近年、暗号資産（仮想通貨）市場は急速に拡大しており、特にミームコインとして注目を集めた「PEPE」は、そのユニークな出自と価格変動性から多くの投資家の関心を集めています。本稿では、PEPEの価格推移、Trust Walletを用いた保管および送信方法、そして日本国内で人気の高い取引所であるbitFlyer（ビットフライヤー）との連携について、詳しく解説いたします。また、Trust WalletとbitFlyerそれぞれの特徴や利点・課題についても比較しながら、安全かつ効率的な資産管理のための知識を提供いたします。
PEPE暗号資産の概要と価格履歴
PEPEは2023年4月に登場したイーサリアムベースのERC-20トークンであり、インターネットミーム「Pepe the Frog」に着想を得たミームコインです。DogecoinやShiba Inuなどと同様に、コミュニティ主導の文化が背景にあることから、技術的革新よりもマーケティングやSNS上での話題性が価格形成に大きく影響しています。当初、開発チームは匿名でしたが、徐々に透明性を高める動きを見せ、リレース後のスマートコントラクトの凍結や、流動性プールの強化などを実施しました。
価格面において、PEPEは上場直後から急騰し、2023年5月にはその価値が一時的に大幅に上昇しました。Coingeckoなどの主要な暗号資産情報サイトによると、PEPEの最高価格（All-Time High）は2023年5月5日頃に記録され、1PEPEあたり約0.00000439米ドルに達したとされています。これは、初期のほぼ無価値に近い状態からの急激な価格上昇であり、短期間で何千倍ものリターンを得た投資者も存在しました。
一方、価格調整期に入ると、PEPEは下落を続け、2023年末から2024年初頭にかけては、1PEPEあたり0.0000008米ドル前後まで下落しました。この水準が事実上の最低価格圏と見なされており、その後はやや反発を見せながらも、ボラティリティの高い推移を続けています。このような価格変動の大きさは、ミームコイン全般に共通する特徴ですが、投資判断には十分な注意が必要です。
Trust WalletによるPEPEの保管と送信方法
Trust Walletは、バイナンス傘下の非中央集権型ウォレットアプリであり、iOSおよびAndroid向けに提供されています。ユーザー自身が秘密鍵を管理できる「セルフカストディ」型のウォレットであるため、セキュリティ面で高い自由度と責任が求められます。以下に、Trust Walletを使ってPEPEを保管および送信する手順を説明します。
まず、App StoreまたはGoogle Playから「Trust Wallet」アプリをダウンロードし、新規アカウントを作成します。この際、表示される12語または24語のリカバリーフレーズ（ニーモニックフレーズ）を、紙などに正確に記録し、第三者に知られないように厳重に保管することが極めて重要です。このフレーズを失うと、ウォレットへのアクセスを永久に失う可能性があります。
次に、PEPEトークンを追加する必要があります。Trust WalletのデフォルトではPEPEが表示されない場合があるため、「カスタムトークン」機能を利用します。画面下部の「+」ボタンをタップし、「トークンを検索」欄に「PEPE」と入力すると、自動的にERC-20形式のPEPEトークンが候補として表示されることがあります。正しく表示されない場合は、手動で追加を行います。そのためには、以下の情報を入力します。
- コントラクトアドレス：公式ソース（例：Etherscan）で確認できる正しいアドレス（例：0x698b6f6752c9e6a112d1efc86c3fe1ab38645919）
- シンボル：PEPE
- 小数点以下の桁数：18
情報を入力後、「追加」をタップすれば、ウォレット内にPEPEの保有残高が表示されるようになります。これにより、受信や送信が可能になります。
PEPEを送信する際は、相手のウォレットアドレスを正確に入力する必要があります。Trust Walletでは、QRコードのスキャン機能も備わっているため、アドレスの誤入力を防ぐことができます。送信時には、ネットワーク手数料（ガス代）としてETHが必要となる点に注意してください。イーサリアムネットワークの混雑状況によって手数料が変動するため、リアルタイムのガス価格を確認しながら送信タイミングを調整することが望ましいです。
bitFlyer（ビットフライヤー）取引所の紹介
bitFlyerは2014年に設立された日本発の暗号資産取引所であり、金融庁の認可を受けた国内トップクラスの信頼性を持つプラットフォームです。取り扱い通貨にはビットコイン（BTC）、イーサリアム（ETH）、リップル（XRP）、ライトコイン（LTC）などが含まれており、日本円建てでの取引が可能なため、初心者でも利用しやすい設計となっています。また、bitFlyer Lightningという高性能な取引システムを搭載しており、板情報の更新速度や注文執行の迅速さが評価されています。
bitFlyerの特徴として、法的遵守体制の整備が挙げられます。顧客資産の分別管理、定期的な監査の実施、不正アクセス防止のための多要素認証（2段階認証）の導入など、セキュリティ対策が徹底されています。また、bitFlyerはブロックチェーン解析企業と提携しており、違法な資金の流れを監視する体制も整っています。
