MetaMask は、イーサリアムおよびその他の EVM（イーサリアム仮想マシン）互換ネットワーク上の資産を管理するための自己管理型（ノンカストディアル）暗号資産ウォレットで、モバイルアプリおよびブラウザ拡張として利用できます。MetaMask は Consensys により2016年にイーサリアムウォレットとして公開され、その後すべての EVM ネットワークに対応するまでに機能を拡張しました。執筆時点で、1,000万以上の暗号資産投資家が MetaMask を利用して資産を管理しています。
ただし、MetaMask は EVM 対応ウォレットであるため、取り扱えるのは ETH および ERC 標準に準拠したトークンに限られます。MetaMask は常時インターネット接続された「ホットウォレット」であり、デジタル資産や分散型アプリケーション（dApp）へ迅速にアクセスできる利便性があります。dApp（分散型アプリケーション）は、そのバックエンドが中心化サーバー上ではなく分散型ネットワーク上（例：イーサリアム）で稼働する点が従来型アプリと異なります。
MetaMask の重要な機能の一つは、EVM ネットワークと直接連携できる点です。これにより、ユーザーは MetaMask ウォレットを介して異なる EVM ネットワーク上に存在するあらゆる dApp にアクセスできます。代表的な dApp には、分散型取引所（例：Uniswap）、流動性ステーキングサービス（例：Lido）、ブロックチェーンゲーム（例：Axie Infinity）などがあります。MetaMask のようなウォレットを使用しなければ、ブラウザはイーサリアムブロックチェーンに直接アクセスできません（完全なイーサリアムノードを稼働させている場合を除く）。MetaMask は web3.js という、コアなイーサリアムチームが作成した JavaScript ライブラリをブラウザページに注入することでこれを実現します。
最近では、MetaMask は Snaps を公開し、ユーザーが MetaMask ウォレットを通じて Solana のような非 EVM ネットワークに接続したり、取引プレビューなどの追加ユーティリティを利用できるようになりました。MetaMask Snaps は、MetaMask のウォレット機能を活用して動作する JavaScript ベースのアプリケーションです。
また、MetaMask はオープンソースであり、ソースコードは GitHub 上で公開されています。ソースを確認したい場合は、GitHub のリポジトリを参照してください。
MetaMaskのインストールとセットアップ
MetaMaskは、ブラウザ拡張機能とモバイルアプリケーションとして利用できます。このガイドでは、MetaMaskをブラウザ拡張機能としてChromeにインストールしますが、インストール手順はモバイルでも同様です。
デバイスへのMetaMaskのインストール
まず、MetaMask Web サイトにアクセスして、デバイス用のアプリケーションまたは Web ブラウザ用のブラウザ拡張機能をダウンロードします。
MetaMask 拡張機能は、Chrome、Microsoft Edge、Brave、Opera、Firefox ブラウザで動作します。ネイティブ モバイル アプリケーションは Android および iOS デバイスで利用でき、それぞれのアプリケーション ストアからダウンロードできます。
アプリケーションをインストールし、アカウントの設定に進みます。
新しいウォレットの作成
- 新規ユーザーの場合は、[ウォレットの作成] をクリックして新しいウォレットを作成できます。
- MetaMaskの規約を読んで同意し、ウォレットの作成に進みます。
- パスワードを設定し、「新しいウォレットを作成」をクリックして続行します。
- 以下のセキュリティ情報をよく読み、ウォレットのセキュリティフレーズのコピーに進んでください。理想的には、この秘密の回復フレーズは、オフラインで安全な場所に、暗号鋼に保存する必要があります。
- 次のページで、秘密の回復フレーズを確認して、セットアップ プロセスを完了します。
これでウォレットを使用する準備が整いました。
既存のウォレットのインポート
MetaMaskにインポートしたい既存のウォレットがすでにある場合は、ウォレットの秘密鍵または秘密のリカバリフレーズを入力してインポートできます。
シークレットリカバリーフレーズを使用した既存のウォレットのインポート
ウォレットを初めて設定するときにシードフレーズを使用して古いウォレットをインポートするには:
- MetaMaskウォレットを開き、[既存のウォレットのインポート]を選択します。
- ポップアップするフォームにリカバリフレーズを入力します。
- ウォレットのパスワードを設定し、「インポート」をクリックしてプロセスを完了します。
秘密鍵を使用した既存のウォレットのインポート
秘密鍵を使用して既存のウォレットをインポートすることもできます。
- ウォレットを開きます。
- 画面上部のアカウントドロップダウンをクリックします。
- 「アカウントの追加」または「ハードウェアウォレット」をクリックします。
- [アカウントのインポート] を選択します。
- フォームに秘密鍵を入力し、[インポート] をクリックして完了します。
既存のウォレットが既存のMetaMaskアカウントに追加されます。
MetaMaskウォレットに新しいネットワークを追加する方法
MetaMask はすべての EVM ネットワークをサポートしています。次の手順に従って、新規および既存のネットワークをウォレットに追加できます。
- ウォレットホームページの左上隅にあるネットワークドロップダウンをクリックします。
- [ネットワークの追加] をクリックします。
- 検索ボックスにネットワークの名前を入力すると、プリインストールされたネットワークからネットワークを検索できます。
- または、[Add More Networks Manually] をクリックして、ネットワークの詳細を使用して追加します。
- 表示されたボックスにネットワークの詳細を入力し、[保存]をクリックして完了します。
ネットワークの詳細は、CoinGecko、関連するネットワークのドキュメント、チェーンのエクスプローラー、Chainlistなどのソースから見つけることができます。
新しいネットワークを正常に追加したら、左上隅にあるネットワーク ドロップダウンをクリックし、リストから選択することで、ネットワークに切り替えることができます。
ネットワークとテストネットワーク:違いは何ですか?
