はじめに：ZRX（0x プロトコル）とは
ZRX は、0x（ゼロエックス）プロトコルのネイティブトークンであり、Ethereum（イーサリアム）上の ERC-20 トークンです。0x プロトコルは分散型取引所（DEX）インフラストラクチャを構築するためのオープンソースのプロトコルであり、マーケットメーカーやリレイヤー（注文を中継するサービス）が相互運用性を確保しながら、トークン交換を促進する仕組みを提供しています。
ZRX トークンは主にガバナンス（議決権）とステーキング用途に使われます。ホルダーは ZRX を保有またはステークすることで、プロトコルの提案に投票できる権利を得るとともに、マーケット メイカーにデリゲート（委任）して報酬を得ることも可能です。
ZRX の価格履歴（史上最安値・最高値）
ZRX の価格は歴史的に大きく変動してきました。以下は主な指標です。
- CoinMarketCap によれば、0x（ZRX）の 史上最高値（ATH） は $2.53 で、これは 2018年1月ごろの価格です。
- 最低価格（過去最安値、ATL）は CoinMarketCap で $0.104 と記録されており、これはローンチ初期にかけての水準です。
- Bybit のデータでも、ZRX の最安値は $0.120667（2020年3月）とされており、同時に ATH を $2.50 と報じられています。
- 現在の市場価格は、Phemex などの情報によればおおよそ $0.1826 前後 で、循環供給量は約 8.48 億 ZRX という報告があります。
これらの数値から、ZRX はピーク時に比べてかなり下落したものの、その後も安定圏で推移しており、成熟期のトークンとみなすことができます。
Trust Wallet を使った ZRX の保管・送金
次に、Trust Wallet を利用して ZRX トークンを保管および送金する方法と注意点を解説します。
ZRX の保管（Trust Wallet への追加）
まず、スマートフォンに Trust Wallet アプリをインストールして起動し、「ウォレット（Wallet）」画面を開きます。ZRX は ERC-20 トークンなので、Ethereum ネットワークを選択してトークンを追加します。もしリストに表示されていない場合は、「トークンの追加（Add Token）」を選び、カスタムトークンとして以下の情報を入力します。
- コントラクトアドレス：0x プロトコルの ZRX コントラクトアドレスを、公式サイトや信頼できるブロックチェーンエクスプローラーで確認します。
- シンボル：ZRX
- デシマル（小数点以下桁数）：通常は 18 など、ERC-20 の仕様を確認して入力します。
これらを正しく入力すれば、Trust Wallet のホーム画面またはトークン一覧に ZRX の残高が表示されます。トークンが表示されない場合は「表示設定（Show／Hide Token）」を確認し、非表示になっていないかをチェックしてください。
Trust Wallet は非カストディアル型ウォレットであり、リカバリーフレーズ（Seed フレーズ）をユーザー自身が管理する必要があります。シードフレーズを紛失すると資産を回復できない恐れがあるため、紙や金属プレートなどオフラインでの安全な保管が必須です。また、不正な DApp やウェブサイトとの接続には十分警戒すべきです。
ZRX の送金（Trust Wallet から他ウォレットまたは取引所へ）
ZRX を他のウォレットや取引所に送金するときは、まず Trust Wallet で ZRX トークンを選択し、「送信（Send）」をタップします。送金先アドレスを入力しますが、このアドレスは受取先が ERC-20 トークンをサポートしているか、アドレスが正しいかを必ず確認する必要があります。アドレス誤入力は資産喪失の重大なリスクにつながります。
次に、ガス代（手数料）を確認します。Ethereum ネットワーク上のトークン送金ではガス代が発生するため、高すぎるとコストがかさみ、低すぎるとトランザクションが失敗する可能性があります。混雑の少ない時間帯を狙ってガス価格の調整をするのも一つの手段です。
送金額とガス代を確認した上で「確認（Confirm）」→「送信（Send）」を実行します。トランザクションが発行されたら、トランザクションハッシュ（TxHash）が得られるので、それを使って Etherscan などのブロックチェーンエクスプローラーで進捗を追跡できます。
特に高額を送る場合は、小額でのテスト送金を事前に行うことを強く推奨します。これによりアドレスの誤りや設定ミスを事前に検出することができます。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介と ZRX との関係
bitFlyer とは
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本を拠点とする大手暗号資産取引所です。設立は 2014 年で、金融庁への登録もあり、国内で信頼性の高い取引所として知られています。
bitFlyer は日本円での入金・出金に対応しており、銀行振込やインターネットバンキング、コンビニ入金などが利用可能です。また、各種セキュリティ施策（コールドウォレット、マルチシグ、2FA など）が導入されており、ユーザー資産の安全性を重視しています。
ZRX と bitFlyer の関係