しかし、現時点においてbitFlyerではPEPEコインの取り扱いがありません。これは、ミームコインに対する慎重な上場基準によるものです。取引所としては、技術的裏付け、開発チームの透明性、長期的なプロジェクトの持続可能性などを重視しており、話題性のみに依存するトークンに対しては上場を見送る傾向があります。したがって、PEPEを購入したいユーザーは、海外取引所やDEX（分散型取引所）を利用する必要があります。
Trust WalletとbitFlyerの比較：利点と課題
Trust WalletとbitFlyerは、全く異なるタイプのサービスであるため、それぞれの役割と適した用途を理解することが重要です。以下に、両者の主な特徴を比較しながら、長所と短所を整理します。
まず、Trust Walletの最大の利点は、ユーザー自身が資産を完全に管理できる点です。取引所のように第三者に資産を預ける必要がないため、ハッキングや取引所倒産のリスクから逃れることができます。また、世界中のDEX（例：Uniswap）と直接連携でき、数百種類以上のトークンにアクセスできる柔軟性も魅力です。PEPEのようなマイナーなトークンを購入・保管するには、Trust Walletのような非中央集権型ウォレットが最適と言えます。
一方で、Trust Walletにはセキュリティに関する高度な知識が求められます。秘密鍵やリカバリーフレーズの管理を誤ると、資産を完全に失うリスクがあります。また、サポート体制が充実しているとは言えず、問題が発生した際に自己解決能力が問われます。さらに、イーサリアムネットワークのガス代が高騰する時期には、小さな取引でもコストが嵩むことがあります。
一方、bitFlyerの強みは、日本語対応の充実と高い信頼性にあります。初心者でも使いやすいインターフェース、詳細なヘルプページ、日本語でのカスタマーサポートが整っているため、安心して取引を始められます。また、税務計算支援ツールや取引履歴の出力機能も充実しており、確定申告の際にも便利です。さらに、銀行振込やコンビニ入金など、日本のユーザーに馴染みやすい入出金手段が利用可能です。
ただし、bitFlyerの課題としては、取り扱い通貨の種類が限られている点が挙げられます。特に、ミームコインや新興のトークンについては上場が遅れる傾向があり、トレンドに乗った投資には向かない場合があります。また、非中央集権型アプリ（DApps）との連携が制限されているため、NFTの取引やDeFiプロトコルの利用には他のウォレットが必要になります。
Trust WalletとbitFlyerの連携戦略
実際の運用では、Trust WalletとbitFlyerを組み合わせることで、安全性と利便性を両立させる戦略が有効です。例えば、bitFlyerで日本円からETHを購入し、それをTrust Walletに送信してから、Uniswapなどを通じてPEPEを取得するという流れが考えられます。この方法であれば、信頼できる国内取引所で法定通貨から暗号資産への交換を行い、その後、非中央集権型エコシステムでマイナーなトークンにアクセスすることができます。
逆に、PEPEを売却して日本円にする際には、まずDEXでPEPEをETHやUSDTに交換し、それをbitFlyerの入金アドレスに送信してから、日本円に両替するという流れになります。このプロセスには複数のステップが必要ですが、資産の安全性を確保しつつ、幅広い投資機会を利用できるバランスの取れたアプローチです。
セキュリティに関する注意点
Trust Walletを使用する際は、フィッシング詐欺や偽のアプリに注意しなければなりません。必ず公式サイトまたは公式アプリストアからダウンロードを行い、リカバリーフレーズを絶対に他人に教えないようにしてください。また、不明なDAppへの接続や、ガス代を装った不審なトランザクション要求には応じず、常にトランザクション内容を確認することが必須です。
bitFlyerを利用する場合でも、アカウントのセキュリティ設定を徹底することが重要です。2段階認証（2FA）の設定、ログイン履歴の定期的な確認、不審なメールやSMSへの警戒など、基本的なセキュリティ習慣を身につけるべきです。また、マルウェア対策ソフトの導入や、公共のWi-Fi環境での取引回避も推奨されます。
まとめ
PEPEのようなミームコインへの投資は、高収益の可能性を秘めている一方で、価格変動のリスクも非常に高いものです。Trust Walletはこうしたトークンを安全に保管・送信するための強力なツールですが、その分、ユーザー自身の責任が重大になります。一方、bitFlyerは法的規制のもとで運営される信頼性の高い取引所であり、日本円との両替や主要通貨の取引に最適です。
両者を戦略的に使い分けることで、暗号資産投資の幅は大きく広がります。今後の市場動向や新たな規制の動向にも注目しつつ、自分に合った資産管理方法を見つけることが、持続可能な投資活動の鍵となるでしょう。暗号資産の世界では、知識こそが最大のセキュリティであり、最も重要な資産であることを忘れてはなりません。
