Web3 や NFT、ゲーム分野で急速に注目を集めているブロックチェーン Flow（フロー） は、Dapper Labs によって設計された消費者向けアプリやデジタル資産に最適化されたレイヤー１チェーンです。Flow のネイティブ資産である FLOW は、ステーキングやガバナンス、アプリ運営などに使われ、その将来性を信じて長期保有を検討する人も多いでしょう。こうしたトークンを安全に管理・運用するには、信頼性の高いウォレットが不可欠です。
モバイル対応のノンカストディアルウォレット Trust Wallet（トラスト・ウォレット） は、ユーザー自身が秘密鍵（シードフレーズ）を管理でき、多くのブロックチェーン資産を扱える柔軟性を持っています。一方、日本国内では bitFlyer（ビットフライヤー） が非常に知名度のある取引所ですが、FLOW の取り扱いに関しては制限があります。本稿では、まず Trust Wallet による FLOW の運用方法を紹介し、次に FLOW の価格履歴、bitFlyer の特性と FLOW との関係、最後に両者を比較した運用戦略を提示します。
FLOW（Flow トークン）とは
Flow は Dapper Labs によって設計されたレイヤー１ブロックチェーンで、NFT、ゲーム、コレクタブルなどの消費者向けアプリケーションに特化した構造を持っています。Flow のアーキテクチャは “マルチロール” ノード（バリデーター、コレクター、実行ノードなど）を採用し、スケーラビリティと効率を両立させています。
ネイティブトークン FLOW は、ステーキング報酬、ガバナンス参加 (将来的) やトランザクション手数料などに使われます。Flow のエコシステムには、NBA Top Shot やその他多くの NFT プロジェクトが存在し、アプリ利用を通じてトークンの実用性が高められています。
FLOW の価格履歴：過去最低値と最高値
FLOW の価格推移は大きな変動を見せており、投資対象として見る際にはその長期トレンドを理解しておくことが重要です。
CoinGecko のデータに基づくと、FLOW の 過去最高値 (All-Time High, ATH) は 42.40 USD (2021年4月5日) です。
一方、過去最低値 (All-Time Low, ATL) は CoinGecko によれば 0.1570 USD (2025年10月10日付近) という記録があります。
CoinMarketCap でも類似のレンジが示されており、現在 (執筆時点) の価格は 約 0.2569 USD と報告されています。
また DigitalCoinPrice によるデータでも、FLOW の ATH が 46.16 USD、ATL が 0.14 USD とされており、極めて大きなボラティリティを持つ資産であることが明らかです。
これらの価格変動は、Flow の開発・採用フェーズの影響を強く受けており、トークンが過去の高値から大幅に下落している一方で、現在の低価格帯は将来的な再評価の機会として捉えるユーザーもいます。ただし、供給量、ステーキング動向、エコシステム成長など多くの要因が価格に影響を与えるため、投資には慎重さが必要です。
Trust Wallet による FLOW の使用・保管・送信
ここからは、Trust Wallet を用いた FLOW の取り扱い方法および注意点について詳しく解説します。
Trust Wallet の利点
Trust Wallet はノンカストディアル型ウォレットであり、ユーザー自身がシードフレーズを管理できます。これにより、取引所に資産を預けずに安全に保有できます。また、モバイルアプリ (iOS／Android) で操作が直感的にでき、複数のチェーン・トークン (ERC‑20、BEP‑2、BEP‑20 など) を扱える柔軟性があります。
ただし、Flow ネットワークは独自チェーンであり、Trust Wallet の対応状況によってはカスタム設定が必要な場合があります。
FLOW のウォレット追加
Trust Wallet に FLOW を追加するには、カスタムトークンとしてトークン情報 (コントラクトアドレスまたはチェーン情報) を入力する必要があります。Flow ネットワーク用のアドレス形式やノードが正しく認識されているか注意しながら登録することが重要です。不適切な設定では、残高が正しく表示されない、または送受信が失敗するリスクがあるためです。
FLOW の受け取り
FLOW を受け取る際は、Trust Wallet 上で FLOW アセットを表示 → 「受け取る (Receive)」を選択 → 表示されたアドレスをコピーし、送金元 (取引所または他ウォレット) に指定します。この時、アドレス形式およびチェーン (Flow) が正しいことを十分確認する必要があります。
FLOW の送信
FLOW を送るには、Trust Wallet で FLOW を選択 → 「送信 (Send)」をタップ → 宛先アドレス、送付量を入力 → 手数料 (ガス) を確認 → 内容を最終確認 → 承認という手順を踏みます。送信後、トランザクション ID (TXID) が発行されるため、これを控えてブロックチェーンエクスプローラで確認可能です。
セキュリティと運用リスク
Trust Wallet で FLOW を管理する際には、以下の点に留意する必要があります：
- シードフレーズはオフライン媒体 (紙や金属など) に慎重に保管し、第三者と共有しない。
- 送金先アドレスはコピペ後に目視で確認し、誤送金を防ぐ。
- ウォレットアプリを常に最新版に更新し、セキュリティ強化を図る。
- 不審な DApp やウェブサイトとのウォレット接続を避け、信頼できる接続のみ行う。
