BNB（Binance Coin）とは
BNB（バイナンス・コイン、BNB）は、もともと世界最大級の取引所 Binance（バイナンス） が発行したネイティブトークンです。その後、BNB は BNB Chain（旧 Binance Smart Chain） のネイティブ資産としても機能し、単なる取引所トークンから、ブロックチェーンそのものを支える重要な暗号資産へと進化しました。
BNB の用途は多岐にわたり、トランザクション手数料の支払い、ステーキング、DeFi やスマートコントラクトの実行など、エコシステム全体で広く活用されています。
BNB の価格歴史：過去最低値と最高値
BNB はその発行以来、非常に大きな価格変動を経験してきました。信頼できる価格データをもとに、主な価格ポイントを以下に整理します。
- 過去最高値（All‑Time High, ATH）
CoinGecko のデータによれば、BNB の史上最高値は 1,369.99 米ドルです。
また、Binance 自体も BNB の最高値を $1,370.55 と公表しています。 - 過去最安値（All‑Time Low, ATL）
同じく CoinGecko によれば、BNB の最安値は $0.03982 と記録されています。
さらに CoinLore のデータでは、BNB の最も初期の価格は $0.0997（2017年8月） だったとされ、そこから劇的な成長を遂げてきたことがわかります。
このように、BNB は非常に初期の段階から大きく価値を伸ばしており、その成長は Binan ce エコシステムの拡大、BNB Chain の採用、そしてユーティリティトークンとしての需要拡大と密接に関連しています。
Trust Wallet による BNB の保管（ストレージ）
Trust Wallet はスマートフォン向けの非カストディアル（自己管理）ウォレットであり、BNB のような資産を安全に保管することができます。以下、その手順とポイントをご説明します。
まず、スマートフォン（iOS や Android）に Trust Wallet アプリをインストールし、新しいウォレットを作成するか、既存のウォレットを復元します。ウォレット作成時には リカバリーフレーズ（シードフレーズ） が表示されるため、これを紙など安全なオフライン媒体に確実に保管してください。これは資産を失わないための最重要事項です。
次に、Trust Wallet の「資産（Assets）」画面に移動して BNB を有効化します。Trust Wallet は BNB に対応しており、ウォレット内で BNB を受け取り用アドレスを取得できます。Trust Wallet の公式サイトでも、BNB を安全に保管できるウォレットとして紹介されています。
ただし注意点があります。BNB には複数のチェーン（ネットワーク）形式が存在します。過去の「BEP-2（BNB Beacon Chain）」形式の BNB を Trust Wallet に保管していた場合、ウォレットの更新やチェーンのサポート状況によっては送金に制限が生じる可能性があります。実際、BEP2 チェーンのサポートが終了または制限され、古いチェーンの BNB が送れなくなった報告があります。
このため、BNB を扱う際には送金前にネットワーク（BEP-2 / BEP-20 など）を慎重に確認することが重要です。Reddit などでも、誤ったチェーンで送金した結果資産を失ったという声が過去に多数報告されています。
Trust Wallet から BNB を送信する方法
Trust Wallet に保管されている BNB を他のウォレットや取引所へ送信するには、以下のステップに従ってください。
まず、アプリを開き、資産一覧から BNB を選択します。そして「送信（Send）」をタップし、送付先アドレスを入力または QR コードで指定します。重要なのは、送付先のチェーン形式が正しいかを確認することです。たとえば、送付先が BEP-20（BNB Smart Chain）を使っているか、BEP-2（Beacon Chain）かを間違えると資産を失う恐れがあります。
次に、送金したい BNB の数量を入力します。送金手数料（ガス代）を確認し、必要に応じて優先度（トランザクション速度）を選択します。BEP-20（スマートチェーン）などを使用すると手数料が比較的低く抑えられますが、混雑時には変動があるため注意が必要です。
送金を最終確認し、問題がなければ「確認（Confirm）」をタップしてトランザクションを実行します。送金後にはトランザクションハッシュ（TxHash）が発行されるため、BSCScan などのチェーンエクスプローラーでステータスを確認し、「成功 (Success)」を確認することを推奨します。
リスクとして最も典型的なのはアドレスの入力ミス、間違ったネットワークへの送金、あるいはガス代の見積もりミスです。大きな金額を送る場合や初めて送金するアドレスには、まず少額でテスト送金することが安全対策として有効です。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本国内でも老舗の暗号資産（仮想通貨）取引所で、2014 年に創業し、金融庁登録済みの仮想通貨交換業者として運営されています。
ユーザーには「販売所」と「Lightning（取引所）」という二つの取引形態が提供されており、初心者から上級トレーダーまで幅広く対応しています。
bitFlyer では「入出金」→「送付」メニューから外部ウォレットへの送金も可能ですが、対応する通貨かどうかは必ず事前に確認が必要です。
