メタバースという概念が広がる中、Decentraland（ディセントラランド） はその代表格のひとつです。この仮想空間プラットフォーム内で使われるネイティブトークンが MANA（マナ） です。土地 (LAND) の購入、アバターやアイテムの取引、ガバナンス参加など、さまざまな用途で MANA が利用されており、メタバースのエコノミーを支える重要な資産です。
こうしたトークンを安全かつ自由に管理するには、自己管理型ウォレットが非常に有効です。Trust Wallet（トラスト・ウォレット） は、スマホ対応かつ秘密鍵をユーザー自身が保持するノンカストディアルウォレットとして、MANA の保管・送金に適しています。
一方で、日本国内でも大手取引所として知られる bitFlyer（ビットフライヤー） は、多くの暗号資産を扱っています。MANA の取り扱いにも対応しており、売買拠点として重要な役割を果たします。
本稿ではまず Trust Wallet による MANA の運用方法を紹介し、次に MANA の価格履歴を整理、さらに bitFlyer の特徴と MANA との関係、最後に両者を比較した運用戦略を展開します。
MANA（Decentraland トークン）とは
Decentraland (DCL) はイーサリアム上に構築された仮想現実 (VR) プラットフォームで、ユーザーは土地 (LAND) を所有し、その上に建築をしたり、イベントを開催したりすることができます。MANA は ERC‑20 トークンとして発行されており、主な役割には以下が含まれます：
- 土地 (LAND) を購入・取引する決済手段
- 仮想空間内アイテム (アバター、オブジェクト) の売買
- ガバナンス (Decentraland DAO) への参加権限 (将来的に)
MANA のトークン総供給量 (最大供給量) は 約 21.93 億枚 (2.193 B) で、CoinGecko の情報でもその数値が確認されています。
Decentraland プロジェクト自体も、メタバース経済を現実世界とつなぐ重要なインフラと見なされており、MANA はその根幹を支えるユーティリティトークンです。
MANA の価格履歴：過去最低価格と最高価格
MANA の価格推移は非常に変動が大きく、投資対象としてのリスクと魅力の両方を示しています。
最高価格 (ATH)
- CoinGecko のデータによれば、MANA の過去最高値 (All-Time High) は $5.85（米ドル）。
- Bybit の情報でも、同じく ATH を $5.85 と記録。
- この高値は、メタバースへの熱狂、土地やアバターへの需要拡大、そして DeFi や NFT 市場との連携への期待が強かった時期 (特に 2021 年) に達したものです。
最低価格 (ATL)
- CoinGecko によれば、MANA の最安値 (All-Time Low) は $0.009237（約 0.0092 ドル） (2017年10月) でした。
- Reddit や他情報源でも、かつて非常に低い価格からスタートしており、特に初期参入者にとっては歴史的な底値だったことが確認されています。 > 「The all‑time low of MANA was $0.00788306」などの声も。
- CoinLore のデータでも、初期取引価格や最低値が非常に低かったことが確認されており、長期保持者にはそのリスクとリワードがともに大きかったという事実があります。
最近の価格動向
- MEXC のヒストリカルデータによれば、2025年 8 月～11 月あたりの MANA は日別で $0.159～$0.210 付近のレンジで推移しています。
- Bitget のデータでも類似のレンジが報告されており、長期保有者やメタバース参加者にとっては再評価の機会とも考えられます。
このような価格変動は、市場センチメント (メタバース人気)、流動性、ガス代、経済マクロ動向など複数の要因が複雑に作用していることを示しています。
Trust Wallet による MANA の使用・保管・送信
MANA を Trust Wallet で扱うには、操作手順とセキュリティ管理が重要です。以下では具体的方法と注意点をまとめます。
Trust Wallet の利点
Trust Wallet は自己管理型 (ノンカストディアル) ウォレットであり、ユーザー自身が秘密鍵 (シードフレーズ) を管理できます。これにより、取引所に資産を預けるリスク (ハッキング、破綻など) を回避でき、安全性を高められます。
また、モバイル (iOS／Android) に対応しており、直感的な UI で資産の管理や送受信が可能です。ERC‑20 トークン (MANA を含む) をサポートしており、トークン追加も容易です。
MANA のトークン登録 (カスタム追加)
Trust Wallet に MANA を追加するには、まずウォレット内でトークンを追加する画面を開きます。もしリストに MANA が無ければ、カスタムトークンとして次の情報を入力します：
- コントラクトアドレス：MANA (ERC‑20) のアドレス
- トークンシンボル：MANA
- デシマル (小数点以下桁数)：18 など、仕様に応じた値
これらが正しく入力されていないと、残高が表示されない、あるいは送受信が正常に機能しない可能性があります。
MANA の受け取り (入金)
MANA を Trust Wallet に入金したい場合は、ウォレットで MANA を選択 → 「受け取る (Receive)」 → 表示された受け取りアドレスをコピー → 送金元 (取引所や他ウォレット) にアドレスを指定して送金を実行します。
送金前には、アドレスが正しいか、ネットワーク (通常 Ethereum メインネット) が一致しているかを慎重に確認してください。
MANA の送信 (出金)
