MetaMask（メタマスク）は、Web3領域で最も有名な名前の一つです。月間アクティブユーザー数が3,000万人を超える暗号資産ウォレットであり、多くの人にとってNFTエコシステムへの最初の入り口となっています。MetaMaskは、デジタル資産の売買が行われるEthereum（イーサリアム）ブロックチェーンへのゲートウェイとして機能します。
既存のソフトウェアウォレットからの移行を検討している場合や、初めてETHを購入してNFTコレクションを構築したいと考えている場合でも、このステップバイステップガイドでは、MetaMaskウォレットのセットアップ方法を含め、知っておくべきすべてを詳しく解説します。
■ MetaMaskとは？
MetaMaskは、Ethereumブロックチェーンとやり取りするための無料ブラウザ拡張機能およびモバイルアプリです。現実の世界で財布を使ってお金を保管し、支払いを行うように、ソフトウェアウォレットを使えば暗号資産やNFTなどのデジタル資産を購入・販売・取引することができます。
MetaMaskは2016年に登場して以来、最も認知度が高く広く使用されているソフトウェアウォレットの一つです。同年、ブロックチェーン開発企業ConsenSys（コンセンシス）によって開発され、Web3への導入を容易にし、分散型アプリケーション（DApp）を利用したい人々のアクセス性を高める目的でリリースされました。
■ ソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットの違い
暗号資産ウォレットを作成する際には、ソフトウェアウォレットとハードウェアウォレットの違いを理解することが重要です。MetaMaskは「ソフトウェアウォレット（ホットウォレット）」に分類されます。
ソフトウェアウォレットはデスクトップ拡張機能やモバイルアプリとしてダウンロード・インストールでき、デジタル資産をオンライン上で保管します。MetaMaskのようなウォレットの利点は、使いやすく、インターネット接続とブラウザさえあれば利用できる点です。ただし、オンライン接続を利用するため、ハッキングのリスクがあり、ハードウェアウォレット（コールドウォレット）より安全性が劣る場合があります。
一方、ハードウェアウォレットはUSBメモリのような物理デバイスで、暗号資産専用に設計されています。秘密鍵をオフラインで保存するため、ソフトウェアウォレットよりも高い安全性を持ちます。代表的な製品にはLedger（レジャー）やTrezor（トレザー）があります。
MetaMaskはソフトウェアウォレットですが、デスクトップ版ではTrezor、Ledger、Lattice、AirGap Vault、Keystoneなどのハードウェアウォレットをサポートしています。これにより、MetaMaskをインターフェースとして利用し、選択したハードウェアウォレットで暗号資産やNFTの取引リクエストを安全に行うことが可能です。モバイル版では現在Keystoneのみ対応していますが、MetaMaskは今後対応デバイスを拡充予定としています。
■ MetaMaskの仕組み
ブロックチェーン取引の中核を成すのは「スマートコントラクト」です。スマートコントラクトとは、契約条件がブロックチェーン上のコードに直接書き込まれ、自動的に実行される契約のことです。ブロックチェーンを運営するには、ノードと呼ばれるコンピュータがトランザクションを管理し、ネットワーク全体で共有する必要があります。
MetaMaskはノードとして直接動作するのではなく、Infuraと呼ばれる既存のノードを利用してスマートコントラクトを実行します。これにより、MetaMaskはEthereumネットワークへ効率的に接続できます。
MetaMaskの主な機能の一つは暗号資産の保管です。Ethereumの基軸トークンであるEther（ETH）の売買だけでなく、ERC-20やERC-721などのEthereum互換トークンも保管できます。さらに、ユーザー同士で仲介者を介さずにトークンスワップを行うことも可能です。
MetaMaskは分散型取引所（DEX）アグリゲーターの情報を利用して、最適な価格でトランザクションを実行します。また、BNB Smart Chainへの接続、Ethereumネットワーク上の他の分散型アプリへのアクセス、ブロックチェーンゲームのプレイなど、多彩な機能を提供しています。
MetaMaskの設定方法
初めて暗号通貨ウォレットを設定するのは気が遠くなるかもしれません。MetaMask を使用するとプロセスが比較的簡単になりますが、正しく実行したことを確認するには、いくつかの手順に従う必要があります。
ステップ 1: MetaMask をダウンロードしてインストールする
