「再ステーキング (re‑staking)」という概念が Web3 の新たな潮流として注目を集める中、EigenLayer（アイゲンレイヤー） はその中心的なプロトコルとして急速に成長しています。EigenLayer によって、イーサリアム (ETH) をステーク (預けて保証力を提供) するユーザーは、そのままさらに他のプロトコルに「再ステーク (restake)」できるため、より高いリターンを追求することが可能になります。この仕組みを支えるネイティブトークンが EIGEN (EigenLayer トークン) です。
こうした先進的なトークンを扱うには、セキュリティと利便性を兼ね備えたウォレットが重要となります。Trust Wallet（トラスト・ウォレット） は、自己管理型 (ノンカストディアル) でありながらスマートフォンで使えるため、EIGEN の保管や送受信、将来的な参加を目指すユーザーにとって魅力的な選択肢です。
一方、日本国内の主要取引所 bitFlyer（ビットフライヤー） は、多くのユーザーが資産売買に利用するプラットフォームですが、EIGEN を取り扱っているか否かが運用戦略において重要なポイントになります。本稿では、Trust Wallet による EIGEN 運用、EIGEN の価格履歴、bitFlyer と EIGEN の関係、そして両者を活かした運用戦略を詳しく解説します。
EIGEN（EigenLayer トークン）とは
EigenLayer は、イーサリアム上に構築された再ステーキング (re‑staking) プロトコルです。従来ステーキングされた ETH を再利用し、追加のセキュリティ貢献や検証 (バリデーション) を行うことで、第三者サービス (アプリケーション、検証サービスなど) を支える設計になっています。これにより、ETH ホルダーは単純にステーク報酬を得るだけでなく、より高利の参加機会を得ることができます。
EIGEN トークンはこのプロトコルのネイティブトークンとして、次のような用途があります：
- 再ステーキング報酬としての分配
- ネットワークのガバナンス (将来的な方針決定など)
- プロトコル利用者 (バリデーターやサービス提供者) へのインセンティブ
また、EigenLayer はその名前を後に EigenCloud に変更する計画があり、EIGEN トークンもその一環としてブランドを展開しています。CoinGecko でも “EigenCloud (prev. EigenLayer)” として記載があります。
供給面では CoinMarketCap によると、EIGEN の総供給量 (Total Supply) は約 1.76 B (17.6 億) トークン。流通供給量も一定割合が市場に出ており、無限発行 (Max Supply = ∞) と表示されているデータもあります。
EigenLayer は単なるステーキングプロトコルではなく、「信頼性検証 (validation) のマーケットプレイス」として位置づけられており、ETH のステークを再活用することでセキュリティと効率性を両立させようとしています。これが EIGEN を将来的に重要なインフラトークンたらしめている理由です。
EIGEN の価格履歴：過去最低価格と最高価格
EIGEN の価格動向を振り返ることは、投資および参加戦略を考える上で非常に重要です。
過去最高価格 (ATH)
- CoinMarketCap のデータによると、EIGEN の過去最高値は $5.65 (米ドル)。
- CoinLore の統計でも、2024年に平均価格が $3.48、最高が $5.65 というデータがあります。
- このピークは、EigenLayer が再ステーキング市場で注目を集め、TVL (ロックされた資産量) が大きく伸びていた時期と重なります。Reddit などのコミュニティでも、EigenLayer が急成長していたという報告があります。
過去最低価格 (ATL)
- CoinGecko のデータによれば、EIGEN の歴史最低価格は $0.6685 (米ドル)。
- CoinLore でも同様に、2025年には最低価格として $0.6644 という観測が出ています。
- こうした底値水準は、プロトコルの初期段階、市場の認知度や流動性が限られていた時期を反映しています。
最近の価格 (現状)
- CoinMarketCap のリアルタイム価格は $0.6175 程度。
