はじめに：SAFE（セーフ）とは
SAFE は、かつて Gnosis Safe と呼ばれていたマルチシグウォレット「Safe」エコシステムのガバナンストークンであり、Safe プロトコルの中核を支える ERC‑20 トークンです。Safe はマルチシグ (複数署名) を用いたウォレットを提供し、個人や組織が共同で資金を管理し、高度なセキュリティを確保できる仕組みを持ちます。
SAFE トークンは、ガバナンス参加やプロトコルの重要な意思決定に使用されるほか、将来的なユーティリティ（ステーキング、手数料システムなど）との連携も検討されています。
SAFE の価格履歴（史上最低価格と最高価格）
SAFE トークンの価格は、リリース以降大きく変動してきました。以下は主な指標です。
CoinGecko のデータによると、SAFE の 史上最高価格 (ATH) は $3.56（2024年4月23日付）と記録されています。
一方で 史上最安値 (ATL) は $0.1341（2025年11月21日付）と報告されています。
CoinMarketCap の情報もこれを裏付けており、2025年11月19日には $0.1435 付近まで下落したとの記録があります。
また、CoinLore のデータによれば、安全資産としての SAFE はローンチ後に $1.33 付近からスタートし、最高で $1.66 まで上昇、その後は調整を経ています。
これらの価格履歴から見て、SAFE はそのユーティリティとガバナンス用途を反映して値動きしており、非常に高い変動性を伴うトークンであることが分かります。
Trust Wallet を使った SAFE の保管および送金
SAFE は Ethereum 上の ERC‑20 トークンであるため、Trust Wallet などの汎用ウォレットで容易に管理することが可能です。
まず、Trust Wallet に SAFE を追加するためには、アプリを起動して「ウォレット」画面から「トークンを追加 (Add Token)」へ進みます。ネットワークを Ethereum に設定し、SAFE のコントラクトアドレス（0x5aFE3855358E112B5647B952709E6165e1c1eEEe）およびトークンシンボル「SAFE」、小数点桁数 (デシマル) を正しく入力します。
これを保存すれば、Trust Wallet の資産一覧に SAFE の残高が表示されるようになります。
保管にあたって、Trust Wallet は非カストディアル型であり、秘密鍵やリカバリーフレーズ (シードフレーズ) はユーザー自身が管理する必要があります。これは、資産の完全な所有権を保持できるという長所である一方、紛失や漏洩のリスクも伴います。したがって、リカバリーフレーズは紙や金属などオフラインの安全な場所に保管し、第三者に知られないようにすることが重要です。
次に、SAFE の送金方法ですが、Trust Wallet 内の SAFE を選択し、「送信 (Send)」をタップします。送金先アドレスを入力し、送金額とガス代（イーサリアムのトランザクション手数料）を確認します。ガス代はネットワークの混雑状況によって変動するため、適切なレートを選ぶことが求められます。すべてを確認したら「確認 (Confirm)」を実行して送金します。このとき、トランザクションハッシュ（TxHash）が発行され、Etherscan などのブロックチェーンエクスプローラーで進行状況を確認できるようになります。
安全性を確保するためには、大口の送金を行う前に少額でテスト送金をすることが推奨されます。これによりアドレスの誤りやガス代設定ミスなどによるリスクを軽減できます。
さらに、ウォレットの保護対策として、Trust Wallet に PIN や生体認証 (指紋など) を設定し、不正アクセスを防ぐことが推奨されます。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と SAFE との関係
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本国内において非常に信頼性の高い暗号資産取引所で、金融庁登録済みの企業です。ユーザーは日本円による入出金 (銀行振込、ネットバンキングなど) を利用でき、法規制面でも堅実な運営がなされています。
セキュリティ面でも、コールドウォレット、アカウント保護、暗号化通信技術などにより高い水準が保たれており、ユーザー資産の管理には信頼があります。
しかし、調査の限り bitFlyer において SAFE (ERC‑20 の投票・ガバナンストークン) が取り扱われているという公式な情報は見当たりません。bitFlyer の暗号資産一覧や上場通貨を確認しても、SAFE のティッカーや名称の記載がないため、SAFE を bitFlyer で売買したり預けたりすることは、現状では現実的に難しい可能性が高いと考えられます。