MetaMaskのウェブサイトから始めて、ウォレットのダウンロード方法とMMブラウザ拡張機能と互換性のあるブラウザのリストを見つけることができます。現在、MM は Chrome、Firefox、Brave、Microsoft Edge でのみ、または Apple または Android デバイスを介したアプリとしてのみ使用できます。
主にモバイルで MM を使用したい場合、最も簡単な開始方法は、PC または Mac 経由でアカウントを設定することです。携帯電話からすぐに MM ウォレットの設定に飛び込むことができますが、多くのプロジェクトやインターフェイスがハンドヘルド インターフェイス用に構築されていないことを考えると、モバイル経由で NFT を閲覧して収集するのは少し難しい場合があります。ブラウザ拡張機能を完全にセットアップしたら、Apple または Android アプリにインポートできるアカウントを作成できます。
ステップ 2: アカウントを作成する
ブラウザ拡張機能をダウンロードしてインストールすると(このチュートリアルではChromeを使用しています)、最初の選択画面が表示されます。
ソフトウェアウォレットを初めて設定する場合は、「ウォレットの作成」オプションから始めるとよいでしょう。既存のソフトウェアウォレット(Atomic、Exodus、Rainbowなど)をお持ちで、MetaMaskに移行したい場合は、「ウォレットのインポート」オプションを選択します。
2a: ウォレットを作成する必要がある場合
新しいウォレットを作成するオプションを選択すると、MetaMaskの使用状況データ収集に同意するか、オプトアウトするよう求められます。後でMMウォレットの設定でいつでもオプトアウトできます。
次に、パスワードを作成するように求められます。このパスワードを使用して、ブラウザ拡張機能またはモバイルアプリを介してMMアカウントにサインインします。これは秘密鍵/シードフレーズではありませんが、他のパスワードと同様に安全な場所に保存する必要があります。
パスワードを選択した後の次のステップには、シード フレーズ (または「秘密のバックアップ フレーズ」) が関係するため、慎重に行動してください。ランダムに生成された単語の文字列を受け取り、アプリに再度入力してこのフレーズを確認するように求められます。確認すると、MetaMaskウォレットのメインページが表示されます。
注: シード フレーズの保存を検討する 2 つの安全な方法は、シード フレーズをノートブックまたはメモ帳に物理的に書き留めて、安全なオフラインの場所に保存するか、パスワード マネージャーを使用してパスワードとフレーズを暗号化することです。フレーズをコンピューター上の任意の場所 (Word ドキュメント、テキスト ファイルなど) に保存すると、ハッキングや詐欺に対して脆弱になる可能性があります。2021 年の最初の NFT ブーム以来、多くの著名な NFT アーティストやコレクターがシード フレーズを介して詐欺やハッキングに遭っています。
2b: ウォレットをインポートする
既存のウォレットをインポートする場合は、以前にソフトウェア ウォレット インターフェイスを操作したことがあり、MetaMask がどのように機能するかについて一般的なアイデアを持っている可能性があります。「ウォレットのインポート」オプションを選択すると、インポート用に秘密鍵 (シード フレーズ) を入力するか、JSON ファイル (基本的には既存のウォレットの情報のスナップショット) をアップロードするように求めるプロンプトが表示されるので、どちらか一方を準備してください。
既存のウォレットをインポートしたら、MetaMaskを初めて使用する人と同様に、ステップ3に進み、MMウォレットが理想的な設定に設定されていることを確認する必要があります。
ステップ 3: 設定を構成する
新しいウォレットの設定を調べて構成してください。これは一部の人にとっては恣意的な手順のように思えるかもしれませんが、MetaMask の設定とさまざまなメニューをよく理解しておくことは、何か問題が発生した場合に大きな助けになります。
一般設定ページにアクセスするには、ページの右上にある「イーサリアムメインネット」と書かれている場所の横にあるアカウント写真をクリックします。アカウント名、通知設定、連絡先リストなどのフィールドは、設定ページから編集できます。
ウォレットの一意のイーサリアムアドレスは、「アカウント1」識別子のすぐ下にリストされていることに注意してください。イーサリアムアドレスは、銀行口座番号に似たランダムな文字列です。このアドレスを使用してイーサリアム ブロックチェーンと対話し、場合によってはサイトや取引所に入力してトークンを収集、送信、受信します。すべてのETHアドレスは公開されており(多かれ少なかれ、使用方法によって異なります)、Etherscan.io を介して検索できます。