MetaMask は、イーサリアムから Arbitrum や Optimism などのレイヤー 2 まで、BNB Chain や Avalanche などの他の EVM 互換ネットワークまで、さまざまなネットワークをサポートしています。MetaMask は、イーサリアム ユーザーや開発者のサンドボックス テスト環境として機能する Sepolia や Holesky などのイーサリアム テスト ネットワークもサポートしています。
ブロックチェーンは不変の性質を持っているため、スマートコントラクトのエラーやエクスプロイトは重大な損失につながる可能性があるため、テストネットワークの重要性があります。テスト ネットワークは、開発者に新進気鋭のアプリケーションのテストの場を提供し、正式なリリース前にアプリケーションのストレス テストをユーザーに促すことができます。
テストネットワークはメインネットワークを反映していますが、大きな違いは、テストネットワーク上のトークンには金銭的価値がないことです。テストネット上のトークンはテスト目的のみを目的としており、取引可能でも金銭的価値を保持することも意図されていません。
MetaMask を使用したトークンの送受信
MetaMaskウォレットでトークンを管理するには、まずトークンをインポートする必要があります。
MetaMaskにトークンをインポートする方法
トークンのスマートコントラクトアドレスを使用してMetaMaskにトークンを追加でき、このアドレスはネットワークエクスプローラーまたはCoinGeckoの資産ページから取得できます。
スマートコントラクトアドレスを取得するには:
- CoinGeckoのトークンページにアクセスしてください。
- プラットフォームの検索バーを使用してアセットを検索します。
- コピーアイコンをクリックして、資産のページからスマートコントラクトアドレスをコピーします。
マルチチェーン資産の場合は、正しいチェーンに正しいアドレスを追加していることを確認してください。チェーンの完全なリストは、CoinGeckoのコントラクトアドレスフィールドにある省略記号(…)をクリックすると表示されます。
- MetaMaskウォレットのホームページで、[トークンのインポート]をクリックします。
- 自動検出セクションでトークンを検索するか、「カスタム・トークン」タブに移動してスマート・コントラクト・アドレスを使用して追加できます。
- [カスタム トークン] タブで、指定されたボックスにスマート コントラクト アドレスを入力します。オートコンプリート機能は、その他の詳細を自動的に入力します。
また、ウォレットネットワークがコピーされたスマートコントラクトのチェーンに対応していることを確認してください。
- [次へ] をクリックして続行します。
- [インポート] をクリックして完了します。
MetaMaskでトークンを送信する方法
トークンを送信するには:
- 資産リストからトークンをクリックします。
- トークンのページで、[送信] をクリックします。
- 受信者のウォレットアドレスを入力して続行します。
- 送金したい金額を入力し、「次へ」をクリックして続行します。
- [確認] をクリックして完了します。
トークンは、ネットワーク上でトランザクションが確認されると、受信者のウォレットに到着します。
MetaMaskでトークンを受け取る方法
MetaMaskウォレットで資産を受け取るには、ウォレットアドレスが必要です。
上記の領域にあるコピーアイコンをクリックすると、MetaMaskからウォレットアドレスをコピーできます。
別のウォレットまたはプラットフォームから暗号通貨を送信する場合は、指定された受信者アドレス フィールドにウォレット アドレスを貼り付けるだけです。
MetaMask のセルフカストディアルな性質により、間違ったアドレスへの送金は元に戻せないため、暗号通貨を送信する前に必ずアドレスが正しいことを確認してください。
暗号に間違ったアドレスを送信した場合の対処法をご覧ください。
MetaMaskを使用したdAppsとの対話
MetaMask ウォレットを使用して、EVM ネットワーク上の分散型アプリケーションに接続できます。これを実証するために、マルチチェーン分散型取引所であるUniswapに接続します。
dAppに接続するには:
- ブラウザからプロジェクトのプラットフォームにアクセスします (MetaMask がインストールされています)。
モバイルでMetaMaskを使用している場合は、アプリ内でMetaMaskブラウザを使用します。
- プラットフォームから、[接続]/[ウォレットの接続]をクリックします。
- ウォレットとしてMetaMaskを選択し、dAppに接続します。
- 接続リクエストプロンプトがウォレットに送信されます。プラットフォームに接続する要求を承認します。
これにより、プラットフォームに接続され、すべてのトランザクションの承認リクエストがウォレットに送信されます。
MetaMaskのパスワードをリセットする方法
MetaMask パスワードを紛失または忘れた場合、資金にアクセスするにはパスワードをリセットする必要があります。
ウォレットのパスワードをリセットするには:
- ログインページで [パスワードを忘れた場合] をクリックします。
- 次のページでは、秘密の回復フレーズを入力する必要があります。
- 単語を正しい順序で入力します。
- 関連するフィールドに新しいパスワードを入力します。
- [復元] をクリックしてプロセスを完了します。
MetaMaskの使用に手数料はかかりますか?
