Orbiter Finance（OBT）とは
Orbiter Finance は、複数のレイヤー2（Rollup）や異なるチェーン間の資産移動を可能にするクロスチェーン／クロスロールアップブリッジプロトコルである。ユーザーがあるネットワークで保有する資産を別のチェーンへ移す際、Orbiter の「Maker（提供者）」が仲介者となって、ソースネットワークから送られた資産を受け取り、目的ネットワークで対応資産を別アドレスへ送信する方式を採用しており、複数チェーン間での迅速かつ効率的な資産移動を実現している。
このプロトコルのネイティブトークンとして OBT が存在し、ガバナンス参加、ステーキング、手数料支払い、将来的な機能拡張（例：Universal Account System、Omni‑chain インフラ整備など）に用いられる予定である。
OBT の総供給量は 100 億枚（10,000,000,000 OBT）であり、流通供給量はそのうち約49〜50億枚前後と報告されている。
このようなブリッジ兼ユーティリティトークンとして、Orbiter Finance と OBT は、クロスチェーン対応アプリケーションや DeFi／Web3 プロジェクトでのインフラ的重要性が期待されている。
OBT の価格履歴 — 過去最低価格と過去最高価格
OBT は 2025年1月20日に TGE（トークン生成イベント）が行われ、本格的に流通を開始した。
その後、同年 3月14日には過去最高値（All‑Time High, ATH）を記録し、0.03289 USD を付けた。
一方で、最近の価格の底値（All‑Time Low, ATL）は 2025年10月〜11月頃に観測され、約 0.002622 USD 前後となっている。
この間の価格変動率は非常に大きく、ATH から ATL までに 90％以上の下落があった計算になる。これは OBT が典型的なユーティリティ／インフラ系トークンであると同時に、市場全体のセンチメントや流動性、プロジェクト採用状況に強く左右されやすい性質を持つためである。
2025年11月時点の CoinGecko での価格は約 0.005344 USD、流通供給量は約 49億枚、市場時価総額は約 2677万ドルと報告されている。
ただし、価格だけでなく、提供される機能、プロジェクトの進捗、エコシステムの広がりなどを総合的に見なければ、将来性の判断は難しい。OBT のようなトークンは、テクノロジー採用とコミュニティの支持が鍵であり、価格のみに依存するのは危険である。
Trust Wallet による OBT の保管および送金方法
Trust Wallet はノンカストディアル型ウォレットとして、多くのチェーンおよびトークンをサポートしており、ユーザー自身が秘密鍵を管理する方式である。この性質は OBT のような ERC‑20（または対応チェーン）トークンの保管・送金に適している。
まず、Trust Wallet をスマホ等にインストールし、新規ウォレットの作成、あるいは既存ウォレットの復元を行う。リカバリーフレーズ（シードフレーズ）はオフラインかつ安全な場所に保存することが重要である。
次に、ウォレット内でトークン検索を行う。OBT が一覧にない場合、「カスタムトークンを追加」機能を使い、公式に公開されているスマートコントラクトアドレス、ネットワーク（Ethereum など）、トークン名、シンボル（OBT）、小数点桁数を正しく入力することで、ウォレット内に OBT を表示させることができる。
その後、外部取引所や別ウォレットから送金された OBT を受け取る場合、Trust Wallet 内の OBT を選択して「受取（Receive）」を押し、表示されたアドレスを送金元に渡せばよい。送金する場合は「送金（Send）」を選び、送金先アドレスと送金量を入力、必要なガス代（ETH 等）を確保して送金を実行する。初回は少額でテスト送金を行うことで、アドレス間の整合性やネットワークの状態を確認することが望ましい。
こうして、ユーザーは自分自身で秘密鍵を管理し、中央管理者に依存せずに資産を保有・移動できる自由と柔軟性を享受できる。
bitFlyer 取引所についておよび OBT の取り扱い状況
bitFlyer は日本国内で代表的な暗号資産交換所であり、金融庁の登録を受けて運営されている。日本円による入金・出金、国内銀行口座との連携、そして比較的わかりやすいインターフェースや顧客サポートにより、多くの国内ユーザーに利用されてきた。