誰かの住所を表示/コピーできるからといって、その住所を制御できるわけではありません。誰でも任意のETHアドレスにトークンを送信できますが、アドレスに関連付けられたウォレットを所有する(つまり、パスワードとシードフレーズを持っている)ユーザーのみが、そのアドレス内のトークンを管理および利用できます。
MetaMaskの設定に目を通し、ウォレットが正しい言語で、希望する通貨換算が表示されていることを確認したら、ウォレットを使用してトークンを操作することに進むことができます。
ステップ 4: 資金を追加する
MetaMaskウォレットにトークンを追加する最も一般的な2つの方法は、A)取引所(Coinbase、Geminiなど)からトークンを送信するか、B)MetaMaskの支払いインターフェースで精査されたパートナーを通じてETHを直接購入することです。
ウォレットでトークンを購入または受け取る前に、メインウォレットページの下部にある「トークンの追加」ボタンを必ずクリックしてください。ETHはデフォルトのトークンですが、MetaMaskはイーサリアムウォレットであるため、ここでは一般的に取引されるさまざまなトークンを検索できます。
目的のトークンを追加すると、インポートが簡単になります。コインのシンボル(略称識別子:ETH = Ethereum、BTC = ビットコインなど)は、メインウォレットページの「資産」のすぐ下、ETHのすぐ下に表示されます。
4a: 取引所からのトークンの受け取り
すでに経験豊富な仮想通貨トレーダーであれば、取引所からインポートすることが、MetaMaskにトークンを転送するための最も直接的なオプションになります。希望する取引所に向かう前に、MetaMaskウォレットアドレス(「アカウント1」の下にある長い数字の文字列)をコピーし、そのアドレスを「送信」機能に接続します。
同様に、別のウォレット (自分のウォレットでも他人のウォレットでも) から ETH または別のトークンを受け取る場合は、送信者のウォレットのトランザクション詳細に一意のイーサリアム アドレスを入力する必要があります。
4b: MetaMask経由でETHを購入する
トークンを取得する別の方法は、MetaMask の支払いインターフェイスを介して ETH を購入することです。MetaMask を通じて ETH を購入すると、資金をウォレットに直接受け取り、保管、取引、または別のトークンと交換できるようになります。この機能には、MM ウォレットのメイン ページで「購入」をクリックするだけでアクセスできます。
購入インターフェイスに入ると、金額を入力し、次に請求の詳細を入力するように求められます。デビットカードまたはクレジットカードでETHを購入するには、Coinbase PayまたはLink by Stripeを選択するオプションがあります。それ以外の場合は、PayPalまたはACHデポジットで購入することもできます。
ステップ 5: モバイルへの移行
携帯電話で新しいウォレットを使用するには、Apple の App Store または Google Play ストアから MetaMask アプリをダウンロードする必要があります。ダウンロードしたら、アプリを開くと、ウォレットを最初に設定したときと同様の一連のプロンプトが表示されます。
今回は、「シード フレーズを使用してインポート」オプションを選択し、MetaMask の初期設定時に以前に保存した秘密鍵を入力します。これで、外出先で MM ウォレットを使用する準備が整います。
ステップ6:NFTを購入する
ウォレットをセットアップし、探索し、トークンを入力したら、多くのNFTマーケットプレイスの1つに接続して、NFTを売買、取引できます。
最初にアカウントを設定するマーケットプレイスは、OpenSea と Blur です。OS は、主要なピアツーピア NFT マーケットプレイスの 1 つであり、ユーザーは多数の異なるマーケットプレイスやブロックチェーンの NFT と対話して取引できます。Blur は、多くの注目を集めている新しいマーケットプレイスであり、異なるインターフェイスとレイアウトを持つ大量のトレーダーを対象としています。
NFTを収集すると、それらはウォレット内に存在し、OpenSeaページ(または他のマーケットプレイスアカウント)またはMetaMaskモバイルアプリのNFTタブで見つけることができます。OpenSeaの仕組みとプラットフォームでのアカウントの設定方法の詳細については、サポートページをご覧ください。