支払わなければならない唯一の料金はガス料金で、どのネットワーク上でもトランザクションに対して支払わなければなりません。したがって、技術的には、MetaMaskを使用するのに料金はかかりません。ガスは、イーサリアムとそのレイヤー 2 でトランザクションを実行するために必要な手数料であり、ETH の 10 億分の 1 である Gwei 建てです。EVM 互換のレイヤー 1 でのトランザクションの場合、ガス料金の支払いにネイティブ コインも必要になります。
MetaMask は、プラットフォームを通じて行われるスワップに対して 0.875% のサービス手数料を請求します。
MetaMask はどのようなサポートを提供しますか?
MetaMaskには専用のサポートセンターがあり、こちらから見つけることができます。
MetaMask はどのくらい安全ですか?
暗号通貨に関しては、セキュリティが最も重要です。私たちは皆、数多くのハッキングや盗難について読んだことがあるでしょう。そして、暗号通貨が依然として規制されていない分野であることを考えると、被害者にとって救済手段はほとんどありません。暗号通貨に投資したい場合は、常にセキュリティを最優先に考えておく必要があります。
そうは言っても、これまでのところ、MetaMaskがハッキングされた既知の事例はありません。ただし、これは、フィッシングなどの古典的なソーシャル エンジニアリング手法などを通じて、MetaMask アカウントが侵害されないという意味ではありません。
MetaMask アカウントを保護するために実行できる簡単な手順は次のとおりです。
- MetaMaskアカウントを使用していないときは、MetaMaskアカウントからログアウトします(ログインしているときは、MetaMaskアカウントは「ロック解除」されていると見なされます)。MetaMask アカウントにログインしたままにしておくと、攻撃者はウォレット アドレス、残高、トークン、取引履歴を閲覧できる可能性があります。フィッシング攻撃の生成に使用できる情報。
- これはフィッシング攻撃である可能性があるため、ログイン時に不審なポップアップや通知が表示されることに注意してください。攻撃者は、受信トランザクションの署名を要求する悪意のあるポップアップを生成したり、最後のトランザクションが失敗したことを通知したりする (その後、トランザクションをそのアドレスにリダイレクトする) 可能性があります。偽の通知や偽の MetaMask インターフェイス クローンを使用して、MetaMask のロックを解除しようとすることもできます。
- MetaMask ウォレットに大量の暗号通貨を保管しないでください。他のホットウォレットと同様に、MetaMask はアクティブな取引、投資、または購入にのみ使用する必要があります。暗号通貨の大部分は、Trezor Model T や Ledger などのコールド ウォレットに保管する必要があります。
- ボーナス: CoinGecko の共同創設者が共有した仮想通貨セキュリティのヒントトップ 16 をお読みください。
結論: MetaMask は便利で使いやすいですが、常に予防策を講じる必要があります
MetaMaskは、おそらく現時点でイーサリアムネットワーク上のdAppsと対話するための最も便利で人気のある方法です。直感的で使いやすく、暗号に不慣れな技術者でなくても問題なく使用できます。ただし、リスクがないわけではないため、使用する際には常に予防策を講じる必要があります(暗号通貨のすべてに関してもそうであるように)。暗号通貨をさらに安全に保つために、市場で入手可能な最高のハードウェアウォレットをチェックすることをお勧めします。
