はじめに：EURC（ユーロコイン、EURC）とは何か
EURC（Euro Coin、旧ユーロコイン）は、アメリカの企業 Circle（サークル） によって発行されている、ユーロ（EUR）にペッグされたステーブルコインです。これは ERC-20 規格のトークンとしてイーサリアム（Ethereum）上に発行されており、他にも Avalanche や Base など複数のブロックチェーンで利用可能です。
EURC は 1 EUR に対して 1 : 1 の価値を維持するよう設計されており、その裏付けはユーロ準備金によって支えられていることが特徴です。
また、Circle のスマートコントラクトはオープンソースであり、セキュリティ面も比較的透明性が高いと評価されているほか、バグバウンティープログラムも実施されているとの報告があります。
EURC は、ユーロをデジタル資産として扱いたいユーザーや、DeFi（分散型金融）の分野でユーロ建て資産を利用したいプロジェクトなどに適した通貨です。
EURC の価格変動履歴（歴史的最安値・最高値）
EURC はステーブルコインであるため、通常の暗号通貨と比べると価格変動は小さいですが、歴史を見れば一定の変動が確認されます。
- 過去最高値（ATH）
CoinGecko のデータによれば、EURC の過去最高値は 約 1.35 USD で、2023年3月14日に記録されました。
Decrypt や他データソースでも、この値に近いピークが報告されています。 - 過去最安値（ATL）
CoinGecko によれば、最安値は 0.05285 USD（2022年12月9日）と非常に低く記録されていた時期がありました。
また CoinLore の履歴データでは、2025年1月に 1.02 USD まで下がった記録があるとも報告されています。 - 現在の価格水準
最新（執筆時点）では、EURC の価格は おおよそ 1.15 USD 前後で推移しています。
CoinMarketCap でもユーロ建て・日本円建て換算での価格表示があります。
こうした価格変動の背景には、発行初期の流動性不足や市場での認知の変化、ステーブルコインとしての需要変化があると推察されます。
Trust Wallet による EURC の保存（ストレージ）および送信方法
Trust Wallet はスマートフォン向けの非カストディアルウォレットで、多くの ERC-20 トークンをサポートしており、EURC の管理にも十分に対応可能です。
- Trust Wallet の導入と設定
Trust Wallet アプリをスマートフォンにインストールし、新しいウォレットを作成します。復元用のシードフレーズ（リカバリーフレーズ）は表示されたら必ずオフラインで安全な場所に保管してください。 - EURC トークンの追加
Trust Wallet 内でトークンを追加するには、「トークンを追加」画面で EURC を検索します。もしリストに見つからない場合には、「カスタムトークンを追加」機能を使い、EURC のコントラクトアドレスを手入力します。
EURC のコントラクトアドレスは、公式サイトや信頼できるデータプロバイダー（例：CoinGecko、Etherscan）から正確なものを取得してください。 - EURC の受け取り（入金）
トークン追加後、Trust Wallet の EURC ページで「受け取る（Receive）」を選びます。表示されたアドレスをコピーし、それを取引所や外部ウォレットから送金元として指定します。アドレスとネットワーク（Ethereum など）が正しいかを十分に確認することが重要です。 - EURC の送信（出金）
EURC を他のウォレットや取引所に送るには、Trust Wallet 内で EURC を選び、「送る（Send）」をタップして送金先アドレスと数量を入力します。ERC-20 トークンであれば、ガス代（イーサリアムの手数料）が必要となるため、十分な ETH（イーサ）をウォレットに残しておく必要があります。送金前には必ず内容（アドレス、送金量、手数料）を確認し、小額でのテスト送金を行うと安全です。 - セキュリティ対策
- シードフレーズ（復元フレーズ）をオフラインで厳重に保管し、第三者に知られないようにします。
- Trust Wallet に PIN や生体認証（指紋・顔認証など）を設定して不正アクセスを防ぎます。
- 大きな額の EURC を扱う際は、初めに少額を送って受け取りを確認し、問題がなければ本送金を行うという習慣をつけるとよいです。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と EURC に関する状況
