがあります。
また、セキュリティ対策として、Trust Wallet の PIN コードや生体認証を必ず設定してください。シードフレーズは紙などオフラインの媒体で分散保管し、定期的なバックアップとウォレット復元のテストを行って万一に備えておくべきです。
さらに、FTT の将来性を正しく評価するには、FTX エコシステム（過去の破綻を踏まえて再建や新展開があるか）、トークン供給量、ステーキングやユースケースの復活、経済モデルなどを継続してウォッチする必要があります。また、FTT 以外の暗号資産とも分散投資を行い、ポートフォリオ全体でリスクを抑えることが望ましいでしょう。
結論
FTT（FTX トークン）は、かつて非常に注目された取引所トークンであり、保有者には手数料還元やプラットフォーム参加のメリットがありました。しかし、FTX の経営破綻などを経て、現在の価値はかつてのピークから大幅に下落しています。過去の価格履歴は非常にドラマティックであり、今後の展開には不確実性が大きく残る資産です。
Trust Wallet を活用すれば、FTT を自分で管理・送受信する自由が得られ、取引所リスクを避けることができます。一方、bitFlyer では FTT の取り扱いが確認されておらず、取引や保管には他のプラットフォームを併用する必要があります。
FTT に投資・運用を行う際は、自分の目的（長期保有か取引か）を明確化し、適切なウォレットと取引所を組み合わせた戦略を構築することが重要です。また、セキュリティ対策やリスク管理、将来のエコシステムの動向を継続的にモニターすることが、安全かつ有効な運用の鍵となります。