- CMC AI によれば、EIGEN の価格下落には供給ロック解除 (アンロック) の懸念が影響していると分析されています。
- また、Bitget など他の取引所でも、EIGEN の価格は CNY 換算で 約 ¥4.78 程度というデータが報告されています。
これらを総合すると、EIGEN は過去には非常な成長を経験したものの、その後調整を受け、現在はより成熟した価格帯に移行しつつあると言えます。しかし、トークンアンロック (供給増加) のリスクや、プロトコル開発・需要動向が価格に大きく影響する可能性が依然として高いです。
Trust Wallet による EIGEN の使用・保管・送信
EigenLayer トークン (EIGEN) を Trust Wallet によって管理・運用する方法、およびセキュリティ上の留意点を以下に説明します。
Trust Wallet の利点
Trust Wallet はノンカストディアル型ウォレットであり、ユーザーが秘密鍵 (シードフレーズ) を自己管理できます。この点は、取引所にトークンを預けたままにする際のカウンターパーティリスクを避けるうえで非常に重要です。
また、スマートフォン (iOS／Android) に対応しており、トークンの追加や送受信、残高確認が直観的に行えます。ERC‑20 トークン (EIGEN など) をサポートしており、カスタムトークンとしての登録も可能です。
EIGEN のトークン登録 (カスタムトークン)
Trust Wallet に EIGEN を追加する際には、以下の手順が一般的です：
- Trust Wallet アプリを開き、「トークンを追加 (+)」を選択
- 検索で EIGEN が表示されない場合には「カスタムトークン (Custom Token)」を選ぶ
- 入力が必要な情報 (トークン契約アドレス、シンボル、デシマル桁数) を正確に入力
- EIGEN のコントラクトアドレスは、公式または信頼できる情報源から取得してください - 登録してウォレットにトークンを反映
正しい情報が入力されないと、残高表示がされない、または送受信ができない可能性があるため注意が必要です。
EIGEN の受け取り (入金)
EIGEN を Trust Wallet に送金するには、ウォレットアプリで EIGEN を選択 → 「受け取る (Receive)」をタップ → 表示されたアドレスをコピー → 送金元 (取引所または他ウォレット) にそのアドレスを指定して送金します。
送金前にはアドレスが正しいか、ネットワーク (通常 Ethereum) が一致しているかを十分に確認する必要があります。
EIGEN の送信 (出金)
EIGEN を送信する際の手順は以下の通りです：
- Trust Wallet で EIGEN トークンを選択
- 「送信 (Send)」をタップ
- 宛先アドレスと送付量を入力
- トランザクション手数料 (ガス代) を確認
- 内容を最終確認して送信を承認
- トランザクション完了後、TXID (トランザクション ID) を控えて Etherscan などで確認可能
セキュリティ対策とリスク管理
EIGEN を自己管理する際には、次のポイントを徹底すべきです：
- シードフレーズはオフライン (紙や金属など) で安全に保管し、決して第三者と共有しない
- トランザクション前には送金先アドレスをコピペ後、必ず目視で確認して誤送金を防ぐ
- Trust Wallet アプリは常に最新版に更新し、セキュリティ脆弱性に備える
- 不明な DApp やウェブサイトへのウォレット接続は避け、信頼性の高いサービスのみを利用
- ガス代 (Ethereum 手数料) の見積もりを事前に行い、費用最適化を意識する
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
EIGEN を売買または保管する際に bitFlyer を利用できるかどうかは、運用方針を左右する重大なポイントです。以下に bitFlyer の概要、EIGEN との関係、および強み・課題を整理します。
bitFlyer の基本概要
bitFlyer（ビットフライヤー）は東京都に本拠を置く日本の暗号資産取引所で、金融庁登録済みの正規交換業者です。日本円による入出金が可能で、販売所形式や取引所形式 (Lightning) を提供しています。顧客資産はコールドウォレットで管理されており、セキュリティに重点を置いた運営体制が敷かれています。
