StarkNet（スタークネット）は、ゼロ知識証明 (ZK) によるレイヤー２ (Layer-2) ソリューションとして、Ethereum のスケーラビリティ問題に取り組むプロジェクトです。このネットワークのネイティブトークンである STRK（StarkNet Token）は、ステーキング、ガバナンス、手数料還元などの用途を持ち、StarkNet のエコシステム成長において重要な役割を果たします。
資産として STRK を保有・運用するには、信頼性と使いやすさを兼ね備えたウォレットが必要です。スマートフォン対応のノンカストディアルウォレット Trust Wallet は、秘密鍵を自分で管理しながら STRK を安全にコントロールできる利点があります。
また、日本国内で広く使われている取引所 bitFlyer（ビットフライヤー） は、多くのユーザーが暗号資産売買に利用しています。ただし、STRK の取り扱いがあるかどうか、またどのように運用すべきかを理解しておくことは非常に重要です。
本稿では、まず Trust Wallet による STRK の管理・送受信方法を解説し、次に STRK の価格履歴とその背景を整理します。さらに bitFlyer の基本情報および STRK との関係を見た上で、Trust Wallet と bitFlyer の長所・短所を比較し、実践的な運用戦略を提示します。
STRK（StarkNet トークン）とは
StarkNet は、ZKロールアップ技術を使って処理をオフチェーンに持ちつつ、高いセキュリティとスケーラビリティを実現する Layer‑2 プロトコルです。StarkNet 上では、スマートコントラクトの実行が高速かつ安価に行われ、多くの分散型アプリケーション (dApp) に適したインフラを提供します。
STRK はこのネットワークのネイティブトークンで、ガバナンス (ネットワークの将来方針決定)、ステーキング (あるいは Delegation)、およびトランザクション手数料還元の仕組みに用いられます。さらに、StarkNet の新機能やネットワーク発展を支えるインセンティブとして、STRK を保有・利用することが意味を持ちます。
トークンエコノミクス (トークノミクス) において、STRK の総供給量は 10 B (100 億 STRK) と定められており、循環供給とロック・アンロック (ベスティング) メカニズムがパートナーやコミュニティ向けに設計されています。
STRK の価格履歴：過去最低と最高
STRK の価格はローンチ以降、非常に大きな変動を経ています。 CoinMarketCap のデータによると、過去最高値 (All-Time High) は 2024年2月 に 約 ¥564 を記録した時期があったと報じられています。
一方、過去最低値 (All-Time Low) も非常に低く、最近のデータでは ¥7.06 付近まで下落した時期があるとされています。
また、STRK の価格変動には大きく二つの要因が関係しています。一つは トークンのロック解除 (アンロック) であり、初期のエアドロップや投資家・開発者への割り当て分の売却圧力が市場に影響を与えるという指摘があります。CoinDesk Japan でも、上場初日に 50％以上の下落があったことが報道されており、初期関係者の売却が強かった可能性が示されています。
もう一つの要因は StarkNet の技術進展とユースケース です。たとえば、最近ではビットコインステーキングを StakNet に導入したというニュースがあり、これが STRK に対して強気材料として働いたという見方もあります。
価格予測の観点では、CMC AI が 2025年以降の STRK について分析を出しており、ロック解除による供給増のリスクと、ビットコインとの統合や DeFi 活用拡大による需要増加という相反する要素が価格に影響を与えるとみています。
Trust Wallet による STRK の使用・保管・送信
STRK を Trust Wallet で安全に管理する方法、およびその注意点を以下に示します。
Trust Wallet のメリット
Trust Wallet はノンカストディアル型ウォレットであり、ユーザー自身が秘密鍵 (シードフレーズ) を管理できます。これにより、取引所リスク (ハッキング、破綻など) を回避しつつ、資産を安全に保有できます。モバイル (iOS／Android) 対応で、直感的な UI によってトークン管理が容易です。
また、多くのブロックチェーン (ERC‑20 など) に対応しており、トークンを追加したり残高を確認したりするのが比較的簡単です。
STRK のカスタムトークン登録
Trust Wallet に STRK を追加するには、アプリ内でトークン追加画面を開き、「カスタムトークン (Custom Token)」を選択します。入力が必要となる主な情報は次の通りです：
- コントラクトアドレス（STRK／StarkNet のアドレス）
- トークンシンボル：STRK
- デシマル (小数点以下の桁数)：StarkNet トークン仕様を確認
これらの情報を誤って入力すると、残高が正しく表示されなかったり送受信が失敗する可能性があるため注意が必要です。
STRK の受け取り (入金)
STRK を受け取るには、Trust Wallet アプリ上で STRK の項目を選択 → 「受け取る (Receive)」をタップ → 表示されたアドレスをコピー → 送金元 (取引所や他ウォレット) へ送付先として指定します。
送金前には、アドレスが正しいか、チェーン (StarkNet 対応) が一致しているかを慎重に確認する必要があります。
STRK の送信 (出金)
STRK を送信するには、Trust Wallet で STRK を選択 → 「送信 (Send)」 → 宛先アドレスと送付量を入力 → トランザクション手数料 (ガス) を確認 → 内容を最終確認 → 承認 → 送信を実行します。送信後にはトランザクション ID (TXID) が表示され、それを控えてブロックチェーンエクスプローラで確認できます。