bitFlyer（ビットフライヤー） は、日本国内に拠点を置く大手暗号資産取引所で、多くのユーザーに信頼されています。安全性、法令遵守、資金の入出金手段（日本円対応）、使いやすい UI などが強みです。
しかし、調べた限りでは、bitFlyer が EURC を取り扱っているという公表情報は確認できません。公式の仮想通貨取扱リストや発表資料に EURC の記載がないため、EURC を bitFlyer で直接売買・入出金することは難しい状況と考えられます。
また、bitFlyer は過去に新しいアルトコインやトークンの取り扱いを発表していますが、近年の資料にも EURC の追加についてのアナウンスは見当たりません。したがって、現在 EURC を利用するには、bitFlyer 以外の取引所（国内・海外）またはウォレットを活用する方法が現実的です。
Trust Wallet と bitFlyer の優劣（メリット・デメリット）
ここでは、EURC の運用を念頭に置いた場合、Trust Wallet と bitFlyer のそれぞれの強み・弱みを整理します。
Trust Wallet のメリット・デメリット
メリット
- 自己管理型ウォレット（非カストディアル）：秘密鍵を自分で持つため、資産コントロールが可能。
- 多数の ERC-20 トークンをサポート：EURC をはじめ、さまざまなトークンを保管できる。
- モバイル操作が容易：スマートフォンでいつでも残高確認、送受金が可能。
- セキュリティが強固：シードフレーズ、生体認証、PIN などを組み合わせて利用できる。
デメリット
- 送金時にガス代がかかる（ERC-20 ネットワークの混雑によってコストが変動）。
- シードフレーズを紛失するとウォレット復元不可、資産喪失リスクあり。
- アドレス誤入力などの操作ミスで資産を失う可能性がある。
- 取引機能は限定的：Trust Wallet 自体は取引所ではないため、売買には外部 CEX や DEX が必要。
bitFlyer のメリット・デメリット（EURC の観点も含めて）
メリット
- 日本国内の大手取引所：法令遵守・安全性・信頼性が高い。
- 日本円との入出金が容易：国内ユーザーにとって資産の法定通貨換算がしやすい。
- 初心者向けのインターフェース：販売所形式などで簡単に取引可能。
- プロ向け取引も対応：Lightning などの高度な取引機能がある。
デメリット
- 取り扱い通貨に制限がある：EURC のような一部のステーブルコイン・トークンは未対応。
- 取引所に資産を預ける形になるため、カストディリスク（ハッキング・運営リスクなど）がある。
- 出金や取引時には手数料が発生する可能性があり、コスト管理が必要。
- スプレッドが大きくなり得る：販売所形式では買値と売値の差が広がる場合がある。
実践的な戦略とアドバイス：EURC を活用するには
EURC を活用する際には、以下のような戦略・注意点が考えられます。
- 資産保管用途
EURC を単にステーブルコインとして保有する目的（為替ヘッジ、ユーロ資産のデジタル化など）であれば、Trust Wallet に保管するのが有力です。自分で鍵を管理でき、取引所リスクを避けられます。 - 取引用途
bitFlyer で EURC が扱われていない場合、EURC の購入・売却には他の取引所（海外取引所や DeFi プロトコル）を利用する必要があります。その際、Trust Wallet を経由して資産を管理・移動する運用が現実的です。 - 送金・受け取りの安全性
EURC を送金する際は、アドレスとネットワークを慎重に確認し、テスト送金を行う習慣をつけるとリスクが低減します。特に ERC-20 チェーンを使う場合、ガス代を見積もり、十分な ETH を確保しておきましょう。 - セキュリティ管理
シードフレーズは厳重に保管し、不正アクセス対策として Trust Wallet のセキュリティ設定（PIN、生体認証など）を必ず行ってください。 - 将来的な発展を見据える
EURC は複数チェーン対応（例：Base など）や DeFi 活用が進んでおり、将来的なユーロ建て資産利用のプラットフォームとなる可能性があります。運用目的を明確にし、適切なウォレット設計を行うことが重要です。
結論
EURC は、ユーロをブロックチェーン上で扱える安定資産として魅力的な選択肢です。価格変動は小さいステーブルコインながら、その歴史には興味深いピークとボトムがあります。Trust Wallet を使えば、EURC を安全に保管し、自在に送受金が可能です。一方、bitFlyer による取り扱いがない現状では、取引には他の取引所を併用する必要があります。
Trust Wallet と bitFlyer の両方を理解し、それぞれの強みを生かしながら EURC を運用することで、リスクを抑えつつ利便性を最大化することができるでしょう。
