はじめに：1INCH とは
1INCH（ワンインチ）は、1inch Network のネイティブトークンであり、分散型取引所（DEX）アグリゲーターとして機能する 1inch プロトコルの重要な構成要素です。1inch Network は、複数の DEX（Uniswap、Sushiswap、その他多数）を統合し、最適なスワップ経路を探してユーザーに最良の価格を提供する仕組みを持っています。
1INCH トークンはガバナンスとして使われるだけでなく、手数料還元やステーキング、流動性提供者への報酬などにも活用され、1inch のエコシステムを支える重要な役割を果たしています。
プロトコルは DAO（分散型自律組織）によって運営され、ユーザーが提案や投票を通じてガバナンスに関わることも可能です。
1INCH の価格変動履歴（過去最安値と最高値）
1INCH はこれまで大きな価格の浮き沈みを経験してきました。その歴史を振り返ることは、今後の投資や運用を考えるうえで非常に参考になります。
- 過去最高値（ATH）
TokenAlphabet によると、1INCH の歴史的最高値（ATH）は 8.65 USD（2021年10月27日）です。
また Coingolive も同様に ATH を 8.65 USD と報告しています。
AWebAnalysis でも ATH を 7.87 USD と記録しており、ピーク時の価格が非常に高かったことがわかります。
- 過去最安値（ATL）
1INCH の最安値に関しては、AWebAnalysis が 0.149533 USD（2025年4月9日付近）を報じています。
また TokenAlphabet のデータでは、最安値を 0.1495 USD としており、類似の記録です。
- 現在の価格および時価総額
Phemex のリアルタイム情報によれば、1INCH の価格は 0.187646 USD、流通供給量は約 1.40 B（14億）1INCH と報告されています。
CoinMarketCap によると、1INCH の最大供給量は 1.50 B（15億）1INCH で、循環供給量は 1.39 B 程度です。
- 日本円換算
CoinMarketCap のデータでは、1INCH の日本円建て価格が 約 ¥25.39（24時間レンジも掲載）と示されています。
BingX の両替機能によれば、1 1INCH は 約 ¥24.35 に換算されており、為替レートや市場変動を踏まえる必要があります。
これらの履歴を見ても、1INCH はピーク時には大きな価格を記録した一方で、その後は大幅な調整があり、現在はより低い水準で落ち着いていることがわかります。
Trust Wallet による 1INCH の保存および送信方法
1INCH トークンを Trust Wallet で管理する方法は比較的シンプルですが、安全かつ効率的に運用するにはいくつかのポイントがあります。
まず、スマホに Trust Wallet アプリ をインストールし、新しいウォレットを作成します。ウォレット作成時には シードフレーズ（復元フレーズ） が表示されるため、これを必ず紙などオフラインの媒体に記録し、安全な場所に保管してください。紛失するとウォレットの復元が難しくなり、資産を取り戻せないリスクがあります。
次に、Trust Wallet に 1INCH トークンを追加します。アプリ内の「トークンを追加」メニューを開き、“1INCH” と検索します。もしリストに見つからない場合は、「カスタムトークンを追加」を選び、1INCH のコントラクトアドレス を手入力します。コントラクトアドレスは、信頼できる情報源（例：Etherscan や公式サイト）から正確なものを取得する必要があります。
1INCH を受け取る（入金）際には、Trust Wallet 内で 1INCH を選択し、「受け取る（Receive）」をタップします。表示されたアドレスをコピーし、取引所や他のウォレットからそのアドレス宛に送金を行います。送金時には、ネットワーク（例：Ethereum）が正しいかどうかを必ず確認してください。
1INCH を送金（出金）するには、「送る（Send）」機能を使います。宛先アドレス、送金量、手数料（ガス代）を入力し、内容を確認して送信します。ERC‑20 トークンであるため、ガス代として Ethereum のネイティブ通貨（ETH）が必要になることがあります。送金前には、まず少額で テスト送金 を行ってアドレスとガス設定が正しいかを確認するのが安全です。
セキュリティも重要です。Trust Wallet アプリには PIN コードや生体認証（指紋・顔認証など）を設定できるため、これらを有効にして不正アクセスを防ぎましょう。加えて、定期的なバックアップとウォレット復元テストを行って、シードフレーズが正しく機能するかを確認しておくのが望ましいです。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と 1INCH に関する現状
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本国内における著名な暗号資産取引所で、販売所形式と板取引（Lightning）を提供しています。会社としては金融庁登録業者であり、セキュリティ・法令順守への取り組みが強固です。
ただし、bitFlyer の公開されている取り扱い仮想通貨リストを確認すると、1INCH（1inch Network トークン） は内包されていない可能性が高いと判断されます。CoinMarketCap の 1INCH ページや bitFlyer の資料を照合しても、1INCH の取り扱いを示す公式発表は見当たりません。