ただし重要な点として、bitFlyer の 公式取り扱い仮想通貨一覧には BNB（Binance Coin）は含まれていない ようです。
つまり、bitFlyer を通じて BNB を売買したり、入出庫を行ったりすることは難しいか、現時点では対応していない可能性が高いということになります。
Trust Wallet と bitFlyer の比較（BNB の観点から）
BNB を運用するにあたり、Trust Wallet（自己管理ウォレット）と bitFlyer（取引所）をどのように使い分けるか、あるいは併用するかを検討するには、それぞれの利点と欠点を理解することが重要です。
Trust Wallet（ウォレット） の強みは、秘密鍵（リカバリーフレーズ）をユーザー自身が管理できる点です。これにより、取引所リスク（ハッキング、運営破綻など）から資産を保護できる自由度が高くなります。BNB のようなユーティリティトークンを自己管理型ウォレットに保管しながら、必要に応じて送金やステーク（ステーキング）などを行う戦略が可能です。
さらに、Trust Wallet を使えばチェーンを指定して送金したり、BEP-2 と BEP-20 を切り替えたりする柔軟性があります。ただし、この自由には責任も伴います。特にネットワークの選択を誤ると資産を失うリスクがあり、スマホ紛失・アプリ不正アクセス・バックアップミスなどの危険性もあります。
一方、bitFlyer（取引所） の利点は、日本国内ユーザー向けの信頼性と利便性です。日本円で入出金が可能で、金融庁登録業者として安心感が強い点は非常に魅力的です。販売所や Lightning 取引所の選択肢があるため、初心者から中級トレーダーまで幅広いニーズに対応できます。
しかし、BNB を bitFlyer で扱えない（現時点では上場していない）という根本的な制限があります。このため、BNB に関しては bitFlyer 単体での運用が現実的でない可能性が高く、他取引所やウォレットとの併用がほぼ必須となります。さらに、資産を取引所に預ける場合には、中央集権型リスク（管理者リスク、運営リスクなど）も無視できません。
運用戦略：Trust Wallet を中心にした併用アプローチ
BNB を長期保有または活用するためには、Trust Wallet を中核とした運用戦略が非常に有効です。
まず、BNB を取り扱っている海外取引所（例えば Binance 本体など）で BNB を購入します。その後、BNB を Trust Wallet に送金し、自己管理型ウォレットで保管します。これにより、資産を安全に保持しつつ、必要なときに DeFi 活用や送金を行える柔軟性を確保できます。
長期保有を前提にする場合、Trust Wallet に BNB を置いたまま、将来的なチェーン参加やステーキング（BSC などを利用する場合）を視野に入れることが可能です。一方で、価格が上昇して利益確定をしたい場合には、一部の BNB を取引所に戻して売却する、または他トークンに交換するといった戦略をとることも考えられます。
送金時には、アドレスの正確性、ネットワークの確認（BEP-2／BEP-20）、ガス代設定（優先度）などを慎重に行うことが不可欠です。また、スマホロック、アプリのセキュリティ強化、定期的なバックアップ（リカバリーフレーズの保存）も併せて徹底する必要があります。
リスクおよび注意点
BNB を扱う際には、以下のリスクや注意点を十分に理解しておくことが重要です。
まず、チェーン間の誤送金リスクがあります。BEP-2 と BEP-20 のアドレスが異なるため、誤ったネットワークを選んで送金すると資産紛失のおそれがあります。特に Trust Wallet では、過去サポートが終了したチェーンの BNB を持っていたユーザーが送金できなくなった事例も報告されています。
次に、鍵管理のリスクです。Trust Wallet を利用する場合、リカバリーフレーズや秘密鍵を適切に保管しなければ、スマホを紛失・故障した際に資産を取り戻せなくなる可能性があります。
また、価格変動リスクも無視できません。BNB は過去に大きな価格変動を経験しており、投資額や保有戦略を誤ると大きな損失を被る可能性があります。
さらに、取引所併用時には取引所のリスクがあります。取引所に資産を預ける場合、運営リスク、セキュリティリスク、出金制限などの懸念があります。
最後に、法規制・税務リスクも考慮すべきです。暗号資産は各国で法制度が変動しやすく、日本国内での取り扱いや税務上の扱いを事前に確認・相談することが重要です。
結論
BNB（Binance Coin）は、取引所トークンとして始まり、現在では Binance Chain／BNB Chain 上で主要なユーティリティ資産として機能する非常に重要な暗号資産です。その価格は初期から大きな上昇を遂げ、過去最安値から史上最高値まで大きな跳ね幅を記録しています。
Trust Wallet を用いれば、BNB をユーザー自身が秘密鍵を管理する形で安全に保管し、送金や活用を自由に行うことが可能です。一方、bitFlyer は日本国内で高い信頼性を持つ取引所ですが、現時点では BNB の取り扱いがないため、BNB 運用においては直接的な取引先とはなりにくい現状があります。
したがって、BNB を扱う際には Trust Wallet を中心に据え、BNB 対応の信頼できる他取引所との併用 を基本戦略とするのが現実的かつ安全性の高いアプローチです。送金や保管時には、ネットワークの選択、アドレス確認、バックアップなどを徹底し、リスク管理を怠らないことが成功する運用の鍵となります。