OpenSea、Blur、Zora、その他のNFTマーケットプレイスに移動する前に、MetaMaskにサインインしていることを確認してください。同様に、ウォレットを Web サイト (マーケットプレイスやプロジェクト ハブなど) に接続するように求められたら、そのサイトが信頼できるものであること、およびウォレットで受信したトランザクションがサードパーティではなく、現在利用しているサイトから送信されたものであることを確認してください。
MetaMaskのアップデート
Web3 のセキュリティ問題に対応し、ウォレットの機能を向上させるために、MetaMask はソフトウェアを定期的に更新しています。2022 年の夏、同社は「すべての人に承認を設定する」ことを要求するトランザクションを強調表示することで、ユーザーが不正行為の試みをより適切に特定できるようにする重要な機能を導入しました。このコマンドは多くの場合、スマート コントラクトの重要なコンポーネントであり、承認し、重要なことに、あるユーザーのウォレットから別のユーザーのウォレットにトークンを転送する許可を与えます。
無防備な、または不注意なWeb3の住人を利用するハッカーは、フィッシング攻撃中やNFTマーケットプレイスがバグに対処しているときに、このコマンドを使用してユーザーのウォレットの内容を自分のウォレットに転送しています。MetaMask は、ユーザーに細字部分を読むよう促すことで (そして細字部分よりも読みやすくすることで)、このアップデートが Web3 詐欺に対する意識を高め、人々がデジタル資産を悪質な行為者に失うのを防ぐのに役立つことを期待しています。
同社は2022年10月、自動決済機関(ACH)ネットワーク決済業者であるSardineを介して、ユーザーがMetaMaskの銀行口座を通じて仮想通貨を直接購入できるようにすることも発表した。この機能により、ユーザーは送金が決済されるまで何日も待たずに仮想通貨を購入でき(銀行振込にACHを使用する場合によくあることです)、クレジットカードやデビットカードで仮想通貨を購入する際に発生する可能性のある購入が拒否される可能性が減ります。
2023 年 7 月、MetaMask はメニュー行を凝縮することで UX とレイアウトを刷新し、ユーザーがサイトの接続を確認し、権限を付与することがよりわかりやすくしました。暗号通貨コミュニティは、この分野にあまり洗練されていない新規参入者を標的としたフィッシング詐欺やエクスプロイトの増加を考慮すると、これを歓迎すべき変化として歓迎しました。その年の後半、MetaMask はセキュリティ スナップ機能も発表し、ユーザーがトランザクションにセキュリティ層を追加できるようにしました。
2024 年 1
月、MetaMask は、イーサリアム、Arbitrum、Polygon、Avalanche などの複数のブロックチェーンにわたる悪意のある可能性のあるトランザクションを警告することを目的として、Blockaid セキュリティ ツールをすべてのユーザーのデフォルト機能にすることでセキュリティを強化しました。MetaMask ブラウザ拡張機能のベータ版が成功した後に導入されたこれらのツールは、同様の製品と比較して有利であり、第三者とデータを共有しないことでユーザーのプライバシーを維持します。この展開は、使いやすさを損なうことなくセキュリティを向上させることで、競争の中での地位を強化することを目的としています。ただし、この機能は、偽の MetaMask バージョンや侵害されたデバイスを含むハッキング戦略など、すべてのハッキング戦略から保護できないため、制限が存在します。さらに、誤検知や詐欺の見逃しに対する懸念により、ユーザーはリスクの高い取引に別のウォレットを使用したり、保護を強化するために追加のプラグインを使用したりするなど、追加のセキュリティ対策を採用するよう促されます。
MetaMask は、暗号通貨の購入プロセスを簡素化することを目的として、投資アプリ Robinhood と同様の機能も統合しています。このコラボレーションには、MetaMask の Buy Crypto アグリゲーターとの Robinhood Connect の立ち上げが含まれており、特に米国の顧客をターゲットにして、暗号通貨の購入に関連する複雑さを最小限に抑えます。Robinhood Connect は、セルフカストディ ウォレットや分散型アプリケーション用の暗号通貨の購入と交換を容易にし、MetaMask のアグリゲーターは、地域の顧客確認法を遵守して、189 か国のさまざまなプロバイダーから暗号通貨の購入を提供します
NFTや仮想通貨の購入は複雑である必要はありません。MetaMask のような Web3 ツールは、プロセスを比較的簡単にするように設計されています。このソフトウェア ウォレットの使用方法を理解したので、NFT 101 ガイドと、Web3 での詐欺を回避してデジタル資産を安全に保つ方法に関するアドバイスを必ずチェックしてください。
