Ethereum Classic（ETC）とは — 基本概要
Ethereum Classic（イーサリアム・クラシック、ティッカー：ETC）は、元々 Ethereum（ETH）から分岐したブロックチェーンであり、分裂（フォーク）前のトランザクション履歴をそのまま保持する伝統的な Ethereum の思想を継承したプロジェクトです。
ETC ネットワークは Proof‑of‑Work（PoW） を採用しており、スマートコントラクト実行能力を持つ点で Ethereum に似た特性を備えています。
トークン ETC は、スマートコントラクトの実行手数料、ノードマイナーへの報酬、そして将来的にはネットワークのガバナンス参加の手段として利用されます。
ETC の価格履歴 — 過去最安値と最高値
ETC はローンチ以来、非常に大きな価格変動を経験しており、その歴史を振り返ることは投資や保有を考えるうえで重要です。
- 最高価格（All‑Time High, ATH）
Bybit のデータによれば、ETC の過去最高値は $167.09 で、2021年5月に記録されました。
この ATH の水準は、多くの投資家が ETC の将来性や PoW ネットワークの価値を高く評価していた時期を反映しています。 - 最低価格（All‑Time Low, ATL）
Metamask の価格履歴によると、ETC の最安値は $0.615 前後と報告されています。
また、Bybit の価格統計でも、2016年7月に $0.615038 という記録が残されており、非常に低い初期価格があったことが確認されています。
CoinMarketCap においても、日本円換算で最安値が ¥69.62 と記録されている時期があったことが示されています。 - 変動要因
価格の大きな変動には、以下のような要因が関わっていると考えられます：- マイナーや PoW ネットワークへの信頼：PoW ベースのネットワークであることから、マイナー参加やハッシュレートの変動が価格に影響を与える可能性があります。
- 市場全体のセンチメント：暗号資産全体や Ethereum エコシステムの変化が ETC の売買に波及する。
- 供給・流通：総供給量が固定されており、循環量や保有者の動き（大口マイナーやウォレット）による影響が出やすい。
- 実需とユースケース：スマートコントラクトや DApps の利用、またブロックチェーンの信頼性を重視するユーザーの存在が価格にポジティブな影響をもたらす可能性もあります。
Trust Wallet による ETC の管理
Trust Wallet とは
Trust Wallet（トラスト・ウォレット）はスマートフォン向けの非カストディアルウォレットで、ユーザー自身が秘密鍵を管理できます。多くの EVM 互換トークンおよびチェーンをサポートしており、ETC もその対象です。
ETC を Trust Wallet に追加・保管する方法
- ウォレット作成 / 復元
スマートフォンに Trust Wallet アプリをインストールし、新しいウォレットを作成するか、既存のウォレットを復元します。 - トークンを追加
資産画面で「＋（トークン追加）」をタップし、「ETC」または「Ethereum Classic」と入力して検索、有効化します。 - 受け取りアドレスの取得
ETC を選択 → 「受け取る（Receive）」をタップ → 表示されたアドレスをコピーします。取引所などからそのアドレスへ ETC を送金することで保管できます。 - シードフレーズ / 秘密鍵のバックアップ
ウォレット作成時に表示されるリカバリーフレーズ（ニーモニック）や秘密鍵は、安全なオフライン環境（紙や金属など）に保存してください。
保管および運用時のポイント
- 送金手数料
ETC を送金する際にはガス代（ネットワーク手数料）がかかります。特にネットワークが混雑している場合やガス価格が高くなるタイミングでは、送金前に見積もりを確認することが重要です。 - セキュリティ
送金時にはアドレスの入力ミスを防ぐため、コピー＆ペースト後に必ず確認を行ってください。信頼できないウォレットやリンクには注意が必要です。 - マイニング報酬 / ノード参加
ETC は PoW を採用しているため、マイナーとしてノードを運用することで報酬を得ることが可能です。ただしマイニングには専用のハードウェアや電力コストが必要です。 - バックアップの重要性
秘密鍵やリカバリーフレーズの紛失は資産を失う重大なリスクになります。適切にバックアップを取ることが不可欠です。
Trust Wallet から取引所への送金（ETC の出金）
以下は、Trust Wallet に保有している ETC を別の取引所またはウォレットに送金する一般的な手順です。
- 送金先アドレスの確認
出金先（取引所または別ウォレット）で ETC の入金アドレスを取得します。 - 送金操作
Trust Wallet を開き、ETC を選択 → 「送金（Send）」をタップ → 送金先アドレスを貼り付け → 送金量を入力。 - 手数料の確認
ネットワーク手数料（ガス代）を見積もり、送金後にウォレットに残すべき ETC の量を考慮します。 - 最終確認と実行
アドレス、送金数量、手数料を慎重にチェックし、問題がなければトランザクションを実行します。 - 送金確認
送金後、トランザクション ID（TXID）を取得し、ETC ブロックチェーン対応のエクスプローラーでステータスを確認することで、実際に送金が完了しているか確認できます。
bitFlyer における ETC の取扱状況
bitFlyer（ビットフライヤー）は日本を代表する暗号資産取引所の一つですが、ETC（Ethereum Classic）の価格チャートを提供していることが確認されています。
つまり、bitFlyer では ETC の売買や入出金が可能な市場が存在しています。
利用者は、bitFlyer の ETC/円チャートを参照したうえで、Trust Wallet から ETC を bitFlyer に送金し、日本円への換金や別の資産への交換を行うことが可能です。
注意点として、送金先が bitFlyer の ETC 入金アドレスであるかを慎重に確認してください。ネットワークを誤ると資産を失うリスクがあります。
リスクおよび注意点
Ethereum Classic（ETC）を Trust Wallet で保有・運用する際には、いくつかのリスクが存在します。
- 価格変動リスク
過去の最高値（最大 $167.09）から大きく下落した局面があるように、ETC は非常にボラタイルな資産であり、価格の上昇・下落リスクが常に存在します。 - 送金手数料リスク
ガス価格が高騰しているタイミングでは、送金コストが増大し、小額の送金ではコストが割高になる可能性があります。 - セキュリティ管理
秘密鍵・リカバリーフレーズの漏洩、フィッシング詐欺などのリスクがあります。これらの情報は厳重に管理する必要があります。 - マイナーリスク
PoW ネットワークである ETC はマイニングに参加することができますが、ハッシュレート低下やマイナー離脱、電力コスト増加などにより収益性が変動するリスクがあります。 - 資金ロスリスク
送金先アドレスを誤ったり、チェーンを間違えたりすると資産を失う可能性があります。特にエントリーミスには十分な注意が必要です。
将来性とまとめ
- 技術的意義：Ethereum Classic は Ethereum の分岐元という歴史的背景を持ちつつ、PoW を継続するネットワークとして存在感を保っています。
- トークンの役割：ETC はスマートコントラクト実行、マイニング報酬、将来的なガバナンス参加など多用途を持つ通貨です。
- 価格履歴：過去最高値は $167.09、最安値は $0.615 前後と非常に価格の幅が広く、投資には注意が必要です。
- ウォレット戦略：Trust Wallet を利用することで、非カストディアルに ETC を保有・送金でき、安全性と利便性を両立できます。
- 取引所戦略：bitFlyer でも ETC を扱っており、日本国内ユーザーにとって便利な送金先として活用可能です。
- リスク管理：価格変動、送金費用、セキュリティ、マイニング収益性などを十分に理解し、長期保有・運用戦略を慎重に構築することが重要です。