しかし、公開されている取り扱い仮想通貨リストを確認する限り、2025年11月時点で OBT を公式に扱っているという情報は確認できない。このため、bitFlyer を通じて OBT を購入したり、日本円に換金したりするのは現状では難しい可能性が高い。
もし将来的に OBT が国内取引所に上場するとしても、上場審査、流動性確保、法令準拠などのハードルがあるため、期待だけで依存するのはリスクがある。現在の安全かつ現実的な方法は、海外取引所や分散型取引所（DEX）を通じて OBT を扱い、その上で国内資金への換金が必要な場合は主要通貨に変換するなどのルートを検討することである。
Trust Wallet と bitFlyer のそれぞれのメリットとデメリット
Trust Wallet の最も大きな強みは、秘密鍵を自分で管理できるノンカストディアル性と、多様なトークン／チェーンに対応する柔軟性である。OBT のような新興またはユーティリティトークンを保有・運用する場合、この自由度は非常に価値がある。また、送受金の自由、DEX や DeFi との連携、スマートコントラクトの利用など、広範な使い道がある。
ただし、その自由には責任が伴う。秘密鍵やリカバリーフレーズを紛失した場合、資産を復元することは基本的に不可能である。さらに、トークンを扱う際はコントラクトアドレスの正確な確認、偽トークンや詐欺コントラクトの排除、送金先アドレスの慎重な入力など、ユーザー自身がセキュリティ管理を徹底する必要がある。
一方、bitFlyer のメリットは、法令遵守、金融庁登録、国内銀行との連携、日本円の入出金対応といった点で国内ユーザーに安心感を与えることができる点だ。暗号資産を法定通貨に戻す際、または法定通貨から暗号資産への入金を行う際には、こうした公式取引所の存在が重要となる。
ただし、その便利さの裏には、取り扱い銘柄数の制限、秘密鍵を自分で管理できないカストディアル方式、流動性や取扱通貨ペアの制限、そして取引所の運営状況や規制変更の影響などのリスクがある。また、OBT のようなマイナーまたは新興トークンは現時点で扱われていない可能性が高いため、目的の通貨が取引所で扱われていないという致命的な制約がある。
実務的な運用提案 — OBT を扱う場合の最適な戦略
OBT のようなユーティリティ／インフラ系トークンを取り扱う場合、まずは Trust Wallet を使って自己管理することを基本とすべきである。特に、長期保有や将来のプロジェクト発展、ステーキング、流通量の増加などに期待するならば、自分で秘密鍵を管理し、流動性の変動や取引所の対応状況に縛られない管理体制を整えることが重要である。
売買や換金を行いたい場合は、まず OBT を信頼性の高い主要通貨（例：ETH、USDT）にスワップし、取引所が対応する通貨に変換する。もし日本円に戻す必要がある場合は、対応する国内取引所を介して法定通貨への換金を行う。このように、自己管理ウォレットと取引所を併用することで、利便性と安全性を両立させる運用が可能となる。
さらに、送金やスワップを行うたびに少額テストを実施すること、コントラクトアドレスとネットワークを厳密に確認すること、フィッシングサイトや偽リンクに注意することなど、セキュリティ対策を徹底するべきである。
結論
Orbiter Finance（OBT）は、クロスチェーン／クロスロールアップ環境における資産移動のためのインフラを提供するプロトコルであり、そのユーティリティトークン OBT は将来性を秘めた実用型トークンである。一方で、2025年現在、その価格は初期の高値から大きく下落しており、高いボラティリティを伴うことが確認されている。
このようなトークンを安全かつ効果的に扱うためには、Trust Wallet のようなノンカストディアルウォレットによる自己管理が最も適している。秘密鍵を自身で管理し、送金・受取・保管を自分でコントロールすることで、取引所に依存しない柔軟な資産運用が可能となる。
しかし、日本国内で法定通貨や国内銀行との連携を考えるならば、bitFlyer のような取引所の存在も重要だ。ただし現状では公式に OBT を扱っていないため、直接の換金は難しい。したがって、自己管理ウォレットと取引所、必要に応じたスワップや他通貨への変換を組み合わせた運用が現実的かつ安全性の高い方法である。