また、bitFlyer の「契約締結前交付書面（暗号資産現物取引）」を確認しても、1INCH を含む全通貨一覧の中に該当がないため、現時点で bitFlyer による 1INCH の売買・入出金は実行が難しいと見られます。
したがって、1INCH を取扱っている他の取引所（海外の CEX や DEX）を利用し、その後 Trust Wallet に転送・管理するという戦略が現実的です。
Trust Wallet と bitFlyer の優長所・短所（1INCH の観点から）
1INCH を取り扱う際、Trust Wallet と bitFlyer それぞれには明確なメリット・デメリットがあります。
まず Trust Wallet の強みとして、非カストディアル型ウォレットであり、秘密鍵をユーザー自身が保持できる点が挙げられます。これにより、取引所に資産を預けるリスク（ハッキング、取引所運営リスクなど）を抑えることができます。ERC‑20 トークンを含む多くのトークンに対応しており、1INCH のような DeFi トークンも安全に保管・管理しやすい環境です。モバイルアプリで直感的に操作が可能で、送受金も簡単です。さらに、PIN や生体認証を使ったセキュリティ機能も利用可能です。
一方でデメリットもあります。1INCH を送金するときにはガス代（Ethereum ネットワーク上での手数料）がかかるため、ネットワークが混んでいるときはコストが上がる可能性があります。シードフレーズを紛失した場合、ウォレットの復元ができず資産を失う可能性もあります。また、Trust Wallet 自体は取引所ではないため、1INCH の売買をするには外部取引所を利用しなければならないという不便さがあります。
次に bitFlyer の強みですが、日本国内における高い信頼性がポイントです。法令遵守、資金保護、顧客サポートが整っており、暗号資産取引を始めたい初心者にとって安心できる選択肢です。日本円での入出金もサポートされており、法定通貨とのやりとりがスムーズです。板取引（Lightning）を活用すれば、本格的な売買も可能で、プロ向けに機能があります。
しかし、1INCH の観点では致命的な弱みがあります。それは 現在、bitFlyer で 1INCH が取り扱われていない可能性が高いことです。このため、bitFlyer 単体では 1INCH の取引や保管を完結させることができず、他の取引所を併用する必要があります。また、取引所に資産を預ける形である以上、取引所リスク（ハッキングや運営リスク）が存在します。さらに、販売所形式や取引所形式を使った場合にはスプレッドや手数料が発生する点にも注意が必要です。
実践的な戦略とアドバイス：1INCH を扱うには
1INCH を運用する際には、まず目的を明確にすることが重要です。もし 長期保有（ホールド） を目的とするのであれば、Trust Wallet に 1INCH を移し、自己管理を徹底する方法が有効です。これにより、取引所リスクを抑え、将来的な 1inch ネットワークの成長を見据えて安定的に保有できます。
一方で 取引（売買）を目的 にする場合、bitFlyer での取り扱いがないため、1INCH を扱っている海外取引所を利用する必要があります。購入後、Trust Wallet に送金して保管・管理する流れが現実的です。この際、取引所選びは流動性・信頼性・手数料構造などを慎重に検討することが大切です。
送金する際には、安全性を確保するために 少額でのテスト送金 を行うことを強く推奨します。特に新しいチェーンやカスタムトークンを扱う場合、アドレスやガス代設定に誤りがあると資産を失うリスクがあります。また、ガス代（Ethereum ネットワークの場合 ETH）が十分にウォレットにあるかを事前に確認しておく必要があります。
セキュリティ面では、Trust Wallet において PIN コードや生体認証を有効化すること、シードフレーズを複数媒体（紙、金属など）でオフライン保存すること、定期的な復元テストを実施してバックアップの有効性を確認することが重要です。特に大きな額を管理する場合は、ハードウェアウォレットを併用するのも検討すべきです。
また、1inch プロジェクトの将来性を見極めるには、ガバナンス提案（DAO）、トークンロックアップ解除スケジュール、スワップ量の推移、エコシステム参加者数などを定期的にウォッチすることが有用です。これらを理解した上で、自分がどのタイミングで参入・離脱するかを戦略的に決めるとよいでしょう。
さらに、リスク管理の観点からも、1INCH に資産を集中させるのではなく、ポートフォリオを分散させるアプローチが賢明です。特に DeFi トークンは価格変動が大きいため、多様な資産を組み合わせることでリスクを抑えることができます。
結論
1INCH（ワンインチ）は、分散型取引所アグリゲーターとして非常に重要な役割を果たすプロジェクトです。そのトークンはガバナンスや流動性提供、エコシステム参加の鍵となるものであり、将来的なネットワークの成長を見据えた価値を持っています。
価格履歴を振り返ると、1INCH はかつて非常な高値を記録したものの、その後大きな調整を受け、現在はより抑えられた価格で推移しています。これは投資・運用の両面において、慎重な分析と戦略が必要なことを意味します。
Trust Wallet を使えば、自分で鍵を管理しながら 1INCH を安全に保管・送金できます。一方、bitFlyer では 1INCH の取り扱いが確認されていないため、売買には他の取引所を併用する必要がある点が制限となります。
1INCH を運用する際には、自分の目的（長期保有か取引か）を明確にし、セキュリティ対策と戦略を両立させたアプローチを採ることが重要です。将来のエコシステム成長を見据えつつ、リスク管理を徹底した運用を行えば、1INCH をより安全かつ有効に活用することが可能になるでしょう。