EIGEN の bitFlyer における取り扱い状況
現時点 (調査時点) において、bitFlyer の取り扱い銘柄一覧には EIGEN (EigenLayer トークン) の記載が確認されていません。公開資料や bitFlyer の公式ウェブサイト、プレスリリースにおいて、EIGEN 取り扱いのアナウンスがないため、bitFlyer では現物の EIGEN を売買または保管する機能が提供されていない可能性が高いです。
これは、EIGEN を中心にした資産運用を考える場合、bitFlyer 単体では運用拠点として不十分であることを意味します。
bitFlyer の強みおよび制約 (EIGEN を軸にした観点)
強み
- 国内取引所として法制度順守、安全性が高い
- 日本円での入出金が容易で、資金移動が簡便
- ブランド力があり、多くの日本ユーザーにとって安心の拠点
制約
- 現時点で EIGEN の取り扱いがないため、EIGEN の売買・保管には利用できない
- 取引所に資産を預ける際のハッキングリスクや運営リスク (カウンターパーティリスク) が存在
- EIGEN のようなインフラトークンを扱うには、海外取引所や自己管理ウォレットとの併用が必要になる可能性が高い
Trust Wallet と bitFlyer の比較：EIGEN を軸にした視点
EIGEN を保有・運用するという観点から、Trust Wallet と bitFlyer を比較すると以下のような強みと役割分担が見えてきます。
Trust Wallet は自己管理型ウォレットとして、秘密鍵をユーザーが保持できるため、高い安全性と自由度があります。EIGEN を中長期ホールドし、再ステーキング報酬を受け取り、将来的なガバナンス参加を見据えるユーザーにとって理想的なプラットフォームです。
ただし自己管理には責任も伴います。誤ったアドレスへの送金、トークン登録ミス、シードフレーズの紛失などによる損失リスクを避けるためには、慎重な運用とセキュリティ対策が不可欠です。
一方 bitFlyer は信頼性が高く、日本円での取引が容易な取引所ですが、現時点で EIGEN の取り扱いがないため、EIGEN を中心資産とする運用には直接的な利便性を提供できません。従って、EIGEN 運用においては 補完的な役割 を担うことになります。
運用戦略および提言
EIGEN を本格的に運用・保有するには、以下のような戦略が現実的かつ効果的です。
まず、Trust Wallet を中心とした自己管理型戦略 を基本とします。これにより、EIGEN を安全に保管し、再ステーキング報酬を受け取り、将来的なガバナンス参加を自分でコントロールできます。
次に、海外取引所との併用戦略 を検討します。EIGEN を取り扱う海外の CEX (例：Gate、Binance など) や DEX (分散型取引所) で購入し、その一部を Trust Wallet に送金して自己管理に移す方法です。これにより、取引所の流動性とウォレットの安全性を両立できます。
さらに、中長期参加型戦略 を採用します。再ステーキング市場の将来性、EigenLayer のガバナンスやプロトコル成長を見込んで EIGEN を保有し、プロトコルの発展に伴う価値上昇を狙います。
セキュリティ面では、シードフレーズのオフライン保存、ウォレットアプリの定期的なアップデート、不審な DApp やウェブサイトとの接続回避、およびガス代 (手数料) の見積もり管理を徹底してください。
結論
EIGEN (EigenLayer トークン) は、再ステーキングという革新的な概念を支える重要なインフラトークンです。過去には強い価格上昇を見せたものの、現在は調整が進んでおり、将来的な発展とリスクの両方が存在します。
Trust Wallet を活用することで、EIGEN を自己管理下に置き、安全かつ柔軟に運用できます。一方、bitFlyer は国内では強力な取引拠点ですが、現状では EIGEN を取り扱っていないため、併用によるハイブリッド戦略が不可欠です。
したがって、EIGEN に投資・参加を検討する際には、Trust Wallet を中核とした自己管理型運用 と、EIGEN 取り扱いのある海外取引所との併用 を組み合わせるアプローチが最も現実的かつ効果的な方法と言えるでしょう。