- ガス (手数料) の見積もりミスを避けるため、送金前にネットワークの混雑を確認する。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
次に、bitFlyer の基本情報と、FLOW の取り扱い状況、強み・限界を整理します。
bitFlyer の基本特徴
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本国内でも歴史のある大手暗号資産取引所であり、金融庁に登録された交換業者です。日本円による入出金が可能で、販売所・取引所 (Lightning) の形式を提供しており、ユーザーの取引スタイルに応じた利用ができます。
またセキュリティ面においても強みがあり、顧客資産の大部分をコールドウォレットで分別管理していることが公表されています。
FLOW の bitFlyer における取り扱い状況
調査を行ったところ、現時点で bitFlyer の公開資料 (通貨取扱リスト、プレスリリース) に FLOW (Flow トークン) の取り扱いに関する記載は確認できません。bitFlyer の利用規約や公開ドキュメントにおいて、FLOW の上場や入出庫に関する案内はないため、少なくとも国内の主要取引所としては FLOW をサポートしていない可能性が高いです。
この点は、FLOW を購入・保有・取引しようとする日本国内ユーザーにとって重要な制限となります。bitFlyer 単独では FLOW の取引や送受信ができず、別の取引所またはウォレットとの併用が必要になる可能性が高いです。
bitFlyer の強みと制約 (FLOW を軸とした観点)
bitFlyer の強みとしては、日本国内での運営実績、法制度順守、安全性の高さ、日本円を使った取引の利便性などが挙げられます。これらは多くのユーザーにとって安心できる要素です。
一方で、FLOW のようなトークンを中心に投資・運用したいユーザーにとっては、bitFlyer における未対応が大きな障壁です。FLOW を主軸にポートフォリオを構成する場合には、取引所機能だけでなく、ウォレットを活用した自己管理 (Trust Wallet など) との併用が事実上必要です。加えて、取引所に資産を預ける際のリスク (ハッキングや内部運営リスク) も無視できません。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：FLOW を軸にした長所・短所
FLOW を運用・保有する立場から見ると、Trust Wallet と bitFlyer にはそれぞれ異なるメリットと役割があります。
Trust Wallet は自己管理型ウォレットとして、秘密鍵を完全にユーザーがコントロールできます。このため、取引所リスクを回避しつつ、送受信や長期ホールド、将来的なステーキング (Flow が対応すれば) などを自身のペースで行うことができます。モバイルアプリで使いやすく、多様なトークンを管理できる点も魅力的です。
しかし、自己管理には責任が伴います。トークン登録ミス、アドレス誤り、ガス代見積もりミスなどにより資産ロスを招く可能性があります。そのため、ウォレット利用時には慎重さと習慣的なセキュリティ対応が求められます。
bitFlyer は、日本国内で非常に信頼性が高く、法令順守体制がしっかりしている取引所です。日本円による入出金や取引が容易であり、初心者から中級者まで安心して利用できます。
しかし、FLOW を主軸にした運用を考える場合、bitFlyer の未対応という点が致命的な制約となります。そのため、FLOW 保有を目的とするならば、bitFlyer は補助的なプラットフォームとして位置づける必要があります。
運用戦略および提言
FLOW を本格的に運用・保有するには、以下のような戦略を考えるとよいでしょう。
まず、Trust Wallet を中核とした自己管理型アプローチ を採用します。これにより、FLOW を自分の秘密鍵で管理し、送受信、将来的な参加 (ステーキングやガバナンス) を自己裁量で行えます。特に長期ホールド (ホドラー) を想定している場合、安全性と柔軟性が両立できる方法です。
次に、取引所併用戦略 を検討します。FLOW を取り扱っている海外取引所 (Binance、Kraken など) で購入し、その一部または全部を Trust Wallet に送金して自己管理に移行することで、流動性と管理の安全性を両立させる構成が有効です。
さらに、ガバナンスやネットワーク参加型運用 も視野に入れます。Flow エコシステムが将来的にステーキングやガバナンス機能を強化する可能性があるため、FLOW 保有者としてプロトコルの方向性に関与する戦略は中長期での価値創造につながるかもしれません。
セキュリティ面では、シードフレーズの厳重な保管、ウォレットアプリの定期アップデート、不審な DApp やウェブサイトとの接続を避けるなど、基本的な対策を常に徹底するべきです。
結論
FLOW（Flow トークン）は、NFT やゲーム、デジタルコレクタブルなど Web3 消費者向けアプリに最適化されたブロックチェーンであり、その将来性には大きな期待があります。価格は過去に非常な高値を記録したものの、現在は大きく下落しており、投資にはリスクとチャンスの両方が存在します。
Trust Wallet を活用すれば、FLOW を自己管理下に置き、安全に保管・送受信・将来的な参加が可能です。一方、bitFlyer は日本国内で信頼性の高い取引所ですが、現時点で FLOW の取り扱いは確認されておらず、FLOW を主軸にした運用には直接的な役割を果たすとは言えません。
したがって、FLOW を本格的に扱うには、Trust Wallet を中核とした自己管理型アプローチと、FLOW を扱う海外取引所とのハイブリッド戦略が最も効果的で現実的な方法であると考えられます。