セキュリティ対策とリスク管理
Trust Wallet で STRK を管理する際には、以下のようなセキュリティ対策が重要です：
- シードフレーズ管理：オフライン (紙や金属など) に記録し、第三者と共有しない
- アドレスの目視確認：送金先アドレスをコピペ後、必ず目視で確認して誤送金を防ぐ
- アプリの更新：Trust Wallet を常に最新版に保ち、セキュリティ更新を適用
- 信頼できる接続先のみ利用：未知の DApp やウェブサイトとは接続を避け、安全性の高い相手のみとやり取り
- ガス代の見積もり：ネットワークが混み合っている時間帯を避けるなど、手数料コストを最適化
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
ここからは、bitFlyer の基本情報と STRK との関係、強み・制限について論じます。
bitFlyer の概要
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本を代表する暗号資産取引所の一つで、金融庁登録済みの正規交換業者です。日本円での入出金が可能で、販売所形式・取引所形式 (Lightning) を提供しており、ユーザーの多様な取引ニーズに対応しています。
資産保護面でも、顧客資産をコールドウォレットで管理する体制を持っており、安全性を重視した運営がなされています。
STRK の bitFlyer における取り扱い状況
現時点 (2025年) の情報を調査したところ、bitFlyer の公式取扱通貨リストやプレスリリースには STRK (StarkNet Token) の記載は確認できません。これにより、bitFlyer では STRK の現物売買および入出庫がサポートされていない可能性が高いと考えられます。
この状況は、STRK を取得・保有・運用したい国内ユーザーにとって重要な制限であり、bitFlyer 単独で STRK を扱うことが難しいことを意味します。
bitFlyer の強みと制約（STRK を軸に）
強みとして、bitFlyer は日本国内で非常に高い信頼性を持つ取引所であり、法制度順守、安全性、日本円での資金移動利便性などが挙げられます。暗号資産初心者や中長期投資家にとって、安心して資産を預けられるプラットフォームです。
制約として、STRK の取り扱いが現時点で確認されていない点が大きな障壁です。STRK を中心に運用するには、bitFlyer 単体では完結せず、自己管理ウォレット (Trust Wallet など) や STRK を扱う他の取引所との併用が必要です。また、取引所に資産を預ける際のハッキングリスクや運営リスクも無視できません。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：STRK を軸にした強み・弱み
STRK を保有・運用する観点から見ると、Trust Wallet と bitFlyer にはそれぞれ明確な役割分担があります。
まず Trust Wallet は、秘密鍵を自己管理できる自己管理型ウォレットとして、安全性と自由度が高い保管手段です。STRK を中長期で保有する場合、ウォレット内で送受信を行い、将来的にはガバナンスへの参加やステーキング (将来対応) などを自分の裁量で実施できます。
ただし、自己管理型ウォレットには責任も伴います。誤ったトークン登録、送金先アドレスのミス、シードフレーズの紛失などが資産喪失につながるリスクがあります。運用にあたっては細心の注意が必要です。
一方、bitFlyer は法制度順守、安全性、日本円での資金管理といった面で非常に強みがありますが、STRK の取り扱いがないため、STRK を主目的にした運用には適していません。
運用戦略および提言
STRK を本格的に運用・保有するには、以下のような戦略を検討することが有効です。
まずは Trust Wallet を中心とした自己管理型アプローチ を採用します。STRK をウォレットに保管し、送受信、将来的なガバナンス参加、ステーキング (対応時) などを自己裁量で行います。自己管理により、取引所リスクを回避できる利点があります。
次に、取引所併用戦略 を検討します。STRK を扱っている海外取引所 (例えば KuCoin など) で購入し、一部または全部を Trust Wallet に送金して自己管理に移行する方法が実践的です。これにより、安全性と流動性をバランスさせた運用が可能となります。
さらに、長期視点の参加型運用 を導入します。STRK 保有者としてガバナンス (提案・投票) に参加したり、StarkNet の技術進展やエコシステム成長に賭けたりすることで、価値創造を狙う戦略です。
セキュリティ面では、シードフレーズのオフライン保管、ウォレットアプリの定期更新、不審な DApp との接続を避けるなど、基本的な対策を徹底することが不可欠です。
結論
STRK（StarkNet トークン）は、Layer‑2 プロトコルである StarkNet の中核を支える重要な資産です。技術的な強み、ガバナンス機能、エコシステムへの参加インセンティブなどを通じて、その将来性には大きな魅力があります。
Trust Wallet を活用すれば、STRK を自己管理下に置き、安全かつ自由に運用することが可能です。一方で、bitFlyer は国内ユーザーにとって非常に信頼性の高い取引所ですが、現時点では STRK の取り扱いが確認されていないため、STRK を中心とした運用には限界があります。
したがって、STRK を本格的に保有・運用するには、Trust Wallet を中核とした自己管理型アプローチ に加え、STRK を取り扱う海外取引所との ハイブリッド戦略 を採用することが、最も現実的かつ効果的な方法と言えるでしょう。