このため、SAFE の取引または保管を目的とする場合は、bitFlyer ではなく SAFE をサポートする他の取引所 (たとえば Bitget、その他の海外取引所) や分散型取引所 (DEX) を利用する戦略が現実的です。
Trust Wallet と bitFlyer の長所および短所（SAFE 運用の視点から）
SAFE を扱う際に Trust Wallet（ウォレット型）と bitFlyer（取引所型）を比較すると、それぞれ異なる強みと弱みがあります。
まず、Trust Wallet の強みは非カストディアル性にあります。ユーザーは自分自身の秘密鍵を管理でき、資産の所有権を完全に保有できます。SAFE のようなガバナンストークンを長期に保有し、コミュニティやプロトコルに深く関与したい場合、この自己管理型のアプローチは非常に有効です。また、ERC‑20 トークンを幅広くサポートしており、SAFE の追加やトークン管理が容易です。スマートフォンアプリでいつでも資産確認・送金ができる操作性も大きな利点です。
一方、Trust Wallet の短所としては、送金時のガス代の負担があります。イーサリアムネットワークは混雑が激しいときにガス料金が高騰する可能性があり、送金コストが想定以上になることがあります。さらに、アドレスの入力ミスや送金先ネットワークの選択ミスは資産損失のリスクを伴います。シードフレーズを自己管理する責任があることも、初心者にとってハードルになるかもしれません。
次に bitFlyer の強みですが、日本国内ユーザーにとって高い信頼性がある点がまず挙げられます。金融庁登録企業であり、日本円での入出金が整っているため、資金移動がスムーズです。セキュリティ対策も強力で、多段階認証や資産の分別管理などがしっかりしているため安心して資産を預けられます。さらに、使いやすい UI やサポート体制も整っており、初心者でも利用しやすい取引所です。
しかし SAFE のようなトークンを扱う上では、bitFlyer には重大な制限があります。現在 SAFE トークンを取扱っていない可能性が高いため、SAFE の売買・保管を bitFlyer で行うことは難しいでしょう。加えて、取引所に資産を預けることは自己管理資産としての自由度が制限されることを意味します。取引所自体の運営リスク (ハッキング、破綻など) も無視できず、出金手数料や最低出庫額などのコストも考慮すべき点です。
リスクおよび注意点（SAFE 運用における留意事項）
SAFE を保有・送金・取引する際には、いくつかの重要なリスクと注意点があります。
まず、価格変動リスクが大きいことです。SAFE の価格は過去に ATH と ATL を経験しており、短期間で大きく変動する可能性があります。ガバナンストークンであるとはいえ、投機目的での取引には慎重な判断が必要です。
次に、送金リスクがあります。Trust Wallet による送金では、アドレスの誤入力やガス代見積もりミスなどが資産損失につながる可能性があります。特に大きな額を移転する場合は、テスト送金を活用してミスを減らすべきです。
ウォレットのセキュリティ面も重要です。リカバリーフレーズはオフラインで安全に保管し、オンライン上に置かないことが不可欠です。また、スマホには PIN や生体認証を設定して、不正アクセスを防止してください。
さらに、SAFE プロジェクトそのもののリスクも理解する必要があります。Safe プロトコルの成長、ガバナンス機能の実現、ステーキングやユーティリティ導入の成功などが、トークン価値に大きな影響を与えます。提案の実装やコミュニティ活動の進捗を定期的にチェックすることが重要です。
最後に、税務リスクがあります。SAFE の売買や送金で得られる収益は、居住国の税法に基づいて課税対象となる可能性があります。日本在住の場合は暗号資産に詳しい税務専門家への相談を推奨します。
まとめ
SAFE (ERC‑20 トークン) は、Safe（旧 Gnosis Safe）マルチシグウォレットを支える重要なガバナンストークンであり、プロトコルの意思決定や将来のユーティリティと深く結びついています。価格は過去に $3.56 をピークに一時下落し、現在は比較的控えめな水準で取引されており、高い変動性を伴います。
Trust Wallet を活用することで、SAFE を自分のウォレットで安全に保管・送金する自由を得られます。自己管理のコントロールや自己責任での資産保有を重視するユーザーには非常に適しています。一方で、ガス代や送金ミス、秘密鍵管理などのリスクには注意が必要です。
bitFlyer は日本国内での信頼性が非常に高い取引所ですが、現時点では SAFE トークンを取り扱っているという情報は確認されておらず、SAFE トークンの売買・保管には向いていない可能性があります。
SAFE を効果的に運用するには、Trust Wallet と SAFE をサポートする取引所 (または分散型取引所) の併用が現実的な戦略です。そして、価格変動リスク、ガバナンス参加リスク、セキュリティリスク、税務リスクなどを十分に理解しながら、長期的な視点で資産管理を行うことが重要です。