送金手順は、Trust Wallet で MANA を選択 → 「送信 (Send)」 → 宛先アドレスと送付量を入力 → トランザクション手数料 (ガス代) を確認 → 最終確認 → 承認 → トランザクション実行という流れです。
送金後には、トランザクション ID (TXID) が付与されます。これを控えれば、Etherscan などのブロックチェーンエクスプローラで送金確認が可能です。
セキュリティ対策とリスク管理
Trust Wallet で MANA を管理する際には、以下のセキュリティ対策を徹底することが重要です：
- シードフレーズをオフライン (紙・金属など) に保存し、第三者と共有しない
- 送金先アドレスはコピペ後、必ず目視確認して正確性を確保
- Trust Wallet アプリを常に最新版にアップデートし、セキュリティ修正を取り込む
- 不審な DApp やウェブサイトへのウォレット接続を避け、信頼できる相手のみ利用
- ガス代 (Ethereum ネットワーク手数料) の見積もりを確認した上で送金を行い、無駄なコストを避ける
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
ここでは bitFlyer の基本情報、MANA との関係、そして強みと制約を整理します。
bitFlyer の基本概要
bitFlyer（ビットフライヤー）は、日本国内で非常に知名度の高い暗号資産取引所です。金融庁登録済みの正規交換業者であり、日本円による入出金が可能です。販売所形式と取引所形式 (Lightning) の両方を提供しており、ユーザーのさまざまなニーズに応じた取引ができます。
資産の安全性にも注力しており、顧客資産をコールドウォレットで分別管理する体制が整っています。
MANA の bitFlyer における取り扱い状況
bitFlyer は 2024 年 2 月 5 日に、販売所形式において MANA (ディセントラランド) の取り扱いを開始したと発表しています。
これは、国内ユーザーが日本円ベースで MANA を購入・売却できる機会が実質的に広がったことを意味します。
ただし、取扱が「販売所形式 (マーケットメイク型)」となっており、取引所形式 (ユーザー間マッチ型) での流動性や価格優位性には限界がある可能性も考えられます。
bitFlyer の強みおよび制約 (MANA を軸に)
強みとしては、国内法制度への準拠、安全性の高さ、日本円による入出金の利便性、取引所としてのブランド信頼などが挙げられます。特に日本国内居住者にとっては、信頼できるエントリーポイントとして非常に魅力的です。
一方、制約として MANA の販売所形式のみの取り扱い (流動性やスプレッドの問題)、および取引所に資産を預けるリスク (ハッキング、経営リスク) が存在します。また、購入後に大きく価格が変動する可能性のあるミーム／メタバース系トークンを長期保有するには、自己管理ウォレットとの併用が望ましいと言えます。
Trust Wallet と bitFlyer の比較：MANA を軸にした視点
MANA を保有・運用する際、Trust Wallet と bitFlyer にはそれぞれ異なるメリットと役割があります。
Trust Wallet は自己管理型ウォレットとして、秘密鍵をユーザー自身が保持できるため、高い安全性と自由度が特徴です。MANA を長期的に保有し、メタバース活動 (土地購入など) に使う、あるいは送金・ガバナンス参加を自分のタイミングで行うのに適しています。
ただし、自己管理には責任があります。ウォレットの操作ミス、アドレス誤入力、シードフレーズの紛失などは資産喪失を招くため、取り扱いには慎重さが必要です。
bitFlyer は日本国内で信頼性の高い取引所であり、日本円対応、安全管理、操作性など多くの利点があります。MANA を購入・売却したり、日本円で資産を移動したりする際には非常に便利な拠点です。
ただし、販売所形式によるスプレッド、流動性の限界、そして取引所に預けるリスクがあるため、MANA を主軸に持つ場合には Trust Wallet などとの併用が現実的です。
運用戦略および提言
MANA を運用・保有する際には、以下のような戦略が有効です。
まず Trust Wallet を中心とした自己管理型運用 を基本とします。これにより、MANA を安全に保管し、送受信やメタバースでの利用 (LAND 購入、アバター購入など)、将来的なガバナンス参加 (DAO) などを自分の裁量で行うことができます。
次に、bitFlyer を併用した戦略 を組み込むことを検討します。日本円で MANA を購入・売却する時には bitFlyer を利用し、その一部を Trust Wallet に送金して自己管理下に移す方法が現実的です。これにより、取引所の利便性とウォレットの安全性の両方を活かすことができます。
さらに、中長期参加型運用 を意識します。Decentraland が将来的に成長するというビジョンを持って MANA をホールドし、土地所有、イベント参加、メタバース経済への貢献などを通じて価値を享受する戦略です。
セキュリティ面では、シードフレーズのオフライン保存、ウォレットアプリの定期更新、不審なサイトとの接続回避、ガス代 (手数料) のコントロールなど、基本的な対策を徹底すべきです。
結論
MANA (Decentraland トークン) は、メタバース経済の要となる重要な暗号資産です。その歴史には非常な価格変動があり、投資対象としての魅力とリスクが共存しています。
Trust Wallet を用いることで、MANA を安全かつ柔軟に管理・送信でき、メタバースでのアクティビティに対しても自己裁量で対応できます。bitFlyer は日本国内の信頼ある取引所として、日本円での購入・売却や資産運用に便利な拠点です。
MANA を本格的に扱うには、Trust Wallet を中核とした自己管理型運用 に加え、bitFlyer などの取引所との併用 によるハイブリッド戦略が最も現実的で効果的なアプローチと言えるでしょう。