重要な点として、現時点（2025年時点）で bitFlyer が ZRX（0x トークン）を取り扱っているという記録は確認されていません。bitFlyer の「当社が取扱う仮想通貨一覧」には ZRX の記載がなく、取扱通貨には限られた種類が示されています。
また、bitFlyer の FAQ を確認しても、Buy/Sell（現物売買）でサポートされている通貨は BTC、ETH、ETC、LTC、BCH、DOT、XLM、XTZ、BAT などであり（ZRX は含まれていない）、上場の告知もありません。
このことから、ZRX の売買や日本円での取引を行いたい場合には、bitFlyer ではなく ZRX をサポートする海外取引所（例：Binance、KuCoin、Bybit など）を利用する必要があることが示唆されます。実際、複数の国内情報サイトでも「ZRX は日本の取引所での取り扱いがない」との記述があります。
Trust Wallet と bitFlyer の比較（長所・短所）
以下に、ZRX などのトークン運用にあたって、Trust Wallet（ウォレット型）と bitFlyer（取引所型）を併用または使い分ける際のメリット・デメリットを整理します。
Trust Wallet の長所・短所
長所
- 非カストディアル型：自分で秘密鍵を管理でき、資産の完全な所有権を保持できる。
- 多様なトークン対応：ERC-20 トークン（ZRX など）をはじめ、多くのチェーンやトークンをサポート。
- モバイル操作性：スマホで簡単に残高確認・送金ができる。
- セキュリティ：リカバリーフレーズによる復元が可能。ウォレットは PIN や生体認証で保護できる。
短所
- ガス手数料負担：送金時には Ethereum ネットワークでガス代を支払う必要がある。
- ミスリスク：アドレス入力誤りやネットワークの選択ミスによる資産喪失の可能性。
- 管理責任：シードフレーズを紛失すると資産を失う恐れがある。
- 初心者にはやや敷居が高い：カスタムトークンの追加やネットワーク操作には知識が必要。
bitFlyer の長所・短所
長所
- 信頼性：日本国内で金融庁登録済みの取引所であり、安全性・制度面で安定感がある。
- 日本円の入出金：銀行振込などを通じて、日本円での取引がしやすい。
- セキュリティ：コールドウォレットや多層保護を導入しており、ユーザー資産を保護する体制が整っている。
- 使いやすさ：特に初心者向けインターフェースが整備されており、簡単に取引を始められる。
短所
- 取り扱い通貨の制限：ZRX のような ERC-20 トークンは未対応。
- 資産管理の制限：取引所に資産を預ける形になるため、秘密鍵コントロールはできない。
- 出金・手数料：出金時の手数料や最低出庫額などの条件がある可能性がある。
- 取引所リスク：ハッキング、運営問題、流動性リスクなど、取引所特有のリスクを伴う。
リスクと注意点（ZRX 運用における留意事項）
ZRX を Trust Wallet で保有・送金、あるいは将来的に取引所を介して取引する場合、以下の点に注意が必要です。
まず、ZRX はガバナンスおよびステーキング用途を持つトークンです。その価値はプロトコルへの参加者数や取引量、ステーキング報酬構造に依存するため、価格にはプロトコルの成長とリスクが反映されやすくなっています。
送金時には、アドレスを慎重に確認することが重要です。特に ERC-20 トークンの送金先が間違っていると、資産が戻らない可能性があります。また、ガス代設定を誤ると失敗やコスト過多につながり得ます。
ウォレットのセキュリティにも留意が必要です。リカバリーフレーズを安全に保管し、不正アクセスを防ぐための対策（PIN、生体認証、デバイスのセキュリティ）を徹底することが重要です。
また、ZRX のステーキングやガバナンス参加を検討する場合は、報酬体系（どれだけステークすればどの程度報酬が得られるか）、従来のコミットメント（ロックアップ）があるかどうか、ステーク解除の条件などをよく確認する必要があります。
最後に、税務リスクが存在します。ZRX の売買やステーキング報酬、送金などを通じて得られた利益は、居住国の税法に従って課税対象になる可能性があります。日本在住の場合、税理士への相談を含めた適切な申告体制を整えることを推奨します。
まとめ
ZRX（0x プロトコルのトークン）は、分散型取引所（DEX）インフラを支える重要なガバナンストークンであり、ステーキングや投票という実用性があります。過去には 最高値が約 $2.50 に達したものの、その後大幅に下落し、現在は比較的低い水準で推移しています。
Trust Wallet を活用すれば、ZRX を安全に保管および送金でき、ユーザー自身が資産をコントロールする自由を得られます。一方で、ガス手数料やアドレス管理、セキュリティには注意が必要です。
bitFlyer は信頼性が高く、日本円での入出金が可能な国内取引所ですが、現時点では ZRX の取り扱いが確認されていない ため、ZRX の売買には向いていない可能性が高いです。
そのため、ZRX を利用・運用したい場合には、Trust Wallet と ZRX を扱う海外取引所を併用する戦略が現実的です。こうした組み合わせにより、資産管理と取引の両方をバランス良く実現できます。
ZRX に関しては、プロトコルの将来性（新バージョン、ガバナンス提案、ステーキング報酬など）を継続的にウォッチしつつ、リスク管理を徹底することが重要です。
